《 3月6日 〜 7日 》 イスタシワトル(5286m)
チョルーラ(2150m) ⇒ 登山口(3950m) 〜 避難小屋(4800m) 〜 イスタシワトル(5286m) 〜 登山口(3950m) ⇒ プエブラ(2150m)
今日は昼過ぎに明日登るイスタの登山口にエージェントの車で向かう。 予想どおりホテルの朝食はバイキングではなく簡素な料理だった。 朝食後は目と鼻の先にある世界遺産の『トラチウアルテペトル(遺跡)』の上に建つ教会へ。 何段もの階段を登っていく丘の上のレメディオス教会は、明日登るイスタや噴煙を上げるポポの雄姿が良く見える展望台になっていた。
教会を拝観してからホテルと反対方向に階段を下って行くと昔の鉄道駅の跡地があり、その先がトラチウアルテペトル遺跡の地下道の入口になっていたが、コロナのパンデミックが原因で閉鎖されていた。 遺跡からの出土品が展示されている博物館に寄ってから、その少し先の新しい大きな美術館でプエブラやチョルーラで作られた美術工芸品を鑑賞した。 ツーリスト向けのレストランで昼食を食べ、ホテルで登山用品とデポ品の選別をしていると、ホテルに迎えに来たのは何とガイドのアレックスだった。

























チョルーラの町外れまで30分ほど舗装路を走り、イスタの登山口にある駐車場への山道に入る。 道幅は車がすれ違えるほど広いが、予想以上の悪路で車高の高い四駆以外の車では厳しそうだ。 1時間ほど走ると展望台にもなっている広い駐車場と管理事務所があった。 駐車場からはイスタとポポが良く見えた。
事務所でアレックスが入山手続きを済ませ、ゲートを開けてもらってさらに先に進む。 道は更に悪くなり、ゲートから1時間ほどでようやく山道の終点の駐車場に着いた。 広い駐車場の隅のテントサイトには既にエージェントのスタッフのベティがテントを設営して私達を迎えてくれた。 駐車場からは眼前に幾つものピークから成るイスタの全容が望まれたが、アレックスの説明では山頂はここからは見えないとのことで、その頂の遠さを改めて実感した。 駐車場には週末だけ使えるトイレと幾つかの自炊棟があり、テーブルと椅子も置かれていた。
日没前に食べた夕食はベティが腕を振るってくれたが、中でもタラのピカタはとても美味しく、明日の登山がなければお腹一杯になるまで食べたかった。 明日の起床は零時、出発は1時とのことで、日没と同時にシュラフに入る。 順応は進んでいるので高度障害はないが、慣れない環境で予想どおり熟睡出来なかった。
















零時前に起床して炊事棟に行くと、ベティが朝食とランチ用のサンドウィッチを手際よく作っていた。 意外にも石塚さんが体調が優れないとのことで、アレックスと私と平岡さんで1時過ぎに出発する。 しっかりとした明瞭な踏み跡のある登山道を登るが、この山のルールとして出発時からヘルメットを被らなければならないのが煩わしい。 しばらくは眼下の町の夜景だけを愛でながら傾斜の緩い道を黙々と登る。 先行した団体パーティーと相前後しながら十字架の立つチェックポイントを経て4800mに建つ避難小屋に入る。










避難小屋から先は急峻な岩場になるとのことで、アレックスからハーネスを着けるように指示があった。 岩場の登りは簡単だったが、5000m近い標高のため登高スピードが上がらなくなった。 最初の峠に着くと山頂方面がようやく見え、そのあまりの遠さに一瞬唖然としたが、それを凌駕するほどの素晴らしい景観に心が弾んだ。





最初の峠からは火口の中をトラバースしたりしながら最短距離で進む。 天気は悪くなかったが、ご来光は雲の上からで冴えなかった。 ペニテンテス(氷塔)の手前でアイゼンを着け、凍った急斜面をアイゼンの前爪を蹴り込んでバックステップで下る。 短いがここが一番の難所だった。 下りきった鞍部からはアイゼンを着けたままザレた急斜面を登る。 登り終えた二つ目の峠からはようやく山頂がはっきり見えた。









意外にも団体パーティーはここまでのようで、私達のパーティーのみで山頂に向かう。 アイゼンを外して外輪山の縁を登り下りしながら進む。 風もなく絶好の登山日和となったが、相変わらず登高スピードはアレックスが心配するほど遅くてもどかしい。 登りのコースタイムの上限の8時間ギリギリで誰もいないイスタの山頂に着いた。 山頂はやや広く、それまで見えなかった広大な火口を氷河が覆っている風景が見えた。 ポポはだいぶ遠くなり、マリンチェやオリサバが辛うじて遠望された。









下山は二つ目の峠から避難小屋を通らない下山専用のルートをケルンに導かれながら下る。 所々で踏み跡が薄かったり藪っぽかったりするが、アイゼンを着けるような所はなかった。 一方で長い登り返しが2回あったので、往路を戻った場合と比べて体力的にはそれほど変わらないように思えた。 出発してから12時間ほどで石塚さんが首を長くして待つ登山口の駐車場に戻った。











アレックスとはここで最後の別れとなり、ベティの車でチョルーラのホテルにデポした荷物をピックアップして、今日からしばらく滞在するプエブラのホテル『Marques del Angel Hotel Boutique』に向かう。 夕食はホテルの近くのレストランでチョコレートをソースに使ったモーレ料理を食べたが、味が個性的過ぎて私の舌には合わなかった。



