《 5月19日 》

I.R.C(5800m) 〜 A.B.C(6400m)

   5月19日、早朝から良い天気でエベレストの山頂が良く見えた。 テントサイトに陽が当たり始めた7時半にダイニングテントに行くと、すでにヨーロッパ隊のメンバーが慌ただしく朝食を食べていた。 私は日本人向けに用意されたお粥を選んだ。 昨日とは逆に、8時になるとヨーロッパ隊は各人バラバラにA.B.Cに向けて出発していった。

   前回はA.B.Cまで8時間近く掛かっているため、私達も8時半に出発する。 昨日と同じように良い天気でありがたい。 睡眠酸素を吸ったおかげで昨日以上に足取りが軽い感じがするが、1時間ほど登ると冷たい風が吹き始めて指先が冷たくなってきた。 今日も1時間に1回程度の休憩を取りながらスローペースで進むが、昨日と同じように順応が筋力の低下を上回っているため、前回よりも早いペースで歩くことが出来た。 ルート上にあった雪はだいぶ減り、それによって歩き易くなった所と歩きにくくなった所があった。 今日も6200mを越えた辺りでシェルパ達がミルクティーが入ったティーポットを携えて迎えにきてくれたが、それほどありがたみを感じなかった。


朝食のお粥


8時半にI.R.Cを出発する


I.R.C付近から見たエベレスト


I.R.CからA.B.Cへ


I.R.CからA.B.Cへ


I.R.CからA.B.Cへ


   昨日に続いて倉岡さんの予想どおり前回よりも2時間ほど早く、しかも前回よりも余裕をもって6時間でA.B.Cに着くことが出来た。 ちょうど先行していた平岡隊もA.B.Cに着いたところだった。 先に到着したアンプルバにスープを頼んでダイニングテントで一息つく。 倉岡さんがA.B.Cに滞在していたサーダーのミンマから情報収集すると、意外にも中国隊に依頼しているフィックスロープがまだ山頂まで延びていないということが分かり愕然とした。 明日は山頂付近の風が強いという予報なので、早くても明後日になるだろうということらしく、そうなると余計に登頂予定日の24日にアタックが集中してしまう恐れが出てきた。 また、一方で前日の23日の方が天気が良いという予報もあるようで、ますますサミット・デイ(登頂予定日)が定まらなくなってきた。 明日はA.B.Cでレストの予定だったが、天気予報次第では明日から上部キャンプに上がる可能性も出てきた。 エベレストの天気予報は当たるというのは神話だったのか、土壇場に来て全く予断を許さない状況になってきた。 夕食前にあらためて倉岡さんから、酸素マスクの使い方と今後の酸素の使用計画についてレクチャーがあった。


余裕をもって2時半にA.B.Cに着いた


同時にA.B.Cに着いた平岡隊


倉岡さんから酸素マスクの使い方についてレクチャーを受ける


C.1からの酸素のスケジュール表


夕食のカツ煮


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エベレスト