《 5月4日 》
A.B.C(6400m) 〜 高所順応(6700m) 〜 A.B.C(6400m)
5月4日、夜中はずっと雪が降り続いていたので、テントサイトにもかなり積もると思ったが、朝になると雪は降り止み、積雪は10センチ程度だった。 無酸素での睡眠は3日目となり、昨夜よりも楽になるかと期待していたが、ほぼ昨夜と同じで軽い頭痛で2回目が覚めた。 起床後のSPO2と脈拍は74と75で、数値的には昨日よりも少し良くなった。 予報どおり暖かく湿った空気が流れ込んでいるため気温が高い。
朝食後は倉岡さんの判断でB.Cに下山することなく、予定どおりフィックスロープの取り付きまでの高所順応のハイキングに行く。 今日は本番を想定して二重靴を履き、クランポン・ポイントでアイゼンを着ける。 湿った雪と高温ですぐにアイゼンが下駄を履き、昨日の2倍くらいの負荷がかかる。 氷河上も積雪はたいしたことはないばかりか、予想以上に行き交う登山者が多かった。 小雪が時々舞ってくるが、大雪になるような空模様ではないので、予定どおりフィックスロープの取り付きまで行き、ハーネスにユマールをセットしてフィックスロープを3ピッチほど登る。 GPSで6700mとなった所で予定どおり引き返し、傾斜はきつくないので下りは懸垂せずに全てアームラップで降りた。 取り付きでハーネスを外していると、飛ばされたテントを探しにC.1へ行ったシェルパ達が下ってきたが、テントは見つからなかったとのことだった。
ハイキングを終えてテントに戻ると、主に6500m以上での行動だったためか、予想以上に体が疲れていることを実感した。 夕食後のSPO2と脈拍は71と80だったので、今夜の睡眠も酸素なしで大丈夫そうだったが、疲れが溜まっていると明日のB.Cへの下山も大変になるので、倉岡さんの指示で毎分0.5Lの酸素を吸って寝ることにした。