《 5月5日 》

A.B.C(6400m) 〜 I.R.C(5800m) 〜 B.C(5150m)

   5月5日、昨夜はせっかく酸素を吸って寝たが、鼻詰まりが酷くて熟睡出来なかった。 酸素マスクは行動中には潤いがあるが、睡眠中は乾燥する傾向が強く課題が残った。 それでも酸素の効果は絶大で、起床前のSPO2と脈拍は87と57で、A.B.Cに来てから一番良かった。

   朝食をお腹一杯に食べ、荷物のパッキングを済ませて9時半過ぎにA.B.Cを出発する。 予報どおり風が少し強い。 B.Cまでの距離は20キロほどあり、小さな登り下りが連続するので、標高差1250mの下りとはいえ、B.Cまで8時間以上掛かると想定された。 初めのうちは酸素が体の中に残っていたので快調に下れたが、昨日の順応ハイキングの疲労が残っているのか、次第に足が重たくなってくる。 登りと同じようにスローペースで1時間に1回程度の休憩をしながら下ったが、中間点のI.R.Cには予想よりも少し遅く4時間以上掛かって着いた。


朝食


9時半過ぎにA.B.Cを出発する


A.B.CからI.R.Cへ


荷物を運ぶヤク


A.B.CからI.R.Cへ


A.B.CからI.R.Cへ


中間点のI.R.C


   I.R.Cでアンプルバが作ってくれた昼食のおにぎりを食べ、後半戦のB.Cへの下りに入る。 標高はどんどん下がっていくので楽なはずだが、登りの時の記憶よりも距離が全然長く感じられ、いつになってもB.Cが見えてこない。 アタックステージでまたここを登らなければならないと思うと気が重い。 6時を過ぎて太陽が山の向こうに沈むと、寒さが急に身に染みてきた。 振り返ると残照のエベレストが美しかった。 もう前後を歩く人の姿はない。 周囲が暗くなる寸前にB.Cの灯りが小さく前方に見え、7時過ぎにようやくB.Cに着いた。

   すぐに夕食となり、食後は新しい大きなダイニングルームにあらわれたカーリーに労われた。 予想以上に時間が掛かり疲労も大きかったので、今夜も倉岡さんの指示で毎分0.5Lの酸素を吸って寝ることにした。


I.R.CからB.Cへ


I.R.CからB.Cへ


I.R.CからB.Cへ


残照のエベレスト


7時過ぎにようやくB.Cに着いた


夕食のトンカツとチキンカツ


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エベレスト