《 8月8日 》

B.C(3600m) 〜 トラベラーズ・パス(4150m) 〜 C.1(4400m)

   8月8日、まだ薄暗い6時前に起床。 起床前のSPO2と脈拍は88と58で、この高さにはほぼ順応出来たようだ。 キルギスの天気予報はあてにならないのか、天気は予報とは違って快晴だった。 今日はいよいよ実質的なB.CとなるC.1(4400m)に向かう。 C.1までの道は馬が通れるため、1キロ当たり3ドルで荷物を運んでもらう。 朝食前に馬方による計量があり、私の荷物は35キロで運賃は105ドルだった。

   朝食後の9時にB.Cを出発し、他のエージェントのテント村の脇を通って草原となっている平坦な扇状地を川に沿って進む。 道幅は広く車の轍の跡も見られた。 1時間ほど歩くと地図上に『オニオン・グレード』と記された扇状地の上端のような所に着いた。 その名のとおり周囲には野生のタマネギの茎が見られ、休憩中にビシュヌが摘んでいた。 

   幾つもの遭難碑が見られたオニオン・グレードからは山道となったが、急坂を少し登ると再び起伏の緩い草原となり、ヤクが草を食んでいた。 間もなく今日の行程の核心となるトラベラーズ・パス(4150m)という峠への登りに入る。 馬も峠を越えるため、緩急のいくつかの道があったが、ビシュヌは一番手前の一番勾配の急な道を先導した。 ジグザグの急坂道はゆっくり登れば見た目ほどきつくなく、予想よりも早くオニオン・グレードから1時間でトラベラーズ・パスに着いた。


天気は予報とは違って快晴だった


馬方による荷物の計量


レーニン・ピークを正面に見ながら草原となっている平坦な扇状地を進む


地図上に『オニオン・グレード』と記された扇状地の上端


オニオン・グレードからは山道となったが、急坂を少し登ると再び起伏の緩い草原となった


今日の行程の核心となるトラベラーズ・パスという峠への登りに入る


トラベラーズ・パス直下の勾配の急な道


展望の良いトラベラーズ・パス(4150m)


   展望の良い峠でしばらく休憩してからジグザグの急坂道を下る。 トラベラーズ・パスからは周囲の風景が一変し、レーニン・ピークを始めとする氷河の山々が間近に迫るようになった。 トラベラーズ・パスから標高差で100mほど下り、歩きにくいザレた斜面をトラバース気味に進む。 しばらくすると一昨日の好天にアタックしたと思われるパーティーと頻繁にすれ違うようになった。 予報どおり天気は次第に下り坂となり、いつの間にか周囲の高い山は見えなくなってしまった。 トラバースはなおも延々と続き、トラベラーズ・パスから1時間半近く歩いた所でようやく前方に濁った沢の渡渉点が見えてきた。 沢は膝下くらいの深さで靴を脱げば渡れそうだったが、川辺でお客さんを待っていた馬の“渡し”を利用して渡ることに迷いはなかった。 値段はビシュヌが交渉してくれ、一人5ドルになった。 

   沢を渡った所で一休みし、沢から這い上がるようにモレーンの背に向けて登っていくと、昨日のように黒い雲が急速に発達し、とうとう雨が降ってきた。 モレーンの背に上がると風も強くなってきたので急いでジャケットを着込む。 ここから先は悪夢になるだろうと覚悟を決め、各々のペースで足早に進んでいくと、30分足らずで風雨は止み、上空には青空が覗くようになった。 拍子抜けした足取りでしばらく緩やかな勾配の踏み跡を辿って行くと視界が開け、谷の向こうにC.1の黄色いテントが見えてきた。 バラバラになっていたメンバーも一緒になり、予想よりも早く2時にC.1(4400m)に着いた。


トラベラーズ・パスからは氷河の山々が間近に迫るようになった


トラベラーズ・パスから標高差で100mほど下る


歩きにくいザレた斜面をトラバース気味に延々と進む


歩きにくいザレた斜面をトラバース気味に延々と進む


天気は次第に下り坂となり、いつの間にか周囲の高い山は見えなくなってしまった


濁った沢を馬の“渡し”を利用して渡る


30分足らずで風雨は止み、上空には青空が覗くようになった


予想よりも早く実質的なB.CとなるC.1(4400m)に着いた


   レーニン・ピークを間近に仰ぎ見るC.1のロケーションは素晴らしく、個人用テントは間隔こそ詰まっているものの、B.Cのものと同じサイズで快適だった。 ランチがまだ食べられるとのことで、ダイニングテントで昼食を頬張る。 料理の質はB.Cと変わらない感じで嬉しかった。 B.Cで2ドルだった1.5リッターのミネラルウォーターやコーラなどの炭酸飲料は3ドルになった。 トイレは男性用が3つ、女性用が1つあったが、テントから少し離れていた。

   個人用テントで届いた荷物の整理をしていると、夕方から嵐のような猛烈な雨と風が吹き、早めに到着出来て本当に良かった。 夕食前のSPO2と脈拍は86と63で、数値は予想よりも良かった。 夕食はトマトの肉詰めとスパゲテイだったが、昼食を控えめにしたせいか美味しく食べられた。


個人用テントは間隔こそ詰まっているものの、B.Cのものと同じサイズで快適だった


トイレは男性用が3つ、女性用が1つあった


夕食のトマトの肉詰め


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