《 9月13日 》

B.C ( 4 9 0 0 m ) ⇒ A.B.C ( 5 7 0 0 m )

   9月13日、6時半に起床。 前日の山登りで疲れていたので最初のうちは良く眠れたが、その後は鼻詰まりと頭痛で1時間毎に目が覚め、昨日よりも熟睡出来なかった。 それでも起床後のSPO2と脈拍は85と67で、数値的にはそれほど悪くはなかった。 朝食はトゥクパ(うどん)とパンケーキだったが、少し控え目に食べた。 柴田さんやるみちゃんは全く元気そうで羨ましい。 今日から1泊2日でA.B.C(5700m)に泊まりに出掛ける。

   B.Cに滞在する倉岡隊のメンバーに見送られ、案内役のサーダーのペンバと共にティンリから呼んだ車で8時にB.Cを出発。 舗装工事中の道路の状態はB.Cまでと変わらず、将来的にはこの先のナンパ・ラを越えてネパールまで道が通じてしまうのではないかとさえ思えた。 途中にあったセメントのプラントを過ぎると九十九折の道となったが、道路の状態はとても良く車は順調に坂道を登っていく。 喜んでいたのも束の間、B.Cから車で30分、標高差で300mほど上がった所で工事用の重機が道を塞ぎ、先に進めなくなってしまった。 仕方なく車を降りて工事中の道路を歩き始める。 勾配は緩いが、先が見えない道を延々と歩くのは辛い。

   歩き始めてからしばらくの間は水を飲んでも喉が貼り付くように乾いていたが、ゆっくり歩いていると血の巡りが良くなり、喉の違和感も薄れてきたので安堵した。 30分ほど歩くと車で行けるはずだったパルンの放牧小屋を過ぎ、さらに30分ほど歩くと、古い建物とソーラー畑のあるギャブルンと地図に記された昔のB.Cの跡地(5450m)に着いた。

 

B.Cからパルン・ギャブルンを経てA.B.Cへ


ティンリから呼んだ車でB.Cを出発する


セメントのプラント


車を降りて工事中の道路を歩き始める


パルンの放牧小屋


ギャブルンと地図に記された昔のB.Cの跡地


   ギャブルンは峠のような所で、舗装工事はそこで終わっていたが、その先にもダートの車道が続いていた。 ギャブルンから先はモレーンの末端となっていて、それまで見えなかった氷河の山々が見えるようになり、ようやく山の中に入ったような風景になってきた。 ダートの車道は所々で地震や落石による崖崩れの跡が見られた。 A.B.C(5700m)までの標高差はすでに300mを切っていたが、ギャブルンからA.B.Cまでの間は地図に記されていない緩やかなアップダウンが延々と続き、天気が悪いことも手伝って気が滅入ってくる。

   2時間ほどダートの車道を歩いていくと道幅は次第に狭くなり、いつの間にかナンパ・ラ方面への道から外れた。 天気はますます悪くなり小雪が舞い始めたので、休む間もなく歩き続ける。 両脇を抱えられ酸素を吸って下りてくる登山者とすれ違った。 寒々しい顕著なサイドモレーンの背に取り付き、1時間ほど踏み跡を登っていくと、ようやくA.B.Cのテント村が見えてきたが、その後も各隊のテントが所々に点在し、一番奥の方に建設中の私達の隊のテントサイトまではそこから更に30分ほど掛かった。


ギャブルンは峠のような所で、舗装工事はそこで終わっていた


ギャブルンから先のダートの車道は所々で地震や落石による崖崩れの跡が見られた


氷河の山々が見えるようになり、ようやく山の中に入ったような風景になってきた


ギャブルンからA.B.Cまでの間は地図に記されていない緩やかなアップダウンが延々と続く


寒々しい顕著なサイドモレーンの背を登る


A.B.Cには各隊のテントが所々に点在していた


   車を降りた所から5時間半近くを要し、2時前にメンバーの最後尾で待望のA.B.Cに着いた。 私達の隊のテントサイトは広場のような所ではなかったが、個々のテントの下の地面は平らに整地されていて快適そうだった。 温かいラーメンを食べて英気を養う。 高度計の数字は5622mだったが、GPSでの標高は5702mだった。 天気が良ければここからチュ・オユーが良く見えるらしいが、今日はあいにくの天気で望むべくもなかった。 A.B.Cで使うテントはまだB.Cで使っているので、ここにあるテントは上部キャンプ用のものだ。 テントサイトは風の強いB.Cと違い、地形的な理由からか風が全く当たらず、B.Cよりも暖かくさえ感じた。 夕方のSPO2と脈拍は81と70で、数値的には非常に良く、体調も朝より良い感じがした。

   夕食はゴーヤ入りのダルバートで美味しく食べられた。 就寝前のSPO2と脈拍は74と74で予想どおり徐々に悪くなり、喉も少し痛さがぶり返してきた。 喉の痛みはどうやら風邪のようで、三日後にここに戻ってくる時には治って欲しいと願うばかりだった。


メンバーの最後尾で待望のA.B.Cに着いた


温かいラーメンを食べて英気を養う


A.B.Cの建設を準備しているスタッフ達


仮設のダイニングテントでの夕食


デザートの梨


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