《 8月7日 》

B.C(4050m)

   8月7日、陽が昇り周囲が明るくなった7時に起きる。 夜中に少し雨が降り、風も吹いているので寒い。 太陽は出ているが、薄雲が広がり昨日のような良い天気ではない。 昨日は本当に年に何日しかないサミット・デイだったとあらためて思った。 

   朝食後にヘリの音が聞こえてきたのでテントの外に出てみると、スタッフを含めた5〜6人が荷物を持って氷河上のヘリポートに向かっていた。 10分ほどヘリの爆音が氷河上に響き渡っていたが、間もなく消えてしまい、それに合わせて皆も引き返してきた。 この程度の天気でヘリが着陸出来ずに引き返してしまったことに驚き、3日後のフライト予定日にヘリが飛んでくれるかどうか心配になった。 

   今日は昨日のような好天が続けば、北イニルチェク氷河を少し下ってB.Cからは見えない山の写真を撮りに行こうと考えていたが、天気は徐々に下り坂となり、いつもの変わり易い天気に戻ってしまった。 昼前に再びヘリの音が聞こえてきたのでテントの外に出てみると、空模様は先ほど以上に悪いが、軍用の小型のヘリが氷河の上を舐めるように低空で飛んできた。 それに合わせて3人が小走りにヘリポートに向かい、あっという間に荷物と共にヘリにピックアップされていった。

   下山してから今日で3日目となった。 当初は退屈だろうと思っていたが、今回のアタックの失敗に対する気持の整理と切り替えをするにはちょうど良かった。 正午からはとうとう雨が降り始めた。 昼食後にボスのムハから、ジャパニーズ・チームはC.2に泊まり、明日B.Cに下ってくると伝えられた。 C.3から一気に下山することは可能だろうが、この天気では必然的にそうなるだろう。 午後は今までの日記の整理をしたり、帰国後の山行の計画をしたりしながら過ごす。 時折ハン・テングリの山頂が見えることもあったが、相変らず雨が降ったり止んだりしていた。

    夕食のテーブルには昨日登頂したドイツ隊とルーマニア隊のメンバーの姿があり、また何故か我が隊のサブガイドのイゴールも戻ってきていた。 無口なイゴールからではなくルダから、田路さんがとても疲れているため今日はC.2に泊まることになったが、心配は全く要らないという説明があった。 夕食後にはようやく天気が回復して星空が素晴らしく、流れ星も見られた。


朝のハン・テングリ


朝食のキヌアのお粥に塩こんぶを入れて食べる


軍用の小型のヘリが氷河の上を舐めるように低空で飛んできた


昼食のハンバーグとマッシュポテト


午後は雨模様の天気が続いた


サミッターを労うボスのムハとルダ


登頂祝いのシナモンケーキ


夕食のスパゲティ


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ハン・テングリ