《 8月5日 》

B.C(4050m)

   8月5日、まだうす暗い5時に起きて山を見ると、僅かに山頂付近に青空が覗いていた。 この天気で我が隊は今朝アタックしたのだろうか。 間もなく短い時間だが雨が降った。 テントから出たり入ったりしながら天気の様子をうかがう。 7時を過ぎるとB.Cに陽が射すようになったので、山の上も雪は降っていないだろう。 明日からの好天に合わせて山に人が入っているので、朝の食堂は人影がまばらだった。 今日B.Cにいるのは私と同じような境遇の人達だろう。 祖母が沖縄の人だというガイドのナカムラから、ジャパニーズ・チームは天気が悪いので今日はアタックしていないと知らされた。 現在C.3には天候待ちのパーティーが30人くらいいるそうだ。 また、明日は長期予報どおり天気が良くなるとのことで、ナカムラも明日からフランス人とロシア人の混成パーティーとC.1入りするとのことだった。 C.3からの山頂アタックは通常朝の4時くらいに出発し、山頂まで9時間から10時間を要するとのこと。 天気が良ければ明日の未明にはC.3を出発する人達のヘッドランプの灯りが見えると教えてくれた。

   8時になると上空には再び青空が見え始め、明日に向けて良い天気になるという予報は当たっているように思えたが、9時過ぎには再び分厚い雲が上空を覆い始め、B.Cでは霧雨を感じるようになり、間もなく30分ほど冷たい雨が降った。 本当にこの悪天候が明日になると急に変わるものかと思えたが、雨が止むと上空には再び青空が見えた。 今日は今まで以上に本当に変わりやすい天気だ。 午後は時々小雨が降るいつものぐずついた天気となったが、夜の7時を過ぎると天気は急変し、明日の好天を告げるかのように空の青さが増し、面白いように雲がみるみる小さくなっていった。 天気が良くなったため放射冷却で気温が下がり、B.Cが今までになく寒くなってきた。

   ルダから、夕食はガイド達と同席するように促され、B.Cに残留していたワディムとナカムラ、そしてボスのムハと一緒に夕食を食べた。 お互いに片言の英語で雑談するのも意外と面白かった。 セルゲイは強いガイドなので、ジャパニーズ・チームは登頂出来るだろうとムハが太鼓判を押してくれた。 夕食後は夜空に輝く白いハン・テングリの山頂が見え、B.Cに来てから初めて満天の星空が見えた。 C.3にいるアタックメンバーも、待望の好天の到来を喜んでいるに違いない。


朝食のオートミール


午前中は冷たい雨が降った


正午には一旦雨が降り止んだ


昼食のピラフ


夜の7時を過ぎると天気は急変し、明日の好天を告げるかのように空の青さが増してきた


夜の7時を過ぎると天気は急変し、面白いように雲がみるみる小さくなっていった


B.Cに残留していたワディムとナカムラ、そしてボスのムハと一緒に夕食を食べた


夕食のパプリカの肉詰め


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ハン・テングリ