《 8月1日 》

B.C(4050m) 〜 C.1(4700m)

   8月1日、7時に起床。 夜中から降り始めた小雨が降り続き、山は全く見えない。 起床前のSPO2と脈拍は90と51、起床後は90と62でまずまずだった。 いよいよ今日から7泊8日の長い山頂アタックに向けてC.1に上がる。 今のところ体調は良いので、後は天気と順応の結果次第だ。

   朝食はいつものように食堂で食べ、長期間B.Cで留守番をしなければならない割石さんに見送られて9時半に出発。 曇天で陽射しは全くないが、雨はようやく上がった。 氷河上のヘリポートで南イニルチェク氷河への出発の準備をされていたAツアー社の久保さんにもエールを送られた。 平岡さんに先導されて北イニルチェク氷河を横断する。 今回もB.Cから対岸のハン・テングリの取り付きまでは40分ほどだった。 取り付きでアイゼンやハーネスを着け、後ろから追いついてきたセルゲイを先頭に10時半にC.1に向けてチャパエフ・ノース(6120m)を登り始める。 雨で溶けた雪が氷化してトレースが薄くなり、前回よりも登りにくい。 8日分の行動食で荷物も重たくなっていたので、途中で田路さんに前を譲りマイペースで登る。 天気は依然として悪く、周囲の山々の展望も冴えない。 C.1直下の二本の長いフィックスロープでは、下りてくるパーティーとの交差で渋滞し、下のC.1には1時に着いた。 

   天気が悪いので休む間もなくテントのある上のC.1に向かい、1時半に寒々しい上のC.1に着いた。 テントを張らなくて済むのは嬉しいが、3人用のテントに3人入ると予想以上に窮屈だった。 テントは岩の上に張ってあるので、靴はビニール袋に入れて外に置いた。 テントに入ってすぐに雨が降り始めたので運が良かった。 5000m近い高度で雪にならないのが今年の悪天候の特徴だ。 今年の夏は高気圧が緯度の高い所に居座り、偏西風が蛇行しているのがその原因らしい。 ラッセル・ブライスが初めて公募隊で臨んだK2は悪天のため早々に撤退し、近隣のレーニン峰も今シーズンはまだ登頂者が出てないという。 モン・ブランは猛暑でクレヴァスが大きく開いてしまい、全ルートがクローズしているとのこと。 雨は次第に強くなり、雨漏りで寝袋が濡れてくる。 私のみならず皆で連日の天気の悪さに憂鬱になる。

   3時のSPO2と脈拍は85と85で脈が高かった。 炊事用の雪は平岡さんが取りにいってくれたので助かった。 夕食はフリーズドライの赤飯とランチョンミートの缶詰、そしてインスタントのとん汁だった。 前回よりも体調は良く、美味しく食べることが出来て嬉しかった。 セルゲイから明日は4時に起床し、その時点で雨が止んでいれば5時に出発するとの指示があった。 雨は夜半からみぞれ、そして雪になって降り続いた。 順応はまずまずOKで眠ることは出来たが、テントが傾いているため頭が下がってしまい熟睡は出来なかった。


夜中から降り始めた小雨が降り続き、山は全く見えない


長期間B.Cで留守番をしなければならない割石さんに見送られて出発する


Aツアー社の久保さんにもエールを送られる


平岡さんに先導されて北イニルチェク氷河を横断する


セルゲイを先頭に取り付きからC.1に向けて登り始める


途中で田路さんに前を譲りマイペースで登る


天気は依然として悪く、周囲の山々の展望も冴えない


C.1直下のフィックスロープでは、下りてくるパーティーとの交差で渋滞した


C.1直下のフィックスロープ


下のC.1からテントのある上のC.1に向かう


寒々しい上のC.1


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ハン・テングリ