《 7月28日 》

C.2(5450m) 〜 B.C(4050m)

   7月28日、4時に起床。 雪は弱いながらも降り続き、昨日までC.2では無かった風も出てきた。 アンドリューは全く起きる素振りもない。 夜中は暖かかったが、鼻づまりと軽い頭痛が続いて殆ど眠れなかった。 SPO2と脈拍は81と61で、なぜか数値は意外と良かった。 この状況では上に行くことはないだろう。 チャパエフ・ノースに登って順応はしておきたいが、この体調では天気が悪い中を登る自信はない。 セルゲイから、5時に再度起きて天気をチェックするという指示があった。 

   5時になっても状況は変わらず、6時にC.1に下ることが決定した。 チャパエフ・ノースに登れなくても、最低限の順応でここにもう一泊していきたいが、天気がこれ以上悪くなるとC.1にも下れなくなってしまうので仕方がない。 起床後のSPO2と脈拍は68と68でさらに悪くなった。 食欲はなく、朝食用のカップラーメンは食べずに昨日の行動食の余りを食べる。 天気が悪いのでチャパエフ・ノースへ登る人の姿は見えなかった。

   雪が止んだ8時過ぎにC.1に向けて下る。 登りでは急斜面や悪雪に苦しめられた所も、全て懸垂で下るので気分的には楽だ。 但し、フィックスロープが濡れて水分を含んでいるため、ATCにロープを通すために持ち上げるのに苦労する。 一方、天気が悪いのでC.1から登ってくる人は殆どおらず、交差する時の煩わしさがなくて助かった。 先行していた平岡さんと割石さんを途中で追い越す。 C.1との標高差は750mほどなので、フィックスロープの総延長は1000m以上あることになり、標高差以上の長さを感じた。

   正午にようやくC.1に着き、行動食を食べながら最後尾の割石さんが下ってくるのを1時間ほど待つ。 ベジタリアンのアンドリューが大きなチーズの塊をザックから取り出し、ナイフで切って分けてくれた。 相変らずの曇天だが、C.1付近では予報より良い天気だった。 C.1に泊まることも出来たが、テントの居住性が悪いC.1で滞在することのデメリットを理由に平岡さんの判断でB.Cまで下ることになった。

   C.1を1時過ぎに出発。 長い二本のフィックスロープを下り、短いフィックスロープを何本か下った所から、凍った急斜面をロープを結ばずに取り付きへ下る。 先頭のアンドリューは糸の切れた凧のようにどんどん下っていってしまった。 頼みのトレースは部分的に消えており、ここが今日一番の核心となった。 滑ったら絶対に止まらないので、アイゼン・ピッケル・ストックを駆使しながら後ろ向きで下ることもしばしばあった。

   3時前に無事取り付きに降り立つ。 取り付きでアイゼンやハーネスを外して一息入れる。 氷河を流れる川を迂回しながら、B.Cに向けて北イニルチェク氷河を横断する。 足が疲れていたので登りよりも時間が掛かった。 4時前にB.Cに着くと、スタッフ達が遅い昼食を用意してくれた。 結局今日は予報よりは良かったものの、一日中曇天が続いた。


悪天候が予想されたため、チャパエフ・ノースには登らずに下山することになった


天気が悪いのでチャパエフ・ノースへ登る人の姿は見えなかった


雪が止んだ8時過ぎにC.1に向けて下る


C.2の直下を下るアンドリュー


先行する平岡さん・割石さん・田路さん


天気が悪いのでC.1から登ってくる人は殆どいなかった


岩場を下るアンドリュー


岩場の直下を下る田路さん


C.1の手前で傾斜が少し緩んだ


上のC.1


上のC.1で後続のメンバーを待つ


上のC.1から下のC.1へ


下のC.1


下のC.1から長い二本のフィックスロープを下る


フィックスロープの終了点から見たC.1方面


凍った急斜面をロープを結ばずに取り付きへ下る


取り付きから見たチャパエフ・ノース


取り付きから見たB.C


北イニルチェク氷河から見たチャパエフ・ノース


北イニルチェク氷河から見たハン・テングリ


4時前にB.Cに着く


夕食の鶏肉丼


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ハン・テングリ