《 31日 》
C.1(4800m) 〜 B.C(4300m) 〜 チョピカルキ登山口(4150m) ⇒ ワラス(3090m)
7月31日、アグリの声でまだ薄暗い6時前にテントから出ると、一昨日と同じように周囲の山々がモルゲンロートに染まり始めていた。 美しい景色に心が弾むのも昨日登頂出来たからに他ならず、あらためて昨日の好天に感謝した。 朝食は食べずに7時半前にC.1を発ってB.Cへ下る。 空は澄みきったアンデスブルーとなり、風がなければ今日は昨日以上のアタック日和となりそうだ。 何度も足を止めては山々の写真を撮る。 ワスカラン南峰は麓のユンガイ方面から見た雪のドームとはまるで違う荒々しい面持ちで神々しい。 あいにく肝心のチョピカルキは近すぎて絵にならないのが残念だ。 ダリオと雑談しながらモレーンの背を下り、9時過ぎにカティとディアナが首を長くして待つB.Cに着いた。
B.Cには潤沢な食材があるので、久々に朝食をお腹一杯に食べた。 朝食後はすぐにB.Cを撤収し、ワラスに帰ることも出来たが、今日は町の散策や買い物をするつもりは毛頭なく、ホテルで休養する予定だったので、明日帰国する西廣さんや節子さんと相談し、山々のロケーションが素晴らしいB.Cで午前中はゆっくり寛ぐことにした。 スタッフ達もテントを干しながら、ゆっくりと撤収の準備を始めた。
昼食後にアグリ、ダリオ、ラウル、マヌエル、メシアス、エリセオ、ノルベルト、そしてカティとディアナのスタッフ全員に感謝の気持ちを込めてチップを手渡すセレモニーを行い、1時前にB.Cを発って登山口に向かった。 意外にも出発して間もなく日本人のパーティーとすれ違ったので挨拶を交わすと、そのうちの一人は高所登山の研究者として有名な鹿屋体育大学の山本正嘉さんだった。 チョピカルキに登られるのは、やはりワスカランのルートの状態が悪いための代替えということだった。
B.Cからは労せずして登山口に着き、迎えに来た大型のバスに乗ってワラスに向かう。 数日前の喧噪が嘘のようにリャンガヌーコ周辺は閑散としていた。 カルアスの手前でダリオが下車し、カルアスのアイスクリーム店に寄ると、ここもすっかり静かになっていてお客さんは誰もいなかった。 カルアスを過ぎると、車窓からコパ(6188m)が見えたので、車中から写真を何枚か撮ったが、数日後にこの山を登ることになるとは知る由もなかった。
5時半にワラスのホテル『コロンバ』に着き、夜は西廣さんや節子さんと一緒に入山前に行ったフレンチレストラン『クレープリー・パトリック』でチョピカルキ登山とペルーの山行の打ち上げをした。 三週間という期間でワイワッシュ山群一周のトレッキング(アルパイン・サーキット)を満喫し、ワイワッシュ山群とブランカ山群両方の6000m峰の登頂が叶い、周囲の山々も殆ど全て山頂から眺めることが出来たことは、ペルーが三度目の私達にとっても非常にラッキーだった。