《 23日 》

C.2(5500m) 〜 C.1(4800m) 〜 ハウアコーチャ(4050m)

   7月23日、今日はB.Cに下るだけなので、昨夜の打ち合わせどおりゆっくり7時半に起床する。 起床前のSPO2は78、脈拍は63とこの高度にも順応しつつあった。 今日も昨日に引き続き快晴の天気で、ブランカ山群の山並みがはっきり見えた。 朝食のカップラーメンを食べながら、あらためて昨日登った赤茶けた崖のような側壁を眺めると、平岡さんの言うとおり、初見では絶対に登れないルートだということが頷ける。 

   テントを撤収し、陽射しで暖かくなった9時半過ぎにC.2を発つ。 氷河の取り付きまでは僅か30分ほどで着いてしまった。 氷河の取り付きからC.1へは休憩を一度挟んで1時間半足らずで下り、C.1にデポしたトレッキングシューズに履き替えると、身も心も軽くなった。 後方にイェルパハが見えなくなると、ルート上も埃っぽくなってくる。 足下のソルテラコーチャ(湖)は何度見ても美しい。 もうすぐハウアコーチャのB.Cに着くのは嬉しいが、私のせいで風邪が治らずアタック出来なかった朋子さんの顔を見るのが辛い。 ルピナスの群落を抜けると、設営中のキャンプサイトで大きく手を広げて私達の到着を待っている朋子さんの姿が見えた。 C.2からはちょうど4時間でB.Cに着いた。 控えめな登頂報告をする私を満面の笑みで迎えてくれた朋子さんに、ただただ頭が下がる思いだった。 

   昼食後は荷物の整理などで、皆思い思いに個人用テントで寛ぐ。 トレッキングと登山の打ち上げに、『パチャマンカ』の宴が今晩行われることになり、スタッフ達は休む間もなく昼過ぎからその準備に入った。 パチャマンカとはケチュア語で“大地の鍋”を意味するこの地方の伝統的な料理方法で、地面に掘った大きな穴の中に肉や魚、そして色々な種類の芋と豆を埋めて香草を被せ、窯で熱く焼いた石で蒸し焼きにするというものだ。 メンバーの中にはパチャマンカが初めての人もいて、その作業工程を皆で見守った。 

   陽が落ちてからダイニングテントでアグリの口上の後にワインで乾杯し、パチャマンカの料理に舌鼓を打った。 肉や魚はもちろんのこと、日本では口に入らないアンデスのローカルな芋の甘さが絶品だった。 奇しくも今日は妻の誕生日だったので、このパチャマンカがとても良い想い出になった。 登頂の余韻を味わうかのように、夜遅くまでダイニングテントで山の話に花が咲いた。 やはり山は登らなければ(登頂しなければ)駄目だとつくづく思った。 深夜になっても快晴の天気は続き、天の川がとても綺麗だった。


C.2から遠望したブランカ山群(中央がチンチェイ)


C.2から見たヒリシャンカ(右)とロンドイ(左)


C.2を撤収して出発する


イェルパハ西氷河を下る


イェルパハ西氷河から見たラサックの側壁


イェルパハ西氷河から見たヒリシャンカ


イェルパハ西氷河のサイドモレーンを下る


イェルパハ西氷河のサイドモレーンから見たイェルパハ


イェルパハ西氷河のサイドモレーンから見たロンドイ


イェルパハ西氷河のサイドモレーンから見たヒリシャンカ


ロドリゴと大きなケルン


C.1でデポ品を回収する


C.1からソルテラコーチャ(湖)へ


イェルパハ西氷河のサイドモレーンの取り付きから見たヒリシャンカ


ソルテラコーチャ(手前)とハウアコーチャ(奥)


雌のルピナス


ハウアコーチャのB.C


朋子さんに迎えられてハウアコーチャのB.Cに着く


ダイニングテントで昼食を食べる


午後は個人用テントで思い思いに寛ぐ


パチャマンカに使う石の竈


パチャマンカの食材の芋と豆


休む間もなくパチャマンカの準備をするスタッフ達


パチャマンカの作業工程を皆で見守る


蒸し上がった芋と豆


アーベンロートに染まるロンドイ(左)とヒリシャンカ(右)


トレッキングと登山の打ち上げの宴


トレッキングと登山の打ち上げの宴


アグリの口上の後にワインで乾杯する


パチャマンカの料理


パチャマンカの料理に舌鼓を打つ


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