《 18日 》
カラマーカ湖(4575m) 〜 ラサック峠(5129m) 〜 ラサックコーチャ(4350m) 〜 ハウアコーチャ(4050m)
7月18日、昨夜は寝るのが遅かったので、今朝の起床時間は6時半になった。 風もなく暖かい夜で、6時間くらいは熟睡出来た。 起床前のSPO2と脈拍は81と58とまずまずだ。 眼前にはラサックしか見えず、まるでそのB.Cにいるかのような錯覚を覚える。 朝食は外で車座になって食べる。 食欲は普通にあり、何でも美味しく食べられるのが嬉しい。
今日はいよいよラサック峠(5129m)を越えてラサック登山のB.Cとなるハウアコーチャ(湖)のキャンプ地(4050m)まで一気に下る。 ラサック峠ではグラン・ビスタ(大展望)が待っているだろう。 まだ陽の当たらないカラマーカ湖畔のキャンプ地を8時に出発。 湖畔から顕著なモレーンの背に上がる。 間もなくご来光となり、身も心も一気に暖かくなった。 逆光だが神々しいラサックが指呼の間に見え、ボルテージも一気に上がる。 振り返ると、カラマーカ湖や広大なサグヤ谷が眼下に見えた。
カラマーカ湖畔のキャンプ地から1時間半ほどで正面にラサック峠が見えるようになった。 当初はラサック峠の標高がルート上で一番高く、また氷河もあるので、今回のアルパイン・サーキットの一番の核心と思われたが、すでに5000mを超える峠を二つ越え、今は順応もかなり進んできているので、峠への登りはさほど苦にはならなかった。 10時半前に小さな池がある氷河の取り付きに着き、アイゼンとハーネスを着けて、二組に分かれてアンザイレンして氷河を登る。 ラサックの頂が次第に手前の尖ったラサック・チコに隠されていく。 氷河は見た目どおり傾斜も緩く、全く問題なく登れた。
標高差200mほどの氷河を1時間ほどで登り、正午前に待望のラサック峠に着いた。 アグリから、峠の向こうに遠望される山並みはブランカ山群だという説明があった。 下からは広く見えた峠は思ったよりも狭かった。 気温の上昇で雲が湧き始めてしまったので、峠からは期待していたラサックの頂を見ることが出来ず、連日のようなグラン・ビスタは叶わなかった。 それでも一番標高の高い三つ目の5000m台の峠を無事越えられたことで、メンバー一同達成感と安堵感に満たされていた。
峠の反対側にも氷河は続いていたが、アイゼンとハーネスを外して左側の岩場を下ることになり、峠から少し下った所でランチタイムとなった。 食事中にアグリがこの先の下山ルートの確認に行ってくれた。 峠からは今日の目的地のハウアコーチャ(湖)は見えず、バロッサコーチャとラサックコーチャの二つの湖がこれから下る眼下のラサック谷の途中に見えた。 踏み跡の薄い岩場をアグリの巧みなルートファインディングで下り、途中から顕著なモレーンの背を下る。 一つ目のバロッサコーチャ(湖)とは反対側の凹地にモレーンの背から下り、ルピナスの群落の中を通って二つ目のラサックコーチャ(湖)の手前の草原に降り立つ。 周囲には放牧された牛が見られ、ここからの下りはもう問題ないことが分かった。 目を見張るような素晴らしい景観はないが、ラサックコーチャの湖畔の雰囲気は良く、時間が許せばここで一泊していきたいような感じがした。 湖の畔で一息入れ、ラサックコーチャから流れ出す沢の左岸を下る。
ハウアコーチャ(湖)が足下に見えるようになると、頭上にはワイワッシュ山群の北端のニナシャンカ(5607m)とロンドイ(5870m)が久々に望まれ、アルパイン・サーキットを一周してきたことを実感した。 ルピナスが群生する埃っぽい急斜面をジグザグを切りながら湖に向けて急降下し、4時半にラサック登山のB.Cとなるハウアコーチャ(湖)のキャンプ地に着いた。
テントや物資を運んでくるロバ達はラサック峠を越えられないので、その数倍の距離を延々と遠回りしてくるため、まだキャンプ地には着いてなかった。 意外にもキャンプ地からはラサックの頂は見えなくなり、ヒリシャンカ(6094m)が再び望まれるようになった。 間もなくロバ達が到着し、日没前にはテントに入ることが出来た。 夕焼けに染まる山や空が美しい。 夕食前のSPO2と脈拍は88と60で、笑ってしまうほど良かった。 入山してから一番標高が低いキャンプ地だから当然だろう。 気温も高くて暖かかった。 夕食は鶏肉のクリームソース煮で、おかわりをして食べた。