《 14日 》

トゥクトゥクパンパ(4250m) 〜 カルアック峠(4630m) 〜 カルアコーチャ(4150m)

   7月14日、朝焼けの景色を見ようと思ったが、体調が良くならないのでシュラフから出られないでいると、6時過ぎにスタッフがモーニングティーをテントに届けてくれた。 起床前のSPO2と脈拍は81と61で数値的には悪くないが、軽い頭痛は解消されず、睡眠不足か高度障害か分からないが目も痛かった。 高所に強い妻は頭痛もないようで羨ましい。 周囲が明るくなってからテントから這い出し、モルゲンロートに染まる神々しいヒリシャンカの写真を撮った。 朝の冷え込みは予想していたよりも厳しく、テントに霜が付いていた。 朝食は7時からダイニングテントで食べる。 まだメンバーの誰もが本調子ではない。 食欲は辛うじてあり、温めてもらったパンと絞りたてのマンゴージュースがありがたい。 

   8時にトゥクトゥクパンパのキャンプ地を出発。 雲一つない爽やかな快晴の天気だ。 今日はカルアック峠(4630m)という峠を越えてカルアコーチャ(湖)の湖畔のキャンプ地(4150m)まで行く。 地図を見る限りルート上に昨日のカカナン峠への登りのような急斜面はなさそうだ。 また、カルアコーチャ(湖)の標高は4138mなので、ここよりも100mほど低いことが嬉しい。 草原を歩き始めると呼吸が促進されて気分も良くなってきたが、まだまだ順応途上なので、昨日以上にゆっくり歩くことを心掛ける。 良く踏まれた幅の広い坂道を登っていくと、1時間足らずで傾斜は緩くなり、振り返ると昨日越えた岩の凹みのカカナン峠が見えた。 こまめに休憩を取り、緩やかな草のスロープをのんびり歩く。 テントを撤収してから出発したロバ達に早くも抜かれた。 空気は乾いているが埃っぽくないのが嬉しい。 前山に隠されていたヒリシャンカの頂がイェルパハを従えて再び見えるようになり、大らかなカルアック峠が前方に見えてきた。 今日は日本でひいた風邪が治らない朋子さんが途中から馬に乗ることになった。 

   11時半に今日の最高点のカルアック峠に着く。 開放感のある幅の広い峠は地肌が露出し、峠の向こう側も同じようになっていた。 峠からはヒリシャンカの左にイェルパハ(6634m)とシウラ・グランデ(6344m)が顔を揃え、思わず皆で歓声を上げた。 今日はまだ見えないと思っていたカルニセーロ(5960m)も遠望された。 峠の手前では風は殆ど無かったが、峠は風の通り道になっていたので、写真だけ撮ってカルアコーチャ(湖)方面へ下った。 

   峠の向こう側も登りと同じような緩やかな下りが続き、シウラ・グランデを正面に見ながらヤナヤナ谷を延々と下る。 峠からの素晴らしい展望もさることながら、午前中に今日の核心部(最高点)を通過し、これからカルアコーチャに向けてどんどん高度が下がっていくのが嬉しい。 適当な場所で休憩するつもりだったが、今日はあらかじめランチを食べる場所が決まっていたのか、峠からさらに休まず1時間以上歩き続けることになってしまった。 

   涸れた谷に小川が流れ始めると、羊や牛たちが草をはむ扇状地が眼下に広がり、間もなく足元に今日の目的地のカルアコーチャが見える場所(ビューポイント)に着いた。 眼前にはイェルパハとイェルパハ・チコ(6089m)が屹立し、湖の向こう側にはシウラ・グランデが重厚な面持ちで鎮座していた。 先ほどのカルアック峠からの展望を凌ぐ、正に“グラン・ビスタ”(スペイン語で大展望の意味)だ。 スタッフ達がここを昼食の場所に決めていた理由が納得出来た。 しばらくは足の疲れも忘れ、このグラン・ビスタに目が釘付けとなった。 昼食の後は連日の睡眠不足で睡魔に襲われ、うたた寝(シエスタ)をしてしまった。 

   天気が少し下り坂になってきたので、重い腰を上げて湖畔のキャンプ地に向かう。 途中のシウラ・グランデを正面に臨む高台にもう一つキャンプ地があり、3〜4パーティーのテントの花が咲いていた。 カルアコーチャへはカカナン峠やカルアック峠を越えることなく、車道が通じているクエロパルカ(3830m)から一日でアプローチ出来るからだろう。 そこから数百メートル先に湖畔のキャンプ地があり、まだ陽の高い2時半という理想的な時間にキャンプ地に着いた。 到着直後のSPO2と脈拍は共に81だったが、しばらくテントの中で昼寝をすると、脈拍は73まで下がった。 

   今晩あたりが初期順応のヤマ場なので、ティ−タイムの美味しいチーズ揚げは味見程度で我慢し、夕食も腹八分目に抑えて食べた。 夕食後にアグリから、明日の朝は早起きしてキャンプ地の裏の丘に登り、朝焼けの山を見に行きましょうという提案があった。 テントに戻ると昨夜と同じように強い睡魔に襲われすぐに眠りに落ちたが、昨夜と同じように日付が変わった頃に目が覚めてしまい、それから朝まで殆ど熟睡出来なかった。


トゥクトゥクパンパ(4250m) 〜 カルアック峠(4630m) 〜 カルアコーチャ(4150m)


トゥクトゥクパンパのキャンプ地から見たモルゲンロートに染まるヒシャンカ


朝食をダイニングテントで食べる


朝食のオムレツ


トゥクトゥクパンパのキャンプ地を出発する


トゥクトゥクパンパから見たヒシャンカ


ミトゥコーチャ(湖)の下部に広がるトゥクトゥクパンパ(草原)


昨日越えたカカナン峠(中央の岩の凹み)


カルアック峠への緩やかな登り


朋子さんが途中から馬に乗る


大らかなカルアック峠(中央)


カルアック峠の手前


カルアック峠は地肌が露出していた


開放感のある幅の広いカルアック峠      背景はシウラ・グランデ(中央)とイェルパハ(右)


シウラ・グランデを正面に見ながら緩やかにヤナヤナ谷を下る


羊や牛たちが草をはむ扇状地


足元にカルアコーチャ(湖)が見えるビューポイント


ビューポイントから見たカルアコーチャ


ビューポイントから見たイェルパハ(中央)とイェルパハ・チコ(右)


ビューポイントから見たイェルパハ(右)とシウラ・グランデ(左)


ビューポイントから見たシウラ・グランデ


昼食のマッシュポテトのサンドイッチ


高台にあったもう一つのキャンプ地(インカウエイン)


カルアコーチャの湖畔のキャンプ地


カルアコーチャの湖畔から見たヒリシャンカ(右)・イェルパハ・チコ(中央)・イェルパハ(左)


ティ−タイムのチーズ揚げ


夕食の鶏肉のクリームソース煮


疲れと睡眠不足で眠くなる


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