《 11月12日 》

ナムチェ ( 3 4 4 0 m ) ⇒ モンジョ ( 2 8 4 0 m ) ⇒ パクディン ( 2 6 1 0 m ) ⇒ ルクラ ( 2 8 4 0 m )

   11月12日、当初の予定ではニマソナはナムチェから昨日のうちにポルツェにトンボ返りし、パサン・カミと私達3人でルクラに行くことになっていたが、彼らが所属するエージェントのマウンテン・エクスペリエンス社が30人のトレッキングの団体を引き受けたことで、ナムチェに保管してあるレンタル用のシュラフをルクラまで運ばなくてはならなくなり、ポーターとしてニマソナが急遽借り出されることになった。 ニマソナは年配ながら体が大きいので、ポーターとしてもトップクラスだろう。 それにしても彼が背負う荷物は巨大で重そうだった。

   8時前にロッジを出発。 地図のコースタイムは6時間となっているが、ゴールのルクラ(2840m)まではアップダウンの多い行程だ。 一月前に入山した時は、この区間は雨で天気が悪かったが、今日はこのところずっと続いている快晴の天気だ。 意外にもナムチェを出てすぐのチェックポストで私達とパサン・カミが監視員に捕まった。 理由は入山時とメンバーが全く違うことに加え、林さん達のトレッキングガイドが偽名を使っていたことが原因だった。 交渉上手のパサン・カミが監視員と色々やりとりして何とか放免されたが、一歩間違えばここで無用な足止めを食うことになるところだった。 その先のエベレストが最初に見える広場では、往路では全く見えなかったエベレストの頂が小さいながらも樹間から見えた。

   広場からはジグザグに切られた坂道をぐんぐん下る。 ドゥードゥ・コシ(川)に架かる新しい吊り橋を渡り、長い石の階段を下って川の左岸に降り立つ。 ここからはゴールのルクラまでもう3000mを超えることはない。 ジョルサレ(2740m)の集落を過ぎると、ロッジのある小さな集落が所々に点在するようになり、街道という名称どおりになってくる。 正午前に中間点のパグディン(2610m)に着き、真新しいロッジで昼食を食べる。 ロッジの料理の質はもう下界と遜色なかった。 どうやらこのロッジにエージェントが引き受けた団体が泊まるようで、ニマソナは背負ってきたシュラフをロッジの人に渡していた。 

   パグディンからはアップダウンが連続するばかりか、ルクラまでは上り基調なので、予想していたこととはいえ目標を失った身には辛かったが、往路では全く見えなかったタムセルクやクスムカングル西峰(5579m)が突然見えたりして嬉しかった。 アマ・ダブラムやエベレストなどクーンブ山群の山々への憧れが続く限り、これからもこの道を何度か辿ることになるだろう。 最後の長い石畳の坂を登り、3時ちょうどにルクラに着いた。 村の入口には昨日から行われている山岳レースのゴールポストがあり、図らずも長旅のフィナーレに相応しい雰囲気だった。

   ロッジや土産物屋が所狭しと軒を並べるメインストリートを抜け、空港のすぐ手前にある『ナマステロッジ』に投宿する。 小奇麗な部屋にはシャワーも付いていた。 夕食前にパサン・カミとニマソナにビールをおごり、メールアドレスの交換などをして相応のチップを手渡した。 意外にも夕食後にはプルバも宿にあらわれ、ルクラでのポーターの手配を牛耳っているロッジのオーナーと打ち合わせをしていた。 プルバから、明日カトマンドゥの空港に迎えに来るエージェントの社長のタムディンに、アマ・ダブラム北稜の登山許可書を渡して欲しいと頼まれたが、石川さんら11人の登山隊のメンバーの中にスイスやNZで山岳ガイドをしているスーザンの名前があって驚いた。


ナムチェ (3440m) ⇒ モンジョ (2840m) ⇒ パクディン (2610m) ⇒ ルクラ (2840m)


ロッジの朝食


ニマソナが急遽ナムチェに保管してあるレンタル用のシュラフをルクラまで運ぶことになった


ナムチェから見たコンデ・リ


ナムチェからすぐのチェックポストで監視員に捕まる


エベレストが最初に見える広場からはエベレストの頂が小さいながらも樹間から見えた


ドゥードゥ・コシ(川)に架かる新しい吊り橋を渡る


新しい吊り橋から見た下の古い吊り橋


モンジョ(2840m)の集落


ベンカール(2630m)の集落からはタムセルクが大きく見えた


真新しいロッジで昼食を食べる


ロッジの料理の質は下界と遜色がなかった


パグディン(2610m)の集落


ガート(2500m)の集落から谷奥に見えたクスムカングル西峰(5579m)


ルクラの手前の長い石畳の坂を登る


ルクラの村の入口には山岳レースのゴールポストがあった


ナマステロッジ


ロッジの食堂


ロッジの寝室


夕食前にスタッフとメールアドレスの交換をする


夕食のチキンステーキ


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アマ・ダブラム