《 11月8日 》

    トゥクラ ( 4 6 2 0 m ) ⇒ ロブチェH.C ( 5 3 0 0 m )

   11月8日、6時に起床。 起床後のSPO2は90、脈拍は70と、昨日に引き続いて脈が高い。 緊張感で自覚症状は出ていないが、やはり疲れによる風邪のようだ。 今日は半日行程でロブチェ・イーストのH.Cに向かう。 H.Cの標高は5300mほどだが、雪が無いのでトレッキングシューズで登れるらしい。 ロッジの裏にはタウツェ(6367m)とチョラツェ(6335m)のコンビが屹立し、トゥクラ・パス(峠)の向こうにロブチェ・イーストの頂稜部が見えた。 8時前にニマソナやパサン・カミと一緒に6人でロッジを出発。 快晴無風の登山日和だ。 ロブチェ・イーストを正面に見ながら、トゥクラ・パス(峠)まで小さくジグザグを切りながらゆっくり登っていく。 4830mの峠まで標高差は200mほどだ。 トレッキングルート上には残雪が無く、トゥクラのロッジから50分ほどでタルチョがたなびくトゥクラ・パス(峠)に着いた。 風光明媚な峠で一息入れ、傾斜が殆ど無くなった道を進んでいくと、間もなくプモ・リが正面に見えるようになり、左手にロブチェ・イーストが徐々にその全容をあらわした。 

   トレッキングルートの傍らの岩に、赤い字で『←Lobuche・H.C』と記されている所から左に外れ、カールの底の扇状地に入る。 前回B.Cを設営した場所の雪は少なくなり、テントも無かった。 扇状地を緩やかに登って大きな池の畔を通り、H.Cに上がるカールの取り付きへ向かう。 取り付きには目印の大きな岩があり、そこから大小の岩が散在するカールの中を要所要所に積まれたケルンに導かれて登る。 H.Cが近づいた所でルート上に残雪があらわれたので、パサン・カミが迂回するためのロープを岩場に固定してくれた。 緩やかなスラブ状の岩を登り、11時半過ぎに労せずしてタルチョが張られたH.C(5300m)に着いた。 

   H.Cは予想よりも良い環境で、山々の展望が素晴らしいのみならず、近くに小さな池があるので水を作るのも楽だった。 テントサイトには他のパーティーのテントキーパーとテントが一張あった。 山頂方面へのルート上にはスラブ状の岩が続いており、3〜4人のパーティーが雪線に向かって登って行く姿が見えた。 暖かく風も弱いが、ポーターがまだ着かないので、テントが立たない。 1時間ほど待ってようやく二人のポーターがH.Cに上がってきたので、早速皆でテントを設営した。 昼過ぎのSPO2は85、脈拍は75だったが、ここの標高を考えれば許容範囲だろう。 順応は十分にしているので、頭痛などの症状はない。

   先ほどからヌプツェの山頂に笠雲がかかっているのが気掛かりだったが、夕方前に一時的に天気が崩れ小雪がパラついてヤキモキする。 明日の天気予報は分からないし、仮に悪くても日程の都合上予備日はないので、明日はアタックするしかない。 結局、私達の後からは誰も登ってこなかったので、明日山頂にアタックするのは私達の隊と、上で幕営している1パーティーのみだ。 フリーズドライの夕食を自炊して食べていると、下見に行ったパサン・カミから明日の出発は5時で良いとの指示があった。 テントが狭かったこともあるが、やはり高度の影響で殆ど眠れなかった。


ロッジの裏に屹立するはタウツェ(左)とチョラツェ(右)


ロブチェ・イーストを正面に見ながら、トゥクラ・パス(峠)へ登る


タルチョがたなびくトゥクラ・パス(峠)


トゥクラ・パス(峠)から見たロブチェ・イースト


トゥクラ・パスを過ぎると間もなくプモ・リが正面に見えるようになる


前回B.Cを設営した扇状地とロブチェ・イースト


前回B.Cを設営した場所の雪は少なくなり、テントも無かった


扇状地を緩やかに登る


扇状地の中枢にある大きな池


H.Cに上がるカール(中央)


ケルンに導かれてカールの中を登る


大小の岩が散在するカールの中


ルート上に残雪があらわれたので、パサン・カミが迂回するためのロープを岩場に固定してくれた


H.C直下の緩やかなスラブ状の岩


ヌプツェの山頂には笠雲がかかっていた


辿ってきたカールの底の扇状地と池


H.Cのあるコル


タルチョが張られたH.C


H.Cから見たアマ・ダブラム


H.Cから見たロブチェ・イーストの山頂(中央左奥)


ポーターが到着するのを待つ


H.Cは予想よりも良い環境だった


夕方前に一時的に天気が崩れ小雪がパラついた


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アマ・ダブラム