《 10月26日 》

チュクン ( 4 7 3 0 m ) ⇒ アイランド・ピークB.C ( 5 2 0 0 m )

   10月26日、夜中に咳が酷くなり、妻から風邪薬を無理やり飲まされる。 起床前のSPO2は87、脈拍は57で今日も数値だけは良い。 チュクンのロッジを8時に出発し、アイランド・ピークB.C(5200m)に向かう。 今日も快晴無風の良い天気だ。 小沢を渡りモレーンの背に上がる。 いよいよ近づいてくるアイランド・ピーク(6189m)の周囲を、それ以上に高い山々が壁のように取り囲んでいる。 振り返るとタウツェもまだ近い。 トレッキングルートを覆う雪はまだ溶けずに残っているが、多くの登山者、トレッカー、ポーター、そしてヤクやゾッキョによって立派なトレースが出来ていた。 通常この時期はH.C(5600m)まで殆ど雪がないらしい。

   間もなく氷河の末端の扇状地に出ると、前方にバルンツェ(7152m)が見えるようになった。 右手に屹立するカン・レヤムウ(6340m)はどんどん頂を尖らせてその姿を変えていく。 チュクンから2時間ほど歩くと、アイランド・ピークの全容が望めるようになった。 その横にはローツェの南壁が圧倒的な高さで屹立し、カラ・パタール同様に、山頂を待たずに素晴らしい展望が目白押しとなった。 アイランド・ピークの山裾を右から回り込むように、バルンツェを正面に仰ぎ見ながら、残雪が次第に増える扇状地を緩やかに登っていく。

   お昼近くになってようやく前方にB.Cのテント村が見えてきた。 B.Cの入口にはまだ半分雪に埋もれた石造りの管理棟のような建物があり、その先にはトレースの両脇に各隊のテントが雑然と設営されていた。 私達のテントは公共のトイレがあるB.Cの中ほどではなく、混雑を避けてH.C寄りの離れた場所に設営されていた。 正午前にカン・レヤムウを間近に仰ぎ見るB.Cのテントに着いた。 本来ならB.Cでは一人で個人用テントを使えるが、滞在期間も短く予算その他エージェントの都合で、ロッジと同じように二人で一つのテントとなった。 テントの周りの雪が深いので、トレースのある所しか歩けず、B.Cとしては全く寛げない環境だ。 食堂テントも小さく、まだ足元に雪が残っていて寒々しかった。 それでも昼食には、久々に肉(缶詰のランチョン・ミート)が出た。 

   午後はテントの中で明日からのアタックに向けての準備をしたりして過ごす。 SPO2は89、脈拍は67で軽い頭痛がした。 夕方、写真を撮りに少しH.C方面に歩いて行くと、テント場のすぐ裏に氷結したイムジャ・ツォ(湖)が見えた。 夕食は今日もダルバート。 スタッフを通じて今日また一人の日本人がB.Cからアイランド・ピークを登ったという情報が入った。 放射冷却で気温が低く、ダイアモンドダストが見られた。 風邪が治っていないためか、5200mという標高のせいか寒さで眠れず、途中からダウンジャケットを着込んで寝たが、体が温まってくると今度は咳が止まらず、妻の安眠を妨げてしまった。


チュクンからアイランド・ピークB.Cへ


最奥のロッジが点在するチュクン


モレーンの背を歩く


モレーンの背から見たアイランド・ピーク


モレーンの背から見たアマ・ダブラム


モレーンの背から見たローツェ(右)とヌプツェ(左)


モレーンの背から見たタウツェとチョラツェ(右隣)


氷河の末端の扇状地から見たバルンツェ


氷河の末端の扇状地から見たカン・レヤムウ


チュクンから2時間ほどでアイランド・ピークの全容が望めるようになった


ローツェの南壁が圧倒的な高さで屹立する


バルンツェを正面に仰ぎ見ながら残雪が次第に増える扇状地を緩やかに登る


公共のトイレがあるB.Cではトレースの両脇に各隊のテントが雑然と設営されていた


カン・レヤムウを間近に仰ぎ見るB.Cの個人用テント


昼食のランチョン・ミート


個人用テントは二人で一つを使う


B.Cから見たチョ・ポル(左端)と無名峰


B.Cから見たバルンツェ


氷結したイムジャ・ツォ(湖)


食堂テントでの夕食


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アマ・ダブラム