《 10月27日 》

アイランド・ピークB.C ( 5 2 0 0 m ) ⇒ アイランド・ピークH.C ( 5 5 0 0 m )

   10月27日、B.Cは高い山々に囲まれているため、7時を過ぎてようやくテントサイトに陽が当たり始めた。 寒さでピーボトルも凍っている。 間もなくキッチンボーイが温かいミルクティーをテントに届けてくれた。 起床後のSPO2は89、脈拍は63で少し倦怠感があった。 妻はいたって元気で羨ましい。 今日は標高差で400mほど上のH.C(5600m)に上がるだけなので、出発は午後からとなった。 昨日までずっと快晴無風の天気が続いていたが、運が悪いことに、今日から数日間は天気があまり良くないようだ。 風も吹き始め、食堂テントがバタついていた。 アイランド・ピークがメインで予備日があれば、今日からアタックはしないだろう。 

   早めの昼食を食べ、正午過ぎにH.Cに向けて出発する。 メンバー一同昼食を美味しそうに食べていたので、順応はバッチリだ。 いつものことながら、一番順応が怪しいのは私だろう。 同行するスタッフは、サーダーのパサン、タシ、ナムギャル、ニマソナ(今回はテントキーパー)の4人だ。 雪が無ければ高所靴はヤクに運んでもらい、H.Cまでトレッキングシューズで行けるが、今回はここから高所靴を履いて登る。 後退した氷河の縁に沿ってしばらく緩やかに登った後、雪が溶けたばかりの湿った草付の急斜面に取り付く。 踏み跡は薄いが、どこでも登れてしまうので、登り易そうな所を選んで登る。 登るにつれて雲が多くなり、一時は雨でも降り出しそうな空模様になった。 早く登ってしまいたいという思惑のあるスタッフ達のスピードに引きずられ、通常2時間ほど掛かるH.Cまで休憩もせずに1時間半ほどで登ってしまった。 

   意外にもアイランド・ピークの頂稜部の地形は複雑で、H.Cからはどこが山頂だか判然としなかった。 意外にもH.Cには岩が多く、雪が無ければ凸凹でテントが設営しにくいと思った。 そのせいか、殆どの隊がB.Cから直接山頂に登っているようで、H.Cには私達以外のテントはあまりなかった。 テントの数が少ないので、女性陣の3人が一つのテントに入ることになり、私は平岡さんと同じテントになった。 強くはないが風が吹き止まないので、テントの中でじっとして過ごす。 平岡さんのGPSではH.Cの標高は5500mとのことだった。

   頭痛はしなかったが、夕食前のSPO2は75、脈拍は75と、この高さでは良くもなく悪くもなかった。 5時になると、スタッフが炒飯を作ってテントまで届けてくれた。 6時過ぎには寝たが、予報どおり風が徐々に強くなり、こともあろうに雪が降り始めた。 万事休すかと思ったが、日付が変わる頃には止んでくれたので助かった。


B.Cのテントサイト


食堂テントでの朝食


正午過ぎにH.Cに向けて出発する


後退した氷河の縁に沿ってしばらく緩やかに登る


雪が溶けたばかりの湿った草付の急斜面に取り付く


踏み跡は薄いので、登り易そうな所を選んで登る


予報どおり一時天気が崩れそうになった


H.Cの手前から見た山頂方面


岩の多いH.Cには私達以外のテントはあまりなかった


H.Cから見たバルンツェ


夕食の炒飯


B A C K  ←  《 10月26日 》

N E X T  ⇒  《 10月28日 》

アマ・ダブラム