《 10月20日 》

ディンボチェ ( 4 4 1 0 m ) ⇒ ナガゾン前衛峰 ( 5 0 8 3 m ) ⇒ ディンボチェ ( 4 4 1 0 m )

   10月20日、日付が変わった頃から空腹感で眠れなくなった。 風邪の初期症状のように手先が冷たい。 起床前のSPO2と脈拍は80と65であまり良くない。 久々に早朝から天気が良く、ロッジ付近からタウツェ(6367m)が良く見えた。 朝食はスープ代わりのララ・ヌードルとパンケーキ。 今日は順応のためディンボチェに滞在し、集落の背後に聳えるナガゾン(5616m)の前衛峰(5083m)へのハイキングに出掛ける。 泉さんは風邪のためロッジで留守番、田口さんは知り合いのシェルパに会いに一つ先の集落のチュクンへ行くことになった。

   8時にロッジを出発し、ナガゾンへの顕著な尾根の末端に向かって雪の溶けた草付の斜面を登っていく。 こぢんまりとしたディンボチェの集落が眼下に見え、逆光ながらアマ・ダブラム・タムセルク・カンテガの眺めが良い。 ロッジから僅か15分ほど登ったタルチョのたなびく峠のような所からは、タウツェ・チョラツェ(6335m)・ロブチェ・イースト(6119m)などの山々の展望が一気に開け、思わず歓声をあげた。 明日のロブチェ方面へのトレッキングルートも良く見えたが、降雪により広い牧草地は雪原と化していた。 

   峠からはナガゾン(5616m)への広い尾根を案内役のパサンを先頭に登っていく。 ルート上には所々にケルンが積まれていた。 急ぐ必要は無いので、各々のペースで久々にクリアーに見える山々の展望を楽しみながら登る。 アイランド・ピークも良く見えた。 間もなく残雪が山肌を覆うようになったが、意外にもトレースは続いていた。 ようやく乾期らしい青空となり、山々の展望はさらに磨きがかかった。 気温も上がって温かくなり、節子さんがまるで残雪期の日本の山のようだと言った。

   積雪は標高に比例して増してきたが、トレースに助けられ尾根の末端から2時間少々で長いポールが立つナガゾンの前衛峰に着いた。 さすがに気温の上昇で雲が湧き始めたが、それでも360度の大展望に恵まれ、お手軽な裏山への順応のハイキングとしては最高だった。 ここから眺める周囲の6000m級の山々は、険しいが不思議とそれほど高度は感じなかった。 山頂を独占していると、意外にも大きなカメラを携えた若い日本人が単身登ってきた。 もともと登山目的ではなく、世界中を放浪しているとのことだった。 やはりエベレスト街道はメジャーな観光地だということを再認識した。

   山頂での展望を充分に堪能し、足取りも軽く下山する。 ヒマラヤ襞が美しいカン・レヤムウ(6340m)が初めて見えた。 下りのスピードは速く、12時半にはロッジに着いた。 遅い昼食を食べ、午後は食堂でのんびりと寛ぐ。 昨夜の睡眠不足で軽い頭痛がしたが、夕方にはSPO2が90、脈拍も60を切るようになり、体調はなぜか朝よりも良くなった。


久々に早朝から天気が良く、ロッジ付近からタウツェが良く見えた


朝食のパンケーキ


タルチョのたなびく峠のような所から見たタウツェとチョラツェ(右端)


降雪により雪原と化したロブチェへ方面のトレッキングルート


尾根の末端からは広い尾根を案内役のパサンを先頭に登る


アイランド・ピーク(中央)


各々のペースで山々の展望を楽しみながら登る


カンテガ(中)とタムセルク(右)


残雪が山肌を覆うようになったが、意外にもトレースは続いていた


タウツェ(左)とチョラツェ(右)


アマ・ダブラム


イムジャ・コーラ(川)の流れる谷


ナガゾンの前衛峰の直下では積雪が多くなった


長いポールが立つ前衛峰の山頂


前衛峰の山頂


前衛峰の山頂から見た本峰のナガゾン(5616m)


前衛峰の山頂から見たチョラツェ


雲の湧き始めた山頂を辞する


下りのスピードは速い


ヒマラヤ襞が美しいカン・レヤムウ


昼食のチーズ入りフライドライス


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アマ・ダブラム