《 10月15日 》

ナムチェ ( 3 4 4 0 m ) ⇒ クムジュン ( 3 7 8 0 m )

   10月15日、夜中に3〜4回軽い頭痛で目が覚める。 冷たい雨が降り続いているので暖房の無い寝室は寒い。 村の周囲にある山々の山肌はかなり下まで白くなっていた。 恐らく高い山では相当量の積雪となっていることだろう。 

   今日は昨日以上に楽な行程で、シェルパ族の故郷として知られるクムジュンの村(3780m)に向かう。 雨が小降りになるのを待って9時に出発。 メインストリートの狭い石の階段を登り、眼下にナムチェの村を見下ろしながら急な坂道を登る。 1時間近く登ると『エベレスト・ビュー・ホテル』との分岐があり、その手前で休憩していると、意外にも昨年のヒムルン・ヒマールで一緒に山頂に立ったフィンジョ(チェリンの弟)が、わざわざ見送りに下から駆けあがって来てくれ、嬉しい再会となった。 天気が悪いので『エベレスト・ビュー・ホテル』には立寄らず、最短距離でクムジュンに向かう。 

   道は一変して緩やかになり、シャンボチェの空港跡(現在はヘリポート)を左手に見ながら、石造りの古いチョルテン(仏塔)がある丘を過ぎると、明るく開けた峠に出た。 晴れていればここからアマ・ダブラムはもちろん、エベレストやローツェが一望出来るらしい。 峠から石の階段を急降下すると、足下にクムジュンの村が見えてきた。 村の入口にはヒラリー卿が建てた学校があった。 村の入口の門をくぐり、“メンダン”というマニ石を並べた長い壁に沿って歩いていくと、新しい2基のチョルテンが建つ広場があり、そこがもう今日宿泊するプルバ(ラッセル・ブライス隊のサーダー)が経営するロッジだった。 順応を兼ねているものの、昨日以上に楽な行程で、僅か1時間半ほどしか歩かなかった。 

   ロッジではプルバと二年ぶりに再会した。 今シーズンのラッセルの隊のアマ・ダブラム登山は、私たちが登るノーマル・ルートの北西稜からではなく、まだ未踏の北稜からアタックすることになっており、石川直樹さんと登山家の平出和也さん、そして隊のガイドの田村真司さんの三人の日本人がエントリーしている。  お昼はララ・ヌードル(インスタントラーメン)を食べる。 昼食後に初めてSPO2を測ってみると、私が86(脈は70)で妻は89(脈は74)だった。 ロッジには他に唯一日本人の中年のご夫婦がいた。 ゴーキョ・ピーク(5360m)へのトレッキングに行く予定だったが、ゴーキョ(4750m)から先では積雪が1mほどあるとのことで引き返してきたとのことだった。

   ようやく雨が小降りになってきたので、カフェに行くことを目的に村の散策に出掛ける。 クムジュンの村は寒村かと思っていたが、家々の屋根は緑色に統一され、整然と建ち並んでいたので驚いた。 村外れの丘の上に建つ『ヒラリー・チョルテン』と名付けられた記念碑までのんびり歩いていくと、ようやく三日間降り続いた雨が止んだ。 ここも展望が利くポイントなのだろうが、まだまだ青空は望めない。 帰路は村に一軒だけある垢抜けたカフェでのんびり寛ぐ。 ケーキやパンの種類はナムチェのカフェに比べると格段に少ないが、アップルスチュードルが美味しかった。 ネパールではリンゴが良く食べられているようだ。

   ロッジに戻ると、今度はパサンの弟のタシ(昨年のヒムルン・ヒマールのスッタフ)が現れた。 今シーズンはラッセルの隊に参加しているとのことだったが、さすがにエベレスト街道は彼らのホームグラウンドなんだと改めて感じた。 カトマンドゥでB.Cへ直行するよう手配したアタック用の服や登攀具一式も雨で濡れてしまったので、急遽それらの荷物をクムジュンのロッジに集めることになった。 夕食は皆それぞれ新しいメニューにチャレンジしていたが、ピザは美味しくなかった。 天気は徐々に回復し、夕食後は満月に照らされた神々しいアマ・ダブラムが初めて見え、皆で撮影大会となった。 寝る前のSPO2は88、脈拍は62だった。


ナムチェ (3440m) ⇒ クムジュン (3780m)


村の周囲にある山々の山肌はかなり下まで白くなっていた


朝食のフレンチトースト


小雨の中を歩き始める


ナムチェの村を見下ろす


フィンジョと再会する


大きな石造りの古いチョルテン(仏塔)がある丘


クムジュンの手前にある明るく開けた峠


峠から石の階段を下ると、足下にクムジュンの村とヒラリーが建てた学校が見えた


クムジュンの村の入口の門


プルバが経営するロッジ


二年ぶりにプルバと再会する


ロッジの寝室


ララヌードル(インスタントラーメン)


村の散策に出掛ける


村外れの丘の上に建つ『ヒラリー・チョルテン』と名付けられた記念碑


クムジュンの村は家々の屋根が緑色に統一され、整然と建ち並んでいた


垢抜けた 喫茶店でのんびり寛ぐ


アップルスチュードル


タシと再会する


夕食は皆それぞれ新しいメニューにチャレンジしていた


夕食のピザ


夕食後は皆で撮影大会となった


満月に照らされた神々しいアマ・ダブラムが初めて見えた


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アマ・ダブラム