《 10月18日 》

B.C ( 4 9 2 0 m ) ⇒ C.1 ( 5 5 0 0 m )

   10月18日、今日は朝から快晴の天気だ。 風邪は完治せず、頭も重く喉も痛い。 夜中に頭痛や尿意とは関係なく4回も目が覚めた。 鼻をかむと鮮血でハンカチが真っ赤に染まる。 レンタルの寝袋は相変わらず窮屈だった。 起床前のSPO2と脈拍は82と60、起床後は88と62で、B.C入りした時と殆ど変らなかった。 順応不足で体調は明らかに悪いので、まだ上部キャンプには上がりたくないが、今日から3泊4日の順応ステージということで、C.1(5500m)に1泊とC.2(6100m)に2泊する。 最後のアタックステージはB.Cからなるべく身軽で行きたいので、上部キャンプに上げられるものは全て今回ボッカしてしまおうと考えていたが、逆に今回は必要最低限のものだけに絞ることにした。 

   パンケーキとインスタントラーメンの朝食を食べ、スタッフが用意したチョコレートやチーズなどの行動食をチョイスして9時過ぎにB.Cを出発。 前回の下見でC.1の場所や泊まるテントは分かっているので、各々のペースで登る。 るみちゃんは皆よりも少し早く出発し、割石さん、泉さん、滝口さんも足取りは軽くどんどん先に登って行く。 最後に出発した平岡さんと藤田さんにもすぐに追いつかれ道を譲る。 B.Cでもギリギリの体調なので、皆と同じペースで登ることなく、極力体に負荷をかけないようゆっくり登る。 B.Cからケルンが積まれたモレーンの背の頭までの標高差250mを、前回の下見の時とほぼ同じ1時間15分で登れたが、順応していなかった前回よりも明らかに消耗していることが分かる。 すでに誰もいなくなったモレーンの背の頭で一息入れ、先行している皆の小さな後ろ姿を追いながら義務的にC.1への踏み跡を辿る。 途中2度も休憩したので、皆の姿も視界から消え、B.Cから3時間以上を要して12時半前にC.1に着いた。 眼前に鎮座する6416mの前衛峰は相変わらず威圧的だ。 今日から一緒のテントになる割石さんがテントの中から遅い到着を労ってくれた。 SPO2と脈拍は86と100で、脈が予想以上に高かった。

   水作りを楽にするため、少し登った先にある氷河の末端から溶け出している水を取りに行ったが、黒く濁っていて使えなかった。 C.1付近の雪は硬く、また汚れているので水作りも時間が掛かった。 コーヒーや紅茶を頻繁に飲みながら深呼吸を何度も行い、脈を下げる努力をする。 昼寝をしている割石さんや隣のテントで賑やかに談笑している泉さんと平岡さんが羨ましい。 夕方の5時頃にようやく脈が80を切り、何とか今晩ここで泊れそうな状態になったが、同室の割石さんと話をする元気もなく、必要なこと以外は殆ど喋らずに過ごした。

   夕食はフリーズドライのカレーと白米を自炊したが、昨夜までのB.Cでの楽しい宴とは全く違い、味わいながら美味しく食べることが全く出来ず、ただ義務的にお腹に押し込んでいるという感じだった。 C.2ではさらに食欲が落ちることが予見されたので、今回ボッカするはずだった食糧をいくつか減らし、C.1にデポしていくことにした。


朝食のインスタントラーメン


スタッフが用意したチョコレートやチーズなどの行動食


C.1へ各々のペースで登る


先行している皆の小さな後ろ姿を追いながら義務的にC.1への踏み跡を辿る


眼前に鎮座する6416mの前衛峰は相変わらず威圧的だ


皆からだいぶ遅れてC.1に着く


自炊したフリーズドライの食糧


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ヒムルン・ヒマール