《 10月13日 》

プー ( 4 0 8 0 m ) ⇒ B.C ( 4 9 2 0 m )

   10月13日、トレッキング7日目。 今日はいよいよB.C入りだ。 起床前のSPO2と脈拍は87と56で昨日よりもほんの少しだけ良い。 朝食はスープ代わりのインスタントラーメンにチーズオムレツと揚げパン。 8時前にプー村を出発する。 

   プーコーラを渡り、パングリ氷河の後退した広いサイドモレーンの緩やかな斜面を登る。 間もなく左手に昨日見たラトナチュリ(7035m)が見えるようになった。 同峰も日本隊が最初に登った山だ。 最初はサイドモレーンの左岸を登っていたが、後から来るスタッフ達がモレーンの中ほどを登っているのが見えたので、途中から軌道修正して登る。 プー村を出発してから2時間ほどで、ようやく懐の深いヒムルン・ヒマール(7126m)やその右隣りにヒムジュン(7092m)の頂稜部が見え始め、さらにペリ山群の5つの7000m峰のうち残りの2峰のネムジュン(7139m)とギャジカン(7038m)の頂稜部も相次いで見えるようになった。 頭を揃えたペリ山群の山並みを正面に見ながらモレーンを登る。 さすがに7000m峰だけあってどの山も険しく、そしてスケールが大きい。 途中からモレーンの傾斜が緩み、1時間ほどほぼ水平に歩く。 B.Cから下ってきた男女3人のパーティーとすれ違ったので、登頂の成否やルートの状態を尋ねると、彼らはイギリス人で、C.3(6400m)付近まで登ったが、トレースも無く雪が深くて敗退したとのことだった。 先行してB.C入りしているスタッフから、すでに何隊か入山しているとの情報があったが、まだ今シーズンはどの隊も登っていないようだ。 

   ヒムルン・ヒマールの頂は再び見えなくなり、正午に地図には載っていない広い平坦地に着いた。 標高は4600mほどで、いくつかの石造りのカルカが見られた。 ここは以前のB.Cの跡なのだろうか、しばらく整地したような平坦地を歩き、モレーンから外れて緩やかな登りに入る。 さすがに5000m近くになってきたので、普通に歩くと息が切れるようになり、初めて体が高度を感じるようになった。 プー村を出発してから5時間ほどで、ようやく前方に待望のB.Cが見えてきた。 B.Cは想像していたよりもずっと広く、相当数のテントが張れそうだったが、手前の方に3〜4隊のテントがあるだけだった。 

   1時半に広いB.Cの一番上のテントサイトに着く。 プー村から歩いた時間と距離はさほどでもないが、高度の影響で今までのトレッキング中で今日が一番疲れた。 すでにキッチンテントとダイニングテントは設営されており、2週間前から偵察やルート工作をしていたというスタッフのアンドゥーが出迎えてくれた。 アンドゥーは日本人に似た顔立ちの21歳の好青年だ。 アンドゥーの話では、最初にいた2隊はすでに下山し、今日C.3からアタックしている隊があるとのことで、現在B.Cにテントがあるのは、ドイツ・スイス・イタリアの隊とのことだった。

   間もなくB.Cに着いたスタッフ達が素早く個人用テントを建ててくれ、休む間もなくスコップとつるはしでトイレとシャワーテントの基礎を作り始めた。 個人用テントに荷物を搬入し、室内をカスタマイズしたり、色々な荷物の整理をする。 到着後のSPO2と脈拍は86と80で脈が高かったが、水分補給に努めたので夜には脈が62まで下がった。 B.Cでは7人でちょうど良いスペースのダイニングテントで食事をする。 夕食のおかずは野菜入りのマカロニ、羊肉の甘辛煮、ピーマンのおかか和えとワカメの味噌汁。 コックのドゥルゲの料理のバリエーションは多彩で、毎度の食事の献立が楽しみだ。 今日からは少し食べる量を控えようと思っていたが、ありがたいことにまだ体調が良かったので、またお腹一杯に食べてしまったた。 夕食後にサーダーのパサンから正式にアンドゥの紹介があった。 個人用テントに戻ると、少し降雪があったようで、テントが白くなっていた。


プー(4080m) ⇒ B.C(4920m)


プー村を出発する


パングリ氷河の後退した広いサイドモレーンの緩やかな斜面を登る


ラトナチュリ(7035m)


奥深いヒムルン・ヒマールの頂稜部が見え始める


右からヒムジュン(7092m)・ヒムルン・ヒマール(7126m)・ヒムルン・ヒマール前衛峰(6414m)


ネムジュン(7139m/左)とギャジカン(7038m/右)


頭を揃えたペリ山群の山並みを正面に見ながらモレーンを登る


モレーンの傾斜が緩み、1時間ほどほぼ水平に歩く


石造りのカルカがある広い平坦地


整地したような平坦地を歩く


モレーンから外れて緩やかな登りに入る


前方に待望のB.Cが見えた   右端がヒムルン・ヒマール前衛峰(6414m)


広いB.Cの一番上のテントサイトに着く


スタッフのアンドゥーが出迎えてくれた


快適な個人用テント


7人でちょうど良いスペースのダイニングテント


夕食の羊肉の甘辛煮


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ヒムルン・ヒマール