《 10月14日 》

B.C ( 4 9 2 0 m ) ⇒ 高所順応 ( 5 4 0 0 m ) ⇒ B.C ( 4 9 2 0 m )

   10月14日、B.C滞在1日目。 今日から予備日の5日間を入れて21日間の登山活動に入る。 明け方のテント内の気温は0度と寒い。 起床前のSPO2と脈拍は82と68で初日にしては悪くなかったが、夜中は1時間半おき位に軽い頭痛で目が覚めた。 昨年のマナスルのB.C(4750m)と標高は同じくらいだが、季節が1か月以上遅いためかとても寒く感じる。 キッチンスタッフが個人用テントにモーニングティーと洗面器にお湯を入れて届けてくれたので、久々に足を洗えた。 快晴の天気だがB.Cは山の西側にあるため、7時を過ぎても陽が当たらない。 B.Cからはポカラカング(6372m)や遠くアンナプルナ山群の一部が見えるが、肝心のヒムルン・ヒマールの頂は前山に隠され見えなかった。

   朝食はスープ代わりのインスタントラーメンにグレープ味のパンケーキとゆで卵。 食べ終わった後でようやくダイニングテントに陽が当たり、リラックス出来るようになる。 今日はスタッフ達は休養日で、私達は順応と偵察を兼ねて午前中にA.B.Cの建設予定地(5200m)周辺までの散歩に行く。 朝食後のSPO2と脈拍は84と92になり、脈が異常に高くなってしまった。 

   9時前にB.Cを出発する。 るみちゃんは体調があまり良くないとのことで散歩には行かず、B.Cで休養することになった。 B.Cからしばらく登ると足元の雑草はなくなり、痩せたモレーンの背に上がる。 道は予想していた以上に良く踏まれていた。 陽射しは強いが気温が低いのであまり暖かさは感じない。 藤田さんと割石さんはB.Cまでのトレッキングと全く変わらない身のこなしで登って行く。 泉さん、滝口さん、そしていつも順応が人一倍遅い私の順に続く。 1時間ほど登ると、指先や首筋に寒気を感じるようになった。 どうやら寒さは気温の低さだけではなく、酸欠の症状のようだった。 右手にギャジカン(7038m)が見えるようになり、少し足取りが軽くなったが、それも長続きはしなかった。 モレーンの背を登り詰めた所には大きなケルンがあり、B.Cから1時間少々で着いた。 B.Cからの標高差は250mほどだったが、B.Cは遥か眼下に見えた。 モレーンの背の頭からはようやく大きな図体のヒムルン・ヒマールの前衛峰(6416m)が見えた。 本峰はあの前衛峰を越えなければ見えないだろう。 

   モレーンの背の頭からは一旦少し下り、小さなケルンに導かれて踏み跡を辿る。 すぐにA.B.Cの建設予定地(5200m)の平坦地に着いたが、個人用とダイニングテントを張るスペースとしては狭く、炊事等で使える雪も無かったので、A.B.Cを出す計画は白紙になりそうだった。 再び登りになると、軽い頭痛がして指先もさらに冷たくなり、足も上がらなくなってきた。 間もなく滝口さんがリタイアしたので、男性軍だけでさらに先に進む。 道は次第に勾配がきつくなり、ギャジカンが眼前に大きく迫る5400mくらいの所までだましだまし登る。 あと100mも登ればC.1の建設予定地(5500m)の氷河にタッチ出来そうだが、無理はせず今日はこれまでとする。 平岡さんはC.1の状況を自分の目で確かめたいとのことで、ここで別れて私達は一息入れてからB.Cへ下った。 

   正午過ぎにB.Cに戻る。 昼食を食べ、午後はダイニングテントや個人用テントで寛ぐ。 SPO2は80台の前半だが、脈が70台の前半を切らず、夕食時まで軽い頭痛が続き、マナスルでも経験した左目の奥が痛くなる風邪のような症状が出た。 また、下痢にはならなかったが、入山以来初めて便も緩くなった。 夕食は玉子とじ丼とツナのピザだったが、今晩からは腹八分目にすることを心掛ける。 バッテリーが充分チャージ出来たので、夕食後に平岡さんが自身のブログに届いたメッセージを読み上げてくれた。 就寝前のSPO2と脈拍は80と64になった。


B.C ( 4 9 2 0 m )

 

B.Cは山の西側にあるため、7時を過ぎても陽が当たらない


キッチンスタッフが個人用テントに洗面器にお湯を入れて届けてくれた


朝食後にようやくダイニングテントに陽が当たる


個人用テント


トイレ(奥)とシャワー(手前)テント


ダイニングテント(左)とキッチンテント(右)


順応と偵察を兼ねてA.B.Cの建設予定地(5200m)周辺までの散歩に行く


痩せたモレーンの背に上がる


モレーンの背の途中から見たB.Cとポカラカング(6372m)


右手にギャジカン(7038m)が見え始める


大きなケルンのあるモレーンの背の頭(右上)


モレーンの背の頭から見たヒムルン・ヒマールの前衛峰


モレーンの背の頭から見たB.C


モレーンの背の頭から一旦下る


A.B.Cの建設予定地(5200m)


男性軍だけでさらに先に進む


モレーンの踏み跡は次第に勾配がきつくなる


ギャジカンが眼前に大きく迫る5400mくらいの所まで登る


モレーンの背の頭に向けて下る


モレーンの背の頭からB.Cに向けて下る


昼食の三色丼


夕食のツナのピザ


B A C K  ←  《 10月13日 》

N E X T  ⇒  《 10月15日 》

ヒムルン・ヒマール