《 10月10日 》

メタ ( 3 5 6 0 m ) ⇒ キャン ( 3 8 2 0 m )

   10月10日、トレッキング4日目。 昨日は計画よりも少し多目に歩いたので、今日は半日行程でキャン(3820m)というキャンプ地に行く。 7時半にメタのロッジを出発したが、まだこの時間には周囲の山に遮られて陽が当たらず寒い。 出発して間もなくナル村(4110m)への道とプー村(4080m)への道が分岐していた。 左のナル村へは深い谷を吊り橋で渡る。 ナル村の先のカン・ラ峠(5306m)を越えればアンナプルナ街道に出ることが出来る。 深い谷の対岸にはゴンパ(僧院)とキャンプ地が見えた。 メタのキャンプ地にロッジが出来たのは、昨日辿ったナルコーラ沿いの道と吊り橋が整備されたことで入山者が増えたことに他ならない。 分岐付近から谷底を流れる川はナルコーラからプーコーラに名称が変わる。  

   プーコーラの渓谷に入ってからは陽の当たらない薄暗い谷底を歩くことは殆どなくなり、専ら展望の良いその左岸の高台を緩やかに登り下りしながら辿っていく。 昨日まで雪が無かった周囲の5000m台の無名峰にもうっすらと昨晩の新雪が付き、右岸に屹立する荒々しい屏風のような岩峰の連なりが威容を誇っている。 間もなく以前から登りたいと思っていたピサンピーク(6019m)が突然その姿を前山の背後から現した。 思いがけない所で不意に雪を戴いた山が見えてくるのが、ネパール・ヒマラヤのトレッキングの面白さだと実感した。 ピサンピークの展望が良いジュナム(3640m)のキャンプ地を通り、メタから2時間半ほどで放牧小屋が建つチヤコ(3735m)という広い牧草地に着く。 定住者がいるかどうかは分からないが、荒々しい岩峰と深い渓谷の間にこのような広い牧草地があることが不思議だ。 私達の荷物を運ぶロバ達が追い着き、一斉に草を食み始めた。 

   牧草地を過ぎると紅葉した木々が点在する斜面をトラバースし、枝沢を頑丈な鉄の橋で渡り、峠のような所に向かって登り返す。 峠の標高はすでに3900mを超え、目的地のキャンよりも高かった。 すれ違った外国人トレッカーが、キャンはもうすぐそこだと教えてくれたが、平岡さんの提案で高所順応のため、峠からルートを外れて傍らの4000mほどあるピークに登ることになった。 峠からひと頑張りで着いたピークは展望も良く、しばらく順応のため休憩してから眼下のキャン(3820m)のキャンプ地に向けて一気に下る。 12時半に目的地のキャンに着いた。

   絶壁に囲まれた広い牧草地のキャンプ場には管理棟もあり、とても良い雰囲気のする所だった。 またロケーションも抜群で、ここがB.Cだったら本当に良かったと思わざるを得なかった。 陽射しが暖かく、スタッフが個人用テントやダイニングテントを設営してくれるのをのんびりと待つ。 テントが建つと早速スタッフがインスタントラーメンを作ってくれた。 3時のティータイムはダイニングテントでおやつを食べながら寛ぐ。

   夕食は日本食で、普通のご飯にワカメの味噌汁、オクラの鰹節和え、そしてメインは羊の肉のカツだったが、その後もこちらから希望しない限りは基本的に日本食だった。 まだ高度を感じることもなく、今日もお腹一杯に食べた。 寝る前のSPO2(酸素飽和度)と脈拍は昨日とほぼ同じで85と60だったが、体調はとても良かった。


メタ(3560m) ⇒ キャン(3820m)


早朝のロッジから見たラムジュン・ヒマール(6983m)(左)と無名峰(6897m)(右)


朝食のパンケーキ


ナル村へのトレッキングルートの起点にあるゴンパ(僧院)


プーコーラの右岸に屹立する5000m台の荒々しい岩峰


ピサンピーク(6091m)


屏風のような岩峰の連なり


ジュナム(3640m)のキャンプ地


プーコーラの左岸に屹立する5000m台の無名峰


放牧小屋が建つチヤコの牧草地


木々の紅葉


高所順応のためルートを外れて峠の傍らの4000mほどあるピークに登る


展望の良い4000mのピーク


眼下のキャン(3820m)のキャンプ地に向かって下る


絶壁に囲まれたキャンのキャンプ地


キャンのキャンプ地からの素晴しい展望


夕食の羊の肉のカツ


B A C K  ←  《 10月9日 》

N E X T  ⇒  《 10月11日 》

ヒムルン・ヒマール