《 10月6日 》
B.C ( 4 7 5 0 m )
10月6日、早朝から雲一つない快晴の天気だ。 今日はAG隊の男性チームのアタック予定日だが、私達と同じように良い天気に恵まれていることだろう。 今日あたりが各国の登山隊の最終アタック日となりそうだ。 念の為、起床前にSPO2と脈拍を測ってみると89と54で、アタック前と変わらなかった。 体はまだ相当疲れているのだろうが、登頂出来た嬉しさでいつもと同じような動きが出来る。 逆に天気や体調管理などの心配事が全く無くなったことで体が軽いくらいだ。 カトマンドゥへのヘリでの帰還は明後日なので、明日もB.Cに滞在することになるが、これは予想に反して昨日のうちに全隊員と全スタッフがB.Cに下山出来たためで、本来は今日が登山活動の終了日だった。 サマ村へも下りられるが、順応していれば色々な環境が整ったB.Cの方が楽だ。
マナスルを眺め登頂の余韻に浸りながら、午前中は貸与されたトランシーバーや酸素マスクの返却をしたり、カトマンドゥまで陸路で運ぶため明日サマ村に下してもらう荷物の整理をする。 今回初めて使った酸素マスクの『TOP・OUT』(トップアウト)の値段は1000ドル位とのことだったが、使用感がとても良かったので、思わず次の高所登山のために買って帰ろうかと思った。 午後は通信状態も良くなったので妻に電話を入れ、登頂の成功と無事に下山したことを伝えた。 平岡さんから、アタックステージの間にブログに書き込みをいただいた友人からの応援メッセージを読み上げてもらったが、皆も自分のことのように登頂を喜んでくれて本当に嬉しかった。
夕方から登山活動終了のセレモニーがあり、ラッセルから今回の登頂の成果の説明とスタッフ達を労う挨拶があった。 夜は当然のことながらパーティーとなり、地酒を酌み交わしながら、お決まりのシェルパダンスが一晩中延々と続いたが、登頂した私達隊員よりも一仕事を終えたスタッフ達の方が今日は嬉しそうだった。
AG隊のSさんがシェルパダンスの写真を撮りがてら遊びに来たので、早速AG隊の女性チームの登頂報告を伺う。 Sさんの話では、腕を骨折しているTさん以外の3人は登頂出来たが、風が強かったので早朝から登ることが出来ず、FさんはC.4まで、Sさんともう一人のSさんもC.3までしか下れなかったとのことだった。 また、Tさんは前日C.4に到着したのが夜の8時になり、登頂を断念したとのことだった。 以前この隊に参加したことのあるSさんが登頂したことはすでにスタッフの耳には入っていたようで、サーダーのプルバが強引にシェルパダンスの輪の中にSさんを招き入れた。