《 9月24日 》

C.1  ( 5 5 0 0 m ) ⇒ B.C  ( 4 7 5 0 m )

   9月24日、4時半前に起床して出発の準備を始める。 新雪が30センチほど積もり、今もまだ降り続いていた。 果たしてこの状況でC.2まで行けるのだろうか。 嬉しいことに体調の変化はなく、どうやら風邪は治ったようだった。 起床後のSPO2と脈拍は74と70だった。 5時過ぎに平岡さんから大雪のためしばらく出発を見合わせるとの指示があった。 5時半にB.Cから数名のスタッフがサポートに上がってくる予定だったが、大雪のため到着が遅れているらしかった。 

   7時前にようやく2人のスタッフが着いたが、雪崩の危険があるため一応C.1で停滞することに決まった。 スタッフ達にテントを掘り起こしてもらった後、自分達でも雪かきをする。 疲れたが体は暖まった。 B.Cから上がってきたスタッフ達は休む間もなくC.2までのラッセルと雪に埋もれたフィックスロープの掘り出しに出掛けて行き、ガイド達はC.2とB.Cを交えてトランシーバーで今後の行動予定を協議していた。 この雪はモンスーン明け前に毎年必ずあるというドカ雪なのだろうか。 このまま雪が降り続けば明日もC.2に行けるかどうか疑問だ。

   正午のSPO2と脈拍は82と70だった。 停滞により食糧が不足してしまうので、昼食は倉庫にあった食べ残しのお菓子などで済ます。 昼過ぎから雪はみぞれに変わった。 今までのように順応目的なら停滞もさほど苦にならないが、アタック途中での悪天候による停滞は本当に辛い。 みぞれは降っているが、薄陽も射してきたのでテントの中が寒くないのが救いだ。 私は日記を綴り、工藤さんはMP3で音楽を聴きながら眠っていた。 

   明日はラッセルと長時間の行動が想定されたので4時過ぎに早めの夕食を食べ、早々に寝始めた矢先にハイメがテントを叩き、これからB.Cに下山することになったと伝えにきた。 間もなく平岡さんもテントにやってきて、夕方の天気予報で昨日までの天気予報が大きく変わり、これから数日雪が降り続くようなので、アタックを断念してB.Cに下山するとの指示があった。 

   慌しくアタックの装備からデポの準備への切り替えを行い、5時半過ぎにC.1を後にした。 一昨日、昨日と体調のことで苦労したことが徒労に終わり、まさかのアタック断念で気持ちの切り替えもつかないが、雪の中を駆け足でB.Cに下山する。 幾つかのフィックスロープは雪で埋まったままだ。 クランポン・ポイントも雪の中だったが、トレースがあるのでアイゼンをデポする。 クランポン・ポイントで日没となったのでヘッドランプを点けて下る。 

   7時過ぎにB.Cに着くと、B.Cにも10センチ以上の雪が積もっていた。 ダイニングテントではラッセルが自ら夕食を配膳し隊員を労った。 私達はまだC.1で良かったが、C.2から戻ってこなければならない第一次隊のダメージや苦労を考えると何倍も恵まれている。 緊張感や寒さで2日続けてあまり良く眠れなかったので、朝まで目を覚まさずに熟睡した。


7時前にようやく2人のスタッフがB.Cから上がってきた


前夜から雪が降り続き、テントの周りの雪かきをする


夕方になってアタックの中止が決まり、足早にB.Cへと下る


クランポン・ポイントで日没となる


雪の中のB.Cに着く


B.Cでの温かい夕食


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