《 8月29日 》

カトマンドゥ  ( 1 3 3 0 m ) ⇒ サマ村  ( 3 5 3 0 m )

   8月29日、今日も優雅に朝食のバイキングを楽しみたかったが、未明の4時半に起きて予定どおり5時半過ぎにホテルを後にした。 雨模様だったので、果たしてヘリが飛んでくれるか心配だったが、空港に着いた時は止んでくれた。 街中は月曜日の朝ということもあってか、車や人通りはすでに多く、食料品店などはすでに開いていた。 空港では旅客機に乗る時と同じ身体検査と荷物検査があり、それが終わると滑走路の外れから構内専用車で少し離れたヘリポートに行く。 ヘリは日本の川崎製だった。 定員は7名でパイロットと助手と私達5人が乗り込み、HIMEX隊の中では一番早く7時過ぎに空港を飛び立った。 カトマンドゥの市街地が眼下に一望出来て面白い。 すぐに段々畑の多い田園地帯となり、2500m前後の高度を維持しながら飛び続ける。 遥か右前方の雲の間に銀嶺が見えたが、山群などは分からない。 ヘリは次第に狭い谷間を縫って飛ぶようになり、左手に雪を頂いた高い山が見えてくると霧がだんだんと深くなってきた。 高度が3900mを超えたところで視界がかなり悪くなり、突然ヘリが旋回したので、もしかしたらここで引き返すのかと思ったが、眼下に集落が見えたのでホッとした。 すぐに私達の隊のテントのあるキャンプ場も見え、人家から僅か数10mしか離れていない草むらにコンクリートを円形に打っただけの直径10mにも満たない簡易なヘリポートに無事着陸した。 搭乗時間は45分だった。 

   石垣で四方を囲まれた立派なキャンプ場には炊事棟やトイレもあり、大きなダイニングテント2張と個人テントが17張設営されていた。 当初このキャンプ場では1人で1つのテントを使うことになっていたが、今回は隊員が急遽10人も増えたので、2人で1つのテントを使うことになった。 まだ8月末とシーズンも早いので他の隊は入っておらず、私達の隊がキャンプ場を独占していた。 個人テントに荷物を搬入し、ダイニングテントでお茶を飲みながらネパール人スタッフ(コック)が用意してくれた遅い朝食を食べる。 私達の後から次々とヘリで運ばれてくる外国人隊員がダイニングテントにやってくると、皆で名前や国、職業などをそれとなく尋ねる。 今日の時点で分かったことは、B.Cまでのトレッキング隊員を除いた22人の登山隊員はイギリス人が9人(全て軍人さん)、日本人が4人、ラトヴィア人が2人、アメリカ人、フランス人、ドイツ人、ロシア人、オーストラリア人、南アフリカ人、ネパール人(軍人さん)がそれぞれ1人ということだった。 また女性は2人でうち1人はるみちゃん、もう1人は最年少(25歳)のラトヴィア人だった。 日本人隊員の平均年齢は50歳(65歳・55歳・51歳・30歳台)を超えているが、外国人は30歳台だろう。

   B.C(4750m)に上がる順応のため今日から4泊するこのサマ村の標高は当初3800mほどあるといわれていたが、高度計やカトマンドゥで買った地図によると3530mだったので、初期順応の遅い私には大いに助かった。 正午にSPO2(血中酸素飽和度)と脈拍を今回から持参したパルスオキシメーターで早速測ってみると、それぞれ85と66だった。 

   昼食は軍人さん10人と私達を含むその他の隊員12人は必然的に2つのグループに分かれ、2つあるダイニングテントでそれぞれ食べることになった。 ここでの食事は、種類ごとにステンレスの鍋に入った料理がダイニングテントに運ばれてくるので、それを皆で取り分けて配膳するというシステムだ。 自分の好きな物を好きな量だけ食べられることが嬉しい。 とりあえず腹八分目にして様子を見る。 生肉などの食材は日数の掛かる陸路で運ばれるため、本格的な料理はB.Cからになるようだ。 明日からのスケジュールは、7時に起床・朝食8時・昼食12時半、夕食6時とのことだった。 

   昼過ぎからは日が陰って寒くなる。 テント内の気温は16度あるが、体が順応していないためか寒さを感じる。 午後は個人テントで同室の工藤さんと読書などをして静かに過ごす。 るみちゃんは所属している山岳会への報告書作りと昼寝、藤川さんはナンプレなどをしている様子。 夕方にはSPO2が90・脈拍が58と少し改善し、夕食も美味しく満腹に食べられた。 夕食は最初に炒りたてのポップコーンか揚げたてのえびせんをつまみにスープをお椀で飲み、メインの料理の後には必ず果物かケーキのデザートが付いた。


トリブヴァン空港からヘリでサマ村に向かう


空港付近の上空から見たカトマンドゥの市街


サマ村の上空から見たキャンプサイト


サマ村のキャンプサイト


立派なダイニングテント


隊長のラッセル・ブライス


NZのアスパイアリングで会ったガイドのデーブと再会する


サーダーのプルバ


夕食を配膳するチーフガイドのエイドリアン(右)と女医のモニカ(左)


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