《 プロローグ 》
40歳台には有給休暇で夏のヨーロッパアルプスに毎年通っていたが、4000m峰があるスイス・イタリア・フランスの3か国だけで、アルプス東部のオーストリアには観光も含めて一度も行ったことがなかった。 理由はオーストリアには4000m峰がなく、ネットの環境が今ほどない当時の知識では、最高峰のグロース・グロックナー(3798m)・ヴィルトシュピッツェ(3768m)・オルペラー(3476m)・ハビッヒト(3277m)の4座しか知らなかったことに他ならない。 その後アナログの世界では、愛読書の『アルプス4000m峰登山ガイド』が出版されてから8年後に『やさしく登れるアルプス3000m峰』が出版され、ネットの情報も得られるようになったことでオーストリアの山にも目が向くようになったが、現地で出版されている登山のガイドブックやハイキングの地図の入手が困難なことで計画が進まず、図らずも登山用GPSアプリの『All Trails』の出現により計画が一気に加速した。
今回の山行は初めて訪問する国やガイドレスということに加え、ドイツ語圏ということでグロース・グロックナーなどの氷河のある山は下見程度に留め、ハイキングの延長で登れる正に“やさしく登れる3000m峰”の登頂をメインに、隣国のドイツの最高峰のツークシュピッツェ(2962m)やスロベニアの最高峰のトリグラウ(2864m)などへの登頂も視野に入れつつ、オーストリアンアルプスを軸とした登山やハイキングの今後の可能性も同時に探ることにした。
オーストリアンアルプスは西部のチロル州がメインとなるため、滞在先については当初その州都のインスブルックが良いと思ったが、その近くのリゾートで冬季オリンピックのノルディック競技の会場となったゼーフェルトという小さな町でもスーパーやガソリンスタンドなどのインフラが整っているようだったので、今回はこの町にアパートを借りて8月の初旬から月末まで25日間滞在することにした。
ゲートウェイは国際空港のある首都のウィーンではなく、ゼーフェルトまで車で2時間ほどのドイツのミュンヘンの空港が一番近かった。 相変わらずの極端なユーロ安(1ユーロが175円)で、アパートの家賃は1日約19,000円、レンタカーの料金は1日約9,000円、エアチケットは繁忙期にルフトハンザ航空の直行便を利用したことで1人約230,000円だったが、意外にも預託荷物は1人あたり23キロを2個だったので、スーツケースにアルファー米・インスタントラーメン・カレーなどのレトルト食品・魚の缶詰・どら焼き・饅頭・煎餅などの食料品を沢山持っていくことが出来た。
