《 7月19日 》

イートンビル ⇒ パラダイス(1650m) ⇒ キャンプ・ミュア(3100m)

   7月19日、予定どおり3時に起床し3時半にモーテルを出発する。 天気予報は基本的に前夜のものと変わらず曇りで、空の星は一つしか見えなかった。 途中のアシュフォードでは雨が降っていたが、国立公園のゲートを過ぎると雨は止んだ。 このまま予報どおり天気は回復していくと思われたが、途中から再び雨となってしまった。 まだ暗い5時前に登山口のパラダイスに着いたが、小雨が降り止まず前回の悪い記憶が蘇ってくる。 車の中で準備をしながら待機していると、5時半過ぎにようやく雨が止んだので出発を決意する。 柴田さんに先行してもらい、車をビジターセンターから200mほど離れた登山者用の駐車場に停めに行く。


パラダイス@から氷河の取り付きCへ


5時半過ぎにようやく雨が止んだので出発を決意する


   高度計の標高を1650mに設定し、6時ちょうどにパラダイスを出発する。 この時間帯では登山者はもちろんハイカーの姿は皆無だ。 道標に従い『スカイライン・トレイル』という舗装されたハイキングコースを歩き始める。 トレイルの両側にはアバランチ・リリーなどの花々が途切れなく咲いているが、天気が冴えないので花の色も気分も冴えない。 久々の20キロ近い荷物だが、予想よりも足が前に出たので助かった。 30分ほどで舗装されたトレイルは階段状の山道となり、1時間ほどで先行していた柴田さんと合流する。 再び霧雨となってしまったのでジャケットを着込み、所々に残雪が見られるトレイルを黙々と登る。 高度計の標高で2000mを超えた所でスカイライン・トレイルと別れ、キャンプ・ミュアへのトレイルに入る。 すぐに氷河に出合うのかと思ったが、整備されたトレイルはなおも続き、ペベルクリークという沢を渡った先の2250m地点でようやく後退した氷河の取り付きに着いた。 8時になってもまだ天気は回復せず、周囲の景色は霧に煙ったままで何も見えなかった。


6時ちょうどにパラダイスを出発する


『スカイライン・トレイル』という舗装されたハイキングコースを歩き始める


アバランチ・リリーの群落


パラダイスから1時間ほどで先行していた柴田さんと合流する


ジャケットを着込み、所々に残雪が見られるトレイルを黙々と登る


キャンプ・ミュアへのトレイルに入ってからも整備されたトレイルはなおも続いた


氷河の取り付きで休憩する


   氷河の取り付きで休憩した後、先行した柴田さんを追いかけながら腐ったトレースのある傾斜の緩い氷河を登っていくと、ようやく背後から日射しを感じるようになり、頭上に青空とレーニアの白い頂が朧げに見えた。 霧に見え隠れする周囲の風景に一喜一憂しながら登っていくと間もなく雲海から抜け出し、入国してから初めてレーニアの雄姿がまともに見えた。 背後の雲海の上にはアダムスやセントヘレンズの頂稜部も見え、憂鬱だった気分が一気に吹き飛んだ。 天候の回復を待っていたのか、幾つかのパーティーがキャンプ・ミュアから下ってきた。 氷河の傾斜が緩んでくると前方にキャンプ・ミュアに建つ避難小屋が見えた。


氷河の取り付きCからキャンプ・ミュアEへ


先行した柴田さんを追いかけながら腐ったトレースのある傾斜の緩い氷河を登る


雲海から抜け出し、入国してから初めてレーニアの雄姿がまともに見えた


背後の雲海の上にアダムスの頂稜部が見えた


キャンプ・ミュアからパラダイスへ下るパーティー


氷河の傾斜が緩んでくると前方にキャンプ・ミュアに建つ避難小屋が見えた


   ルートの状態が良かったので予想よりもだいぶ早く、パラダイスからちょうど5時間でベースキャンプとなるキャンプ・ミュア(3100m)に着いた。 高度計の標高では3030mだった。 雪の禿げた峠のような所を乗越すと、下からは見えなかった山頂方面への明瞭なトレースと広いテントサイトが見られた。 凸凹のテントサイトには10張り以上のテントの花が咲いていて、その中程にちょうど良い跡地があったので、整地をすることなくテントを設営することが出来た。 テントサイトに着いた時は風が少しあったが、設営後には風がなくなり、意外にもその後も無風の状態が撤収の時まで続いた。 テントサイトは暑くもなく寒くもなく、予想以上に快適だった。


パラダイスからちょうど5時間でキャンプ・ミュアに着いた


キャンプ・ミュアのテントサイト


良い跡地があったので、整地をすることなくテントを設営することが出来た


テントサイトは暑くもなく寒くもなく、予想以上に快適だった


   6リッター前後の水を各自で作り、避難小屋やレンジャーステーション、トイレなどのキャンプ場の施設を見て回る。 昼過ぎにはガイドパーティーなどが三々五々戻ってきたので、テントサイトは賑やかになった。 夕食の準備をしているとレンジャーがテントを巡回しにきたので、パーミットを見せて明日の行動予定を説明した。 レンジャーから、ルート上にブルーアイスとなっている箇所があり、今日登れたのは1パーティーのみで、ガイドパーティーは全て引き返したという話があったため、夕食後に柴田さんと協議し、当初はペースの遅いガイドパーティーや団体のパーティーよりも早く出発する予定だったが、逆にそれらの集団の後についてトレースを利用しようということになった。


キャンプ場のトイレ


公共の避難小屋の内部


ガイド会社専用の避難小屋(左下)とレンジャーステーション(右上)


山頂方面へのトレース


テントを巡回しにきたレンジャーにパーミットを見せて明日の行動予定を説明する


夕食はレトルトのカレーを食べる


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マウント・レーニア