《 3月2日 》

    コタ・キナバル ⇒ キナバル国立公園本部( 1 5 6 4 m ) ⇒ 登山ゲート( 1 8 6 6 m ) 〜 ラバン・ラタ・レストハウス( 3 2 7 2 m )

   3月2日、7時前にホテルをチェックアウトし、エージェントの送迎車をロビーで待つ。 着替えなどの荷物が入ったボストンバッグはホテルが無料で預かってくれた。 意外にもエージェントの車は時間よりも少し早くホテルに来た。 途中でもう一組の登山客を拾い、入山手続をするキナバル国立公園本部(P.H.Q)へ向かう。 予報どおり朝から雲一つない快晴の良い天気だ。 コタ・キナバルの郊外には所々に新興住宅地が見られ、マレーシアのボルネオ島部の生活水準は予想よりも低くないことが分かった。 カーブが多い急坂が続く山間部に入っても道路の舗装状態は非常に良く、運転手がスピードを出して飛ばしたため、コタ・キナバルから2時間足らずでP.H.Q(1564m)に着いた。 P.H.Qからは荒々しいキナバルの山塊が眼前に大きく望まれた。 大勢の登山者や観光客で賑わうP.H.Qの管理事務所で簡単な入山手続きを行い、チェックポイントで見せるIDカードを受け取る。 間もなく私達の山岳ガイドから声を掛けられた。 名前はライナスとのことだった。


エージェントの送迎車でキナバル国立公園本部(P.H.Q)へ向かう


コタ・キナバルの郊外には所々に新興住宅地が見られた


カーブが多い急坂が続く山間部に入っても道路の舗装状態は非常に良かった


P.H.Qの手前から見たキナバル


大勢の登山者や観光客で賑わうP.H.Q


P.H.Qの管理事務所で簡単な入山手続きを行う


チェックポイントで見せるIDカード


管理事務所にある山頂までのルート図


P.H.Qから見た荒々しいキナバルの山塊


山岳ガイドのライナス


   事務所のスタッフから昼食用のランチパックを受け取り、園内の専用車に乗って実質的な登山口となる登山ゲートに向かう。 10分ほどで車止のある登山口(1866m)に着いて歩き始めると、そのすぐ先に登山ゲートのチェックポイントがあり、IDカードを見せて登山道に入る。 ライナスから、今日泊まる山小屋(ラバン・ラタ・レストハウス)まではここから通常6時間を要するとの説明があった。 ライナスから登山経験を聞かれた柴田さんがエベレストだと答えると、初めはジョークだと思っていたようだった。 計画の段階では熱帯雨林のキナバル特有の気象条件による午後からの雨を危惧していたが、ライナスの話ではここ20日間ほど雨は全く降っていないとのことだった。 

   山小屋までの登山道は予想以上に良く整備されていて歩き易かったが、段差のある階段が多いのが玉にキズだ。 樹間が詰まっているため展望は無いが、陽射しが遮られていることと標高が高いことで蒸し暑さはなく、ゆっくり登ればそこそこ快適だった。 登山道に見られる笹やシダ類の植物は日本のものとあまり変わらず、珍しい花も咲いていなかったのでカメラの出番は殆どなかった。 登山ゲートから山小屋までの距離は6キロ(山頂までは8.5キロ)とのことで、500m毎に距離と標高が記された案内板が設置されていた。 また、ガイドブックどおり途中にはベンチやトイレのある東屋(休憩所)が7か所あり、付近には餌付けされた黒いリス達の姿が見られた。 コタ・キナバルへの観光客と同じように、中国を初め東南アジア諸国からの登山者が圧倒的に多く、欧米人は数えるほどだ。 日本人の姿も全く見られなかったが、4つ目の東屋でようやく下山してきた西遊旅行のツアーの8名の団体に出会った。 東屋ごとに短い休憩を取りながら、健脚の柴田さんには申し訳ないが終始マイペースで登る。 標高3000m辺りからは植生が変わって木々の背が低くなり、頭上にキナバルの山頂部の岩峰が望まれるようになった。 ライナスが登山道から少し外れた所に食虫植物のウツボカヅラがあることを教えてくれた。 強い陽射しを浴びるようになるとさすがに暑くなってきたが、登山ゲートから5時間ほどで今日泊まるラバン・ラタ・レストハウス(3272m)に着いた。


車止のある登山口(1866m)


登山ゲートのチェックポイント


登山道は樹間が詰まっているため展望は無いが、陽射しが遮られていることで蒸し暑さはなかった


500m毎に距離と標高が記された案内板が設置されていた


登山道には段差のある階段が多かった


ベンチやトイレのある東屋(休憩所)


餌付けされた黒いリス


2つ目の東屋の先にある山頂方面の岩壁が見えるポイント


山小屋までの中間点


5つ目の東屋


植生が変わって木々の背が低くなる


標高3000m辺りからは頭上にキナバルの山頂部の岩峰が望まれるようになった


食虫植物のウツボカヅラ


ラバン・ラタ・レストハウス前のヘリポート(3272m)


   山小屋は予想以上に新しくモダンな造りで、1階は広い展望レストランになっていた。 ライナスから明日の登頂スケジュールと山小屋の食事の時間について、次のような説明があった。 明日は1時半に起床して2時から軽食を食べ、2時半に集合して2時45分に山小屋を出発する。 山頂までは通常3時間を要し、山頂での写真撮影などの休憩は30分とする。 山頂から山小屋までの下りは通常2時間を要する。 山小屋での朝食は7時半から10時まで、昼食は11時半から14時まで、そして夕食は16時半から19時までとなっている。 通常は山小屋へ下山してから遅い朝食を食べ、昼前に登山ゲートへの下山を始めるが、私達は山小屋に連泊するため、明日の17時に明後日のスケジュールについて決めることになった。

   予想に反して山小屋に着いてからすぐに軽い頭痛が始まってしまったが、柴田さんは頭痛は全くないとのことで、残念ながら高所に弱い体質は変わっていなかった。 ライナスから部屋の鍵を受け取り2階の寝室に行くと、木製の二段ベッドが二つある個室だった。 ベッドメイキングのされた部屋にはスリッパもあり、予想以上に清潔な感じがした。 共用の男女別のトイレは水洗で隣にシャワー室もあったが、今は水不足のため使えないようだった。 同室者は香港からの若い男性だった。

   夕食の時間まで柴田さんと展望レストランで寛ぐ。 レストランの売店にはお菓子や清涼飲料が売られていて、缶コーラが1本11リンギット(邦貨で約300円)、ミネラルウォーターが1本7リンギット(邦貨で約200円)だった。 今日は夕方になっても雲が湧かず、一日中陽が射していた。 夕食のバイキングは予想以上に料理の種類が多く、味も自分的には充分満足出来るものだった。 18時過ぎにはベッドに入ったが、予想以上に頭痛が長引き、2〜3時間は眠れると思ったが、結局一睡も出来なかった。 夕食の食べ過ぎも原因だったと思われる。


山小屋の1階の展望レストラン


山小屋の1階の受付と売店


山小屋の2階の廊下


山小屋の2階の寝室


山小屋の2階の水洗トイレ


夕食のバイキング


夕食のバイキング(デザート)


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キナバル