《 プロローグ 》

グラン・コンバン(4314m) ・ ダン・ブランシュ(4357m) ・ ヴァイスホルン(4505m)

   2007年の夏以来途絶えてしまったヨーロッパアルプスへ退職前の有給休暇を利用して11年ぶりに再訪することになった。 アルプスにはまだ未踏の山が沢山あるが、その中で最も登りたい山、そして登らなければならない山は“アルプス中で最も美しい山”と讃えられ、モン・ブラン・マッターホルン・アイガー・グランドジョラスと共に世界百名山の一峰に選ばれているヴァイスホルン(4505m)だ。 そしてヴァイスホルンと同じようにマッターホルンの周りを取り囲んでいる名脇役の山々のうち、唯一まだ登っていないダン・ブランシュ(4356m)である。 この山も“アルプスの王者”と称されている名峰だ。 そしてもう一峰、以前イタリア側からリスカムを登った時の移動中に、アオスタの町から仰ぎ見た孤高のグラン・コンバン(4314m)が候補に挙がった。 今回はこの三山を登ることをメインとし、中でもヴァイスホルンを最優先としたため、滞在先を同峰の近くのツェルマットとすることに迷いはなかった。

   日程については、これまで初回を除いて繁忙期を外した8月下旬から9月上旬としていたが、今回は休暇の都合で図らずもベストシーズンの7月中旬から8月上旬の3週間となったが、エア・チケットを平日の出国・帰国として3か月前から予約したことで、今回利用したタイ航空は諸費用込みで約80,000円と、今までの中で一番安かった。 預託荷物も30キロまでOKとなったのも朗報だった。 宿は今までの経験を活かし、ネット(ブッキング・コム)で1DKのアパートを予約したが、料金は一日当たり146フラン(邦貨で約16,500円)と、高級リゾート地のツェルマットにしては安かった。

   計画は順調に進み、久々のヨーロッパアルプスへの再訪を楽しみにしていたが、出発の2か月前に相棒の妻が突然腰痛を患い、痛みで歩くこともままならない容体になってしまった。 幸いその後の治療で何とか歩くことは出来るようになったが、上記の三山以外の登山やハイキングの計画を抜本的に変更せざるを得なくなった。 出発前のドタバタにより、今回の現地のエージェントとしたアクティブマウンテンの田村さんへ、出発の一週間前になってようやく滞在日程と登山計画を伝えたところ、ハイシーズンなのですぐにでもガイドを押さえたほうが良いとのことで、とりあえず第一希望のヴァイスホルンと第二希望のダン・ブランシュに相応しいガイドと日程を出発前に確保していただいた。 田村さんの話では、アルプスでは温暖化による氷河の後退が急速に進んでいるため、クレヴァスが多くなったりして以前よりも山が登りにくくなっているとのことだった。 ガイド料は予想どおり以前よりもだいぶ高くなり、ヴァイスホルンが1,560フラン(邦貨で約176,000円)、ダン・ブランシュが1,398フラン(邦貨で約158,000円)だった。 尚、現地での2週間のアクティブマウンテンへの事務手数料は540フラン(邦貨で約60,100円)だった。


グラン・コンバン(4314m) ・ ダン・ブランシュ(4357m) ・ ヴァイスホルン(4505m)


マッターホルンの周りを取り囲んでいる名脇役の山々


イタリアのアオスタから見たグラン・コンバン(2006年8月31日撮影)


ツィナールロートホルンの山頂から見たダン・ブランシュ   右奥隣はグラン・コンバン(2004年8月31日撮影)


ツィナールロートホルンの山頂から見たヴァイスホルン(2004年8月31日撮影)


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