《 8月12日 》

C.1(4400m) 〜 C.2(5400m)

   8月12日、今日も5時に出発するため3時半に起床する。 ありがたいことに昨夜も熟睡することが出来た。 予報どおり空には月が見える快晴の天気だ。 昨日の“予行練習”のおかげでスムースに身支度を整え、ダイニングテントで昨日と同じ日本から持ってきたカップうどんを食べる。

   予定より少し早く5時前に出発。 今日から好天が3日続くとの予報なので、他のパーティーも次々に先行して行った。 大小の岩がゴロゴロしたモレーンの上を緩やかに登ったり下ったりしながらしばらく歩いていくと、5〜6社あるエージェントの中では新顔のセントラルアジアトラベル社の常設テントがあり、そこから一旦少し下ってから広い氷河の末端に取り付いた。 勾配が殆どなくクレヴァスもないのでロープは結ばずに歩く。 間もなく周囲が明るくなってくると、前方の広い斜面に先行しているパーティーの行列が見えた。 

   C.1から休まず1時間半ほど歩き、勾配が少し急になってきた所でアイゼンやハーネスを着け、ビシュヌと工藤さんと私が、そして平岡さんと山本さんと田路さんが、それぞれロープを結ぶ。 高度計でのC.1からの標高差は僅か80mで、まだ4480mしかなかった。 登山靴は新調して今回初めて履くボリエールの『G1ライト』だったが、予想どおり長靴タイプのザンバラン『EVEREST』よりも歩き易く快適だった。 斜面の傾斜は見た目どおり緩やかで、やや急な所も踏み固められたトレースがあるので登るのがとても楽だ。 順応もだいぶ進んでいるようで、順応ステージにありがちな辛さは微塵もない。 所々で風が強く吹くのが唯一玉にキズだ。 高度計がちょうど5000mを指した所で初めての休憩となった。 上から下ってくるパーティーとも時々すれ違う。

 

5時前にC.1を出発する


広い氷河の末端は勾配が殆どなくクレヴァスもないのでロープは結ばずに歩く


勾配が少し急になってきた所でアイゼンやハーネスを着けてロープを結ぶ


ビシュヌと工藤さんと私がロープを結ぶ


下部の方ほどクレヴァスが大きく口を開けていた


C.1方面に伸びる氷河の舌端


高度計がちょうど5000mを指した所で最初の休憩をする


   休憩後はさすがに5000mオーバーの世界となったので、少し頭痛がしてきたが、足はスムースに前に出たので助かった。 広大なスキー場のスロープのような単調な斜面を延々と登る。 下部の方ほどクレヴァスが大きく口を開けていた。 勾配がやや増して上方にセラック帯が見えてくると、トレースはそれを避けるように大きく右に曲り、2回目の休憩となった。 前方を歩いているパーティーの姿でこれから辿るルートの状況が良く分る。 

   休憩地点からは上方のセラック帯を避けるように緩やかに延々とトラバース気味に進む。 稜線には雪煙が舞っているのが見え、やはりこの山は風が強いということが分かった。 C.2のテントサイトが遠目に見えるようになった所で3回目の休憩となった。 そこからはほぼ水平にトラバースを続け、少し下ってからC.2に向けて登り返す。 最後はペースがかなり落ちたが、予想よりも早く正午ちょうどに目標のC.2に着いた。 高度計の数字は5350m、山本さんのGPSでは5400mを超えているとのことだった。

 

広大なスキー場のスロープのような単調な斜面を延々と登る


勾配がやや増すと上方にセラック帯が見えてきた


2回目の休憩


順応で登ったユヒナ・ピーク(中央)


上方のセラック帯を避けるように緩やかに延々とトラバース気味に進む


3回目の休憩


休憩地点から見たC.2のテントサイト(右の岩壁の先端)


休憩地点から見たC.1からのルート


C.2への最後の登りではペースがかなり落ちた


   C.2では比較的平らな雪の上とその上の岩場の末端にテントの花が咲いていたが、私達のテントサイトは岩場の末端の方だった。 以前C.2で雪崩事故があったため、アキサイ社は快適ではないが安全な岩場の末端を選んでいるのだろう。 シーズン中はアキサイ社を初めとする各エージェントがテントを設営しているが、早く到着したパーティーから良いテントを選んでいくため、最後に到着した私達の入るテントが無くなってしまい、エージェントのテントキーパーがテントを設営してくれるまで1時間ほど待たされることになってしまった。 足場の悪い岩場の末端に立てられたテントの居心地は当然のことながら悪かった。

   テントは工藤さんと私、山本さんと田路さん、そして平岡さんとビシュヌが3張に分かれて落ち着いたが、炊事用のコンロが2セットしかなかったので、同じテントの平岡さんとビシュヌが全員分の水を作ってくれたので楽だった。 粉末の抹茶を飲み続けて脱水からの回復に努める。 テントは新しく見栄えは良いが、天井が低いので陽が射すと暑くて気分が悪くなってくる。 体調が悪くなかったのが救いだ。 昼過ぎには曇ってきて夕方から小雪が舞ってきたが、むしろ天気が悪い方が快適だった。 夕食のフリーズドライのカレーは予定した分を完食出来たが、夕食後のSPO2と脈拍は78と70で、当たり前だがまだこの高度には順応出来ていなかった。


C.2では比較的平らな雪の上とその上の岩場の末端にテントの花が咲いていた


足場の悪い岩場の末端に立てられたテントの居心地は悪かった


C.2でも工藤さんと一緒のテントになる


夕食のフリーズドライのカレー


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