《 10月29日 》

B.C ( 4 9 2 0 m )

   10月29日、アタックの疲れとB.Cの安堵感、そして何よりも酸素の濃さでぐっすり眠れた。 朝7時にキッチンスタッフが洗面用のお湯を届けてくれたが、秋の深まったキャンプ地にはなかなか陽が射し込まずに寒い。 今日は休養日だが、割石さんをカトマンドゥに搬送するヘリが朝一番で飛んでくるので、のんびりはしていられない。 藤田さんの時と同じように皆でヘリポートに割石さんを見送りにいく。 割石さんは指の水泡の一部がすでに潰れてしまい、藤田さんよりも明らかに症状が重いが、本人は至って明るく元気で、その精神力の強さには本当に頭が下がる。 天気が良かったので8時にヘリが到着し、あっという間に割石さんを乗せてカトマンドゥに向けて飛び去って行った。 一番元気だったお二人が相次いで凍傷になったことは、装備や水分が不足していたことも理由にあるが、高所での年齢的な限界を示唆しているのではないかと思わざるを得なかった。 B.Cからお二人を相次いで見送ることになるとは、誰が想像しただろうか。

   朝食はパンケーキとオムレツにスープ代わりのインスタントラーメンと、いつもと変わりはないが、もう何も心配することなく食べたいだけ食べられるのが嬉しい。 泉さんはアタックのダメージが大きいようで、以前の食欲にはまだ戻っていない。 水泡こそ出来てないが、指先がずっと冷く痺れているとのことで、厚い手袋をしたままだった。 

   明後日B.Cを発つことになったので、今日は帰りの支度をしなくても良くなり、個人用テントやダイニングテントでのんびりと寛ぐ。 疲労感よりも脱力感の方が強く、本当に何もする気が起らない。 日記を記すこともなく、シャワーも浴びずに一日中だらだらと時を過ごした。 

   夕食のメインディッシュは好物のモモ(蒸し餃子)で、付け合せの胡麻ダレが絶品だった。 食後にはお決まりの“登頂ケーキ”が振る舞われ、久々にメンバー全員が揃って楽しい登頂祝いの宴となった。 るみちゃんが登頂出来なかったことが本当に悔やまれる。

 

秋の深まったキャンプ地にはなかなか陽が射し込まない


凍傷を患っても至って明るく元気な割石さん


ヘリに乗り込む割石さんを皆で見送る


泉さんは指先がずっと冷く痺れているとのことで、厚い手袋をしたままだった


アタックをサポートしてくれたフィジョン


夕食のメインディッシュのモモ(蒸し餃子)と付け合せの胡麻ダレ


登頂ケーキ


久々にメンバー全員が揃って楽しい登頂祝いの宴となった


登頂ケーキに入刀する滝口さん


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ヒムルン・ヒマール