《 10月24日 》

B.C ( 4 9 2 0 m ) ⇒ C.1 ( 5 5 0 0 m )

   10月24日、意外にも昨夜は熟睡出来たので、起床前のSPO2と脈拍は81と51だった。 起床後は理想的とも言える90と62になり、数値だけはB.Cの高所に順応していた。 夜中に僅かに雪が降ったようで、テント内の気温は0度だった。 空には一週間前にプジャをした日以来久々に雲が見られたが、雲があるということは上空にジェットストリームと呼ばれる強い風がないということで、アタック日としてはその方が良いらしい。 いよいよ今日から4日後の登頂に向けて4泊5日のアタックステージに入る。 今の自分の体調を考えると、もう一日B.Cで休養したいが、このタイミングではアタック日の天気予報に合わせて行動するしかない。 朝食はいつものパンケーキと関西うどんだ。 

   朝食後は身の回りの準備を整え、前回の順応ステージと同じように各々のペースでC.1(5500m)に登る。 体調が私以上に良くなさそうなるみちゃんが9時半過ぎに真っ先に登り始めた。 10時前に滝口さんと割石さん、そして私の順に相次いでB.Cを出発する。 泉さんはまだこれからのようだ。 今日は食糧以外の荷上げはないので前回の順応ステージの時より荷物は軽いが、あいにく今までで一番風が強かった。 この風は上空のジェットストリームと関係があるのだろうか。 吹きさらしのモレーンの痩せ尾根は風を避ける場所もなく、体感気温はマイナス10度くらいにも感じたが、焦らず自分のペースで登り続ける。 ケルンが積まれたモレーンの背の頭まで、前回、前々回とほぼ同じ時間で登れたが、逆にこれは5000m以上での順応が進んでいないことを物語っているようだった。 

   モレーンの背の頭の風の当たらない場所で一息入れ、今日も皆より遅れてC.1への踏み跡を辿る。 風は幾分弱くなってきたので安堵する。 途中アンドゥー、タシ、そしてカルディンの三人があっという間に追い越して行った。 C.2までのフィックスロープの安全確認にでも行くのだろうか。 天気は今までの中で一番悪く、振り返るとアンナプルナ方面の山々は鉛色の雲に覆われていた。 皆は休まず登り続けていくが、私は風のない所を選んで何度か休憩したので、前回と同じようにB.Cから3時間以上を要して一番最後にC.1に着いた。 

   意外にもC.1は風が弱く、ようやく落ち着くことが出来た。 前回の順応ステージでは到着後に少し気分が悪くなったが、今日は今のところ大丈夫だ。 余ったテルモスのお湯でカップうどんを流し込み、休む間もなく水作りを始める。 ここしばらく降雪がないので、テントサイト周辺の雪は硬く、しかもかなり汚れていた。 風邪がまだ完治していないのか、それとも脱水によるためか、少し喉が痛い。 

   昼過ぎのSPO2と脈拍は80と103で、前回と同じくらい脈が高かったので、スティックコーヒーなどで頻尿になるほど水分を摂る。 夕食は白米とフリーズドライのカレーを義務的に食べたが、B.Cと僅か600mの標高差でこれほどまで食欲が違うのは本当に不思議だ。 夕食後しばらく経ってからのSPO2と脈拍は87と80で、ようやく体も楽になってきた。 曇りがちのためか、B.Cよりも暖かな夜だった。


朝食のパンケーキと関西うどん


先頭でB.CからC.1へ向かうるみちゃん


モレーンの背を登る滝口さん


モレーンの背を登る泉さん


皆より遅れてC.1への踏み跡を辿る


アンドゥー、タシ、そしてカルディンの三人があっという間に追い越して行った


アンナプルナ方面の山々は鉛色の雲に覆われていた


前回と同じように一番最後にC.1に着いた


テントサイト周辺の汚れた雪を溶かして作った水


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ヒムルン・ヒマール