《 10月25日 》

C.1 ( 5 5 0 0 m ) ⇒ C.2 ( 6 1 0 0 m )

   10月25日、6時に起床。 風も無く静かだったので前回よりは良く眠れた。 起床後のSPO2と脈拍は79と63で、体調も思ったより良くて安堵する。 いつものような快晴の天気になりそうで、アンナプルナ山群も良く見えた。 食欲はあまりなく、昨夜食べ残したご飯とカップラーメンを食べる。 身支度を整え、早朝B.Cから上がってきたサーダーのパサン、プルテンバ、そしてフィジョンの三人と共に8時過ぎにC.1を出発。 ガレ場を少し登り氷河の末端でアイゼンを着ける。 昨日とは違い快晴無風の天気で暖かい。 るみちゃんは相変わらず体調があまり良くないようだ。 

   前回同様ガイドの平岡さんが先頭になり、パサンが殿(しんがり)に付く。 その間を私達5人の隊員がプルテンバとフィジョンと共に各々のペースで登る。 C.1のテントの数は前回よりも少し増えていた。 C.1のすぐ上のセラック帯を左から迂回し、所々で雪の無いモレーンの上を通りながら登る。 セラック帯を抜けると、氷河に印されたトレースは前回よりも一層明瞭に見えた。 泉さんと割石さんは共に元気で頼もしい。 C.2までは数日前に往復したばかりなのでルートの記憶は新しく、芸術的な中間部のクレヴァス帯の景観もやや新鮮味が薄れていた。 前回はクレヴァス帯を過ぎたC.2直下の急斜面でバテてしまったので、今回はそれを念頭に後半部分のペースを意識的に抑えるつもりでいたが、あいにくクレヴァス帯を過ぎると風が吹き始め、空にも雲が少し湧き始めた。 6000m付近の風は微風でも冷たく感じるので、いきおいペースが上がってしまう。 体感気温以上に寒いのか、鼻水が垂れ流し状態になっていた。

   結局前回よりも30分ほど早く、C.1から5時間半でC.2(6100m)に着いた。 気楽な順応ステージの時とは違い、少しでも体力の消耗を防ぎたかったので、すぐにテントの中に転がり込む。 テントの下の凸凹は前回にも増して酷くなっていたが、もう靴を履いて外に出る気力はなく、スタッフが用意してくれた雪で水作りに専念する。 今朝はまずまずだった体調はいつの間にか悪くなり、風邪のように鼻詰まりが酷く頭皮が異常に熱いが、全て高度障害と割り切って我慢するしかない。 同室の割石さんは相変わらず体調が良さそうで羨ましい。 C.2に着いてから3時間後のSPO2と脈拍は79と75で、経験上この高度では奇跡的としか言いようがなかった。 夕方になって豆粒台の血の塊(鼻糞)が取れると、ありがたいことに脈拍が65まで下がった。 夕食は食欲がない時にでも食べられる好物のカルボナーラにした。 

   B.Cを出発した時点での予想どおり、今回もC.2では平穏に過ごせなかったが、最悪の状態だった前回と比べれば、体調は悪いながらも前回よりは良いので、プラス思考で辛い夜をやり過ごすことにした。


早朝のC.1


B.Cから上がってきたサーダーのパサン、プルテンバ、フィジョンと共にC.1を出発する


氷河の末端を登る


C.1のすぐ上のセラック帯を左から迂回する


氷河に印されたトレースは前回よりも一層明瞭に見えた


泉さん(右)と割石さん(左)は共に元気で頼もしい


最初のフィックスロープ


フィックスロープを登るるみちゃんとスタッフ達


中間部のクレヴァス帯


中間部のクレヴァス帯


クレヴァス帯の先の緩斜面を登る泉さん(右手前)


クレヴァス帯の先の緩斜面を登る割石さん


緩斜面からC.2直下の急斜面に入る


C.2直下の急斜面


C.2直前を登る滝口さん


C.2(6100m)


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ヒムルン・ヒマール