2 0 1 2 年  1 月  

《 3日 〜 4日 》    ウルビナ村

ホテル『クエロ・デ・ルナ』 〜 アンバト 〜 ウルビナ村 〜 グアノ 〜 リオバンバ 〜 ウルビナ村

   1月3日、今日も雲は多目ながらも天気はまずまずで、宿の敷地からコトパクシが見えた。 この宿の標高は3250mだが、起床後のSPO2と脈拍は94と62で、かなり順応が進んできた。 昨日は良く眠れたので疲労感はあまりない。 むしろコトパクシに登れたことで気持ちが軽くなり活き活きとしている。 今日は移動を兼ねた休養日で、アンバトの町でお土産品などの買い物をしてから昼食を食べた後、チンボラソの入山拠点となるウルビナ村の宿に向かう。

   パンアメリカン・ハイウェイを南下しアンバトへ。 アンバトは人口が16万人ほどのエクアドルでは中堅の都市だ。 大型のショッピングセンターに隣接したスーパーマーケットで買い物をする。 日本ではあまり積極的には行かないが、海外ではどこの国に行っても市場やスーパーマーケットは面白い。 日本ではあまり知られてないが、エクアドルのコーヒーやチョコレートは美味しいとのこと。 品揃えは日本のスーパーマーケットと遜色ないか、あるいはそれ以上だが、やはり魚介類は少なめだった。 

   買い物を終えてからセバスチャンに案内されたレストランで昼食を食べる。 この辺りでは評判の店らしく、日本では少し高級なレストランの部類に入る店だった。 アンバトの町の標高は2600m近くまで下がったので食欲も旺盛になり、迷わずTボーンステーキを食べる。 300グラムほどの肉だが僅か12.5ドルの安さだった。 エクアドルもアルゼンチンと同じくらい牛肉が美味しい。 この店のメニューはとても多く、また注文した料理はどれも皆美味しそうで、チンボラソの打ち上げに是非再訪したいと思った。 ウルビナ村に向かうバスの中では一同束の間の“シエスタ”を楽しむことになった。

   寝ている間にアンバトの町から1時間ほどでウルビナ村に着いた。 標高は3700mとタンボパクシ小屋よりも僅かに低かった。 宿の前にはどこか見覚えのある赤い屋根の建物があり、それが前回の滞在時に買った絵ハガキの写真だということにしばらくしてから気が付いた。 セバスチャンの話しでは以前鉄道がこの村まで通じていて、赤い屋根の建物はその時の駅舎で、廃線となってからはそれを改装して宿にしていたが、最近観光用にその鉄道を再開するための工事が始まり、その宿をこちらに移したとのことだった。

   宿の前からはカリワイラソ(5020m)が朧げに見えたが、真打のチンボラソは厚い雲に閉ざされて裾野しか見えなかった。 どうやら天気は予報どおりこれから下り坂に向いそうだ。 コトパクシには登れたが、また新たな不安が脳裏をかすめる。 宿は共同のシャワー室のあるツインベッドの個室のロッジで、チンボラソやコトパクシなどのエクアドルの主要な山々を次々と初登頂したウインパーとカレルの肖像画やウインパーが描いたスケッチなどが随所に飾られ、宿を切り盛りする主の思い入れが強く感じられた。 俳優の向井理さんのサインがある色紙があったので宿の主に理由を尋ねると、最近テレビ番組の撮影でチンボラソに来たと嬉しそうに日本のテレビ局からもらったDVDを見せてくれた。 

   夕方になってようやく少し雲が切れてチンボラソが辛うじて見えるようになった。 しかしながらこれが今回の滞在中に麓から見えた同峰の最初で最後の雄姿となるとは知る由もなかった。 宿の周りは牧草地となっていて、牛はもちろんのことアルパカやリャマも飼育されていた。 ロッジの裏手に古い藁葺き屋根の家があり、そこにはエクアドルではそれほど珍しくない食用となるモルモットの“クイ”が飼育されていた。


宿の敷地から見たコトパクシ


アンバトのショッピングセンター


スーパーマーケットで土産物を物色する


セバスチャンに案内されたレストラン


Tボーンステーキ


エクアドルでは道路のロータリーに必ずこのようなモニュメントがある


宿として使われていた赤い屋根の駅舎


前回の滞在時に買った絵ハガキの写真


ウルビナ村の一軒宿


ウルビナ村から見たチンボラソ


ウインパーが描いたスケッチが飾られた寝室


リャマの子供


エクアドルでは珍しくない食用となるモルモットの“クイ”


ロッジでの夕食


   1月4日、今朝も残念ながらチンボラソは寒々しい雲や霧で覆われている。 天気予報は変わらず、しばらく天気はぐずつくようだ。 当初の予定では今日からチンボラソに向けてベースとなるウインパー小屋(5000m)に行き、夜中からアタックすることになっていたが、 予備日が1日あるので、朝食後にセバスチャンと今日山に入るか、明日山に入るかを協議する。 セバスチャンは天気予報では明日も同じような天気なので、今日から入山した方が良い(山小屋からのアタックも予定どおり今日の夜中からということ)と提案したが、平岡さんは昨夜から今朝までの降雪で今日アタックしているパーティーは無いだろうし、仮にアタックしていても登頂している可能性は少なく、同じ予報なら私達の昨日のコトパクシの疲れもあるので、1日遅らせて入山した方が良い(予備日となる明日の夜中にアタックする)のではないかと私達にも意見を求めてきた。 私達には天気予報が詳細に分からないし、新雪がどの程度積もったのかも分からないので、正しい判断をすることは出来ないが、少なくとも今日アタックしているパーティーがいないとしたら、明日のアタックではラッセルが必至で、少しでもトレースに期待が持てる明後日の方が得策ではないかと思った。 結局最後は平岡さんの判断で明日から入山することになった。 ベストなアタック日が明日か明後日かは神のみぞ知るところだが、恐らく今の天気と山の状況では良くても西峰までしか登れないだろう。 チンボラソに登れることを最後まで期待しているとショックが大きいので、今回は登れなかったとこの時点で早くも気持ちを切り替え、繰り返し自己暗示をかけた。 これもコトパクシに登れたから出来ることで、もし登れていなかったら心中穏やかではいられないだろう。

   今日一日暇が出来たので、セバスチャンの提案で昔ながらのクラフト工房があるグアノという町を散策し、アンバトに次ぐ人口を擁するリオバンバで昼食を食べることにした。 グアノの町は斜陽化が進んでいて、正月明けということもあり観光客は殆どいなかった。 売られている手芸品は先日行ったオタバロの市場より安かったが、その分品質は劣っているようだった。 皮細工の雑貨を売っている店で、小物入れなどをお土産に買った。 リオバンバではチンボラソの氷河を人力で採取してジュースにしている店に寄り、青果市場などを見学してから、一風変わったレストランでランチを楽しむ。 天気が良ければ町からチンボラソが美しく望めるが、今日はまるで山がないかのようだ。 

   ウルビナ村の一軒宿に戻ると、暖炉の熱で部屋がポカポカに暖まって無性に眠くなり、暗くなるまでシエスタを堪能することになってしまった。 印象深いこの宿の唯一の不満は、夕食の料理が他のロッジや宿に比べて見劣りすることだ。 昨日はピラフ、そして今日はスパゲティーというシンプルなものだった。 逆に今までのロッジや宿が良すぎたのかもしれない。


チンボラソへのアタックの日程について話し合う


昔ながらの手芸工房のあるグアノの町


皮細工の雑貨を売っている店


ガラパゴス島をイメージしたタペストリー


チンボラソの氷河を人力で採取してジュースにしている店


リオバンバの町を散策する


青果市場


一風変わったレストラン


エビのグラタン


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