1  9  9  8  年    6  月  

《 14日 》    美瑛岳

   望岳台 〜 雲ノ平分岐 〜 美瑛岳分岐 〜 美瑛岳 〜 美瑛富士分岐 〜 望岳台  (往復)

   6月14日、天気は良さそうなので、車を登山口の望岳台へ走らせる。 30分ほどで望岳台に着くと、日曜日ということもあって駐車場は多くの登山者で賑わっていた。 望岳台は十勝岳登山の表玄関であり、大型バスも停められるほどの広い駐車場にはトイレや売店があった。

   朝食を食べて6時前に出発。 十勝岳を正面に見ながら、冬はスキー場となる火山礫の斜面をリフトの支柱を右手に見ながら登る。 単調な登りだが、のっけから遮るものがない展望は嬉しいかぎりだ。 後ろを振り返る度に望岳台の駐車場が面白いように遠ざかっていく。 1時間ほど登るとリフトの降車場があり、そこが十勝岳と美瑛岳の登山道の分岐になっていた。 分岐では何人かが休憩していたが、意外にも全員が美瑛岳への道をとり、十勝岳へ行く人はいなかった。


雲ノ平分岐付近から見た美瑛岳(右)と美瑛富士(左)


   分岐からは『雲ノ平』という所をトラバース気味に登ったが、早くも美瑛岳の山頂を霧が覆い始め、幅が100mほどある雪渓を渡る手前では霧で体が濡れるほどになってしまった。 雪渓を越えると道は下り気味となり、雪に埋もれたポンピ沢に着いた。 ポンピ沢を渡ると木の根を掴む急登となり、美瑛岳と美瑛富士の分岐に着いた。 早朝の良い天気が嘘のように、相変わらず霧が濃いため美瑛岳も美瑛富士も見えなかった。

   重たい足を引きずりながら冷たい霧の中を登っていくと、突然太陽の光が強烈に射し込み、一瞬にして霧のベールが取り払われ、美瑛岳の山頂がはっきり見えた。 山頂から続く稜線(爆裂火口の縁)まで一気に駆け上がり美瑛岳(2052m)の山頂に着くと、山頂は想像以上に荒涼として荒々しく、また高度感があった。 十勝岳とその手前にある鋸岳のピークが霧の合間から見え隠れしているが、反対側の美瑛富士やその先のオプタテシケ山は全く見えない。 どうやら今日は山の神の機嫌が悪いらしい。 1時間半ほど山頂で粘ってみたが、再び霧が上がることはなかった。


美瑛岳の山頂直下


美瑛岳の山頂から見た十勝岳と富良野岳(右奥)


   登山者の殆どは十勝岳に向かったが、私達は予定どおり美瑛富士に向かった。 1時間足らずで美瑛富士と登山口の望岳台の分岐に着いたが、相変わらず美瑛富士は姿を見せなかったので、次回オプタテシケ山に行く時に登ることにして望岳台への帰途についた。 短い雪渓を3〜4回トラバース気味に横断し、先ほど通った美瑛岳分岐からは往路と同じ道を下る。 ポンピ沢を渡った所でようやく霧が上がり始め、美瑛岳と美瑛富士の素顔を見ることが出来た。 美瑛岳は麓の美瑛町から見ると十勝岳のような端正な姿をしているが、十勝岳に向いている側面がそっくり噴火でえぐられ、美瑛富士は名前どおりの優美な姿で美瑛岳に寄り添っているように見えた。


ポンピ沢付近から見た美瑛岳


   十勝岳への登山道との分岐に着くと、地元の高校生の集団登山の列が十勝岳からアリの行列のように下ってくるのが見え、望岳台の駐車場には生徒を待つ観光バスが何台も停まっていた。 望岳台から少し下った『バーデンかみふらの』で入浴し、念のため羊蹄山の登山口を目指して札幌方面に向かったが、羊蹄山はどうやら鬼門のようで、今回も登ることが出来なかった。


北 海 道    ・    山 行 記    ・    T O P