《 10日 》 上ホロカメットク山 ・ 十勝岳
十勝岳温泉 〜 上ホロ分岐 〜 上富良野岳 〜 上ホロカメットク山 〜 十勝岳 〜 大砲岩 〜 三段山 〜 十勝岳温泉 (周回)
6月10日、車内に射し込む陽の光で目を覚ます。 予想以上の快晴だったので、今日は上ホロカメットク山を登ることにした。 5時半に登山口の十勝岳温泉を出発。 三日連続の登山となったが、好天に恵まれて足取りは軽い。 登山口から30分くらいは安政時代の噴火で出来たという爆裂火口(安政火口)への砂利道になっていて、十勝岳温泉の宿泊客が早朝の散歩をしていた。 これから向かう上ホロカメットク山の山頂が安政火口の奥に小さく見える。 火口を右から迂回して火口を囲む尾根を一つ乗越すと、正面に大きく富良野岳が見え、間もなく上ホロカメットク山と富良野岳との分岐となった。 道を左の上ホロカメットク山にとり、先ほど乗越した尾根に再び取り付くため、300mほど緩斜面の雪渓を歩いた後、這い松に囲まれた急な尾根を登り返して上富良野岳の山頂に着いた。 眼前には上ホロカメットク山が、そしてその奥には十勝岳が孤高を誇っていた。




上富良野岳からは展望の良い尾根歩きとなり、8時半に誰もいない上ホロカメットク山(1920m)の山頂に着いた。 快晴の山頂からは稜線上の十勝岳や富良野岳を始め、昨日登った夕張岳、そして今日登る予定だった芦別岳、さらには日高や東大雪の山々が期待以上に望まれ、一昨日の恵庭岳の無念を晴らした思いだった。 上ホロカメットク山から見た十勝岳は裾野を長く引いた優美な姿で私達を魅了していた。 十勝岳を登る時は望岳台からと決めていたが、その美しい姿に惹かれ、快晴の尾根をそのまま十勝岳まで足を延ばすことにした。 山頂直下の避難小屋の入口の扉には、熊よけのため角材を使った閂が掛かっていた。 熊には遭遇したくないが、小屋の内部や周囲にゴミが一切ないのは熊のおかげだと思った。


十勝岳まではコースタイムで1時間半ほどだったが、山に吸い寄せられるようにどんどん足が進み、1時間ほどで誰もいない十勝岳(2077m)の山頂に着いた。 稜線の先には美瑛岳が大きく望まれ、その背後のトムラウシも微笑んでいるように見えた。 一方、望岳台方面に目を転じると、大きく口を開けた火口が幾つかあり、そのうちの一つからは噴煙が勢いよく吹き上がり、あらためてこの山は活火山だということを思い知らされた。 間もなく望岳台方面から単独の年配の男性が登ってきた。 旭川在住の単独氏は十勝や大雪の山々は何度も登られているとのことで、北海道の山について色々と教えていただいた。


十勝岳からの下山は、再び上ホロカメットク山方面に戻り、『大砲岩』と呼ばれる大岩がある分岐から安政火口の縁を三段山を経て十勝岳温泉へ下るルートをとった。 このルートは手元の地図には記されているが、大砲岩の分岐には標識がなかった。 分岐からの踏み跡は次第に無くなり、途中のザレ場の急斜面では落石の危険もあり、私が先行して妻が後ろで見守るといった状況で肝を冷やした。 三段山への登りでは安政火口の核心部の特異な光景が間近に見られ、とても印象深かった。 コースタイムの2倍の時間を要して三段山の山頂に着くと、今辿ってきたルートを指す木製の標識が根元から切断されていた。 三段山から十勝岳温泉へ下り始めた直後、突然目の前にネズミをくわえたキタキツネが飛び出してきた。 まさか山頂直下の稜線でキタキツネとハチ合わせするとは思わなかったが、キツネも同じだったに違いない。 しばらくお互いに見合っていたが、キタキツネはネズミをくわえたまま目だけをこちらに向け、ゆっくりと火口の方へ降りて行った。 私達も眼下に見える十勝岳温泉を目指して歩みを続け、出発してから10時間後に登山口の駐車場に戻った。
登山口から車で5分ほどの国民宿舎『カミホロ荘』の温泉に入り、ラジオの天気予報を聞くと、残年ながら明日以降の天気は下り坂ということだった。 どの程度山の天気が崩れるか分からないので、十勝と大雪の山並みが見える上富良野の町外れにあるパーキングに泊まり、明日の早朝自分の目で天気を確かめてから行動することにした。
