1  9  9  8  年    6  月  

《 9日 》    夕張岳

   林道終点駐車場 〜 冷水コース分岐 〜 馬ノ背コース分岐 〜 望岳台 〜 ガマ岩 〜 夕張岳  (往復)

   6月9日、私達の車で独占していた登山口の駐車場に車が到着する音で目を覚ます。 天気は相変わらずはっきりしないが、天気予報は晴れを告げている。 祈るような気持ちで6時に登山口を出発。 登り始めて間もなく『冷水コース』と『馬ノ背コース』の分岐があった。 この二つのコースはどちらを辿っても約2時間後に合流するため、登りは右の冷水コースで行くことにした。 合流点まではその名のとおり2か所の水場があったが、満開のシラネアオイの群生が圧巻で、登るにつれてその数はどんどん増えていった。 馬ノ背コースとの合流点を過ぎると間もなく、十勝連峰や芦別岳が望まれる『望岳台』と呼ばれる所に着いたが、その周囲にも何百本ものシラネアオイが群生し、眼前の山々の展望もさることながら、予想以上のお花畑の素晴らしさにとても得をしたような気分になった。 望岳台はいわゆる5合目だが、すでに森林限界を超えていた。 ありがたいことに天気は次第に良くなり、雲一つない快晴の天気となった。


満開のシラネアオイ


   望岳台からは緩やかな登りが続き、夕張岳の山頂を望みながらの稜線漫歩となった。 前岳・男岩・ガマ岩・釣鐘岩などの大小の岩峰を巻きながら、登山道の脇に咲き誇る様々な種類の高山植物を愛でながら歩いたため、予想はしていたもののコースタイムを大幅にオーバーしてしまった。 山頂の反対側からの登山道の『金山コース』と合流してから10分ほどで、誰もいない静かな夕張岳の山頂に着いた。


望岳台と夕張岳の間から見た夕張岳


望岳台と夕張岳の間から見た夕張岳


   山頂からの360度の展望は予想以上に素晴らしく、眼前の芦別岳から時計回りに大雪や十勝、そして日高の山々が一望された。 時間が経つのも忘れ、1時間半ほど山頂を私達だけで独占し、双眼鏡と地図を交互に見ながら山座同定を行ったが、まだまだ未知の山々が多く、次の山行への意欲が倍増した。 下山は往路を戻って分岐から馬ノ背コースをとったが、ここにもいたる所に満開のシラネアオイが群生し、一日で一生分のシラネアオイを見たような気がした。


夕張岳の山頂から見た芦別岳


夕張岳の山頂から見た望岳台方面と前岳


   下山後は夕張炭鉱の跡地に作られたという『ユーパロの湯』という日帰り温泉施設に入り、明日登る予定の芦別岳の登山口へと車を走らせたが、夕張岳からの下山が予定よりもだいぶ遅くなってしまったため急遽予定を変更し、短時間で登れる十勝連峰南部の上ホロカメットク山か富良野岳のどちらかを登ることにした。 登山口はどちらも十勝岳温泉だ。


北 海 道    ・    山 行 記    ・    T O P