1  9  9  8  年    6  月  

《 8日 》    恵庭岳

恵庭岳登山口 〜 見晴台 〜 恵庭岳  (往復)

   平成10年6月7日の午後4時、直江津から乗船したフェリーは定刻どおり室蘭港に着いた。 天気は薄曇りだが、明日の天気は晴れという予報に心は弾む。 昨年の8月に初めて北海道の山に登った私は、すっかり北の国の山の虜となり、今後の山行のメインとすることを心に決めた。 今回の山行は道央の山に的を絞り、恵庭岳・夕張岳・芦別岳・羊蹄山の4座を目標に、天気次第で十勝連峰の山々を数座登る計画だ。 この4座はいずれも独立峰で、標高は全て2000mに満たないが、標高差は1000mから1500mあり、好展望が約束されている。 コンビニで食料を調達し、苫小牧経由で明日登る恵庭岳の登山口の支笏湖畔に向かった。 6月なので日が長く、7時を過ぎても湖畔から裾野を長く引く恵庭岳が良く見えた。 早くあの頂からの展望を楽しみたい。

   6月8日、4時半にポロピナイコースの登山口を出発。 人気のある山のようで、平日にもかかわらず、2名の先行者が見られた。 熊の気配はあまり感じられないが、昨年知床で買ったお守りのカウベルをザックに付けていく。 原生林に囲まれているため登山道にはまだ陽が射し込んでないが、今回の山行の第一歩に足取りは軽い。 樹間の詰まった単調な針葉樹林帯を2時間以上黙々と登り続け、見晴台と呼ばれる七合目に着いたが、少し前から湧き始めた霧のため何も見えなかった。 見晴台から1時間ほど火口を囲む尾根を辿り、山頂直下で30mほどの岩登りをして、9時半に待望の恵庭岳(1320m)の山頂に着いた。

   眼下には支笏湖、対岸には樽前山、反対側には北海道3大秘湖の一つであるオコタンペ湖が見える・・・と、ガイドブックには書いてあったが、霧のベールに包まれた山頂からの展望は全く得られなかった。 釣りに例えれば“ボウズ”となってしまったのだ。 何時間でも粘っていたかったが、明日の山行のことを考え、再訪することを心に誓って1時間ほどで山頂を後にした。 七合目の見晴台でようやく眼下の霧が少し晴れ、支笏湖の一部が望まれた。 この日は月曜日だったが、登山者は20人ほどで、今回の山行中で一番多かった。 地元の方によると、この山は札幌から1時間で登山口まで来れるため、週末は多くの登山者で賑わうとのことだった。

   下山後は支笏湖畔の国民休暇村の温泉に入り、明日登る予定の夕張岳の登山口へと車を走らせたが、地図を見るために車を路肩に停めたところ、突然車のバッテリーが上がってしまった。 畑のど真ん中で人家も殆どなかったが、幸運にも1キロほど先に自動車の修理工場があり、充電をしてもらえた。 山深い登山口で再発する危険性を考えて苫小牧まで戻り、カーショップでバッテリーを交換して再び夕張岳の登山口に向かった。

    夕張岳は花の名山としても有名である。 バブル絶頂期にこの山を大規模スキーリゾートとして開発する計画があったようだが、国道から登山口までの林道15キロはまだ舗装されておらず、工事車両等もなかったので安堵した。


北 海 道    ・    山 行 記    ・    T O P