2  0  2  2  年    7  月  

《 29日 〜 30日 》    羅臼岳 ・ 硫黄山

   北海道百名山の未踏の山(6座)のうち、オホーツク(斜里町)の硫黄山(1562m)を1泊2日で羅臼岳(1660m)から縦走して登った。 25年前の夏に登った羅臼岳の山頂から見た硫黄山へと続く知床連山の景観はとても印象的で、永い間その残像が脳裏に焼き付いていた。 昨年の春に登った知床岳(1254m)から知床連山を見た時にその思いを新たにしたが、天気に翻弄され続けながらも今回ようやくその思いを叶えることが出来た。

   今年の夏の北海道は、温暖化や東北北部の梅雨明けが遅れたことなどで不安定で湿っぽい天気の日が多く、天気予報どおりにならないことが度々あった。 知床半島は北海道の中でも特に気象の変化が激しい地域なので、何日も前から天気予報を入念にチェックして日程を決めたが、快晴の予報が出ていた入山日(28日)に弥三吉水(水場)の先で雨が降り始めたので、悩んだ末に敗退することにした。

   下山後は暇つぶしに知床自然センターに行くと、硫黄山から下山してきた登山者が、登山道に居座って動かないヒグマの親子の目撃情報をスタッフに報告している所だったので、あらためてその場所を詳しく教えてもらったが、私達も後日違う形でヒグマに遭遇することになるとは知る由もなかった。 その後も終日小雨が続いたので良い選択をしたと思ったが、予報とは真逆となった天気に不安な気持ちが募った。


羅臼岳の山頂から見た知床連山(1997年8月7日撮影)


知床岳の山頂から見た知床連山(2021年4月11日撮影)


弥三吉水(水場)の先の敗退地点(2022年7月28日撮影)


《 29日 》

   羅臼岳登山口 〜 弥三吉水 〜 羅臼平 〜 羅臼岳 〜 羅臼平 〜 三ツ峰キャンプ地 〜 二ツ池キャンプ地(泊)

   翌日の29日は曇りだが昼前から天気が回復し、明日の30日は終日良い天気になるという予報を半信半疑でリベンジすることにしたが、今日も天気予報が外れたのか未明から快晴の天気となり、登山口の岩尾別温泉へ向かう車道から羅臼岳から硫黄山までの知床連山がすっきり望まれた。 ハイシーズンの百名山らしく、早朝から羅臼岳への登山者の姿が何人も見られた。 昨日とは全く違う良い天気に足取りは軽い。 縦走者にはありがたい弥三吉水の水場で、二ツ池キャンプ地に泊るというHさんという単独の男性にお声掛けする。


昭文社の登山地図


登山口へ向かう車道から見た知床連山の羅臼岳(右端)と硫黄山(左端)


岩尾別温泉の駐車場


羅臼岳登山口


登山口に建つ木下小屋


登山口のヒグマ目撃情報


登山口のヒグマ出没状況


登山口から弥三吉水へ


登山口から弥三吉水へ


登山口から弥三吉水へ


登山口から弥三吉水へ


登山口と弥三吉水の間から見た硫黄山


登山口と弥三吉水の間から見た三ツ峰(右)とサシルイ岳(左)


登山口と弥三吉水の間から見た羅臼岳


弥三吉水(水場)


   羅臼平を源頭とする大沢の長い雪渓には既に雪が無く、チングルマやエゾコザクラなどの花々が咲き誇っていた。 硫黄山への縦走路と羅臼岳の分岐となる羅臼平からは羅臼岳の山頂が青空の下に望まれたが、知床連山はウトロ側から湧き始めた湿った雲に徐々に覆われ、25年ぶりの懐かしい羅臼岳の山頂からは辛うじて硫黄山の山頂が望まれた。


弥三吉水から羅臼平へ(極楽平)


弥三吉水から羅臼平へ


弥三吉水から羅臼平へ(銀冷水)


弥三吉水から羅臼平へ(大沢入口)


弥三吉水から羅臼平へ


弥三吉水から羅臼平へ


羅臼平の手前から見た三ツ峰


チシマノキンバイソウ


エゾコザクラ


エゾノツガザクラ


チシマクモマグサ


イワヒゲ


チングルマ


エゾツツジ


羅臼平


羅臼平から見た羅臼岳


羅臼平から羅臼岳へ


羅臼平と羅臼岳の間から見た三ツ峰


羅臼平から羅臼岳へ


羅臼平から羅臼岳へ


羅臼平と羅臼岳の間から見た硫黄山(中央奥)と三ツ峰(右手前)


羅臼岳の山頂


山頂の山名板


山頂から見た知床連山と硫黄山(左奥)


羅臼岳から羅臼平へ


羅臼岳から羅臼平へ


エゾノツガザクラ


イワブクロ


   羅臼岳から羅臼平に戻り、硫黄山方面への縦走路に入る。 羅臼岳への整備された登山道とは違い、背丈よりも高いハイマツの藪もあったが、踏み跡は予想以上に明瞭だった。 幕場として予定している二ツ池キャンプ地までは三ツ峰(1509m)・サシルイ岳(1564m)・オッカバケ岳(1450m)という三つの顕著なピークを越えていくが、登山道は地形図どおりいずれのピークを踏むことはなかった。 今日も天気予報が外れたようで、羅臼平からキャンプ地までの縦走路は終始厚い雲や霧に覆われ展望が得られなかったが、ハイマツ帯以外では花々が予想以上に多くて癒やされた。


羅臼平から三ツ峰キャンプ地へ


羅臼平から三ツ峰キャンプ地へ


羅臼平から三ツ峰キャンプ地へ


羅臼平から三ツ峰キャンプ地へ


チシマノキンバイソウ


エゾフウロ


メアカンフスマ


エゾツツジ


チシマギキョウ


三ツ峰キャンプ地


三ツ峰キャンプ地から二ツ池キャンプ地へ


三ツ峰キャンプ地から二ツ池キャンプ地へ


三ツ峰キャンプ地から二ツ池キャンプ地へ


三ツ峰キャンプ地から二ツ池キャンプ地へ


三ツ峰キャンプ地から二ツ池キャンプ地へ


三ツ峰キャンプ地から二ツ池キャンプ地へ


三ツ峰キャンプ地から二ツ池キャンプ地へ


三ツ峰キャンプ地から二ツ池キャンプ地へ


エゾカンゾウ


アオノツガザクラ


エゾコザクラ


ハクサンチドリ


オトギリソウ


   二ツ池キャンプ地にはHさんのテントが一張だけ見られ、その後は誰も訪れなかった。 キャンプ地は狭いが綺麗に整地されていたので快適だった。 水場は傍らの二ツ池の水を汲んで煮沸したが、水質は予想よりも悪くなかった。 幕場から少し離れた所に熊除けの頑丈なフードロッカーがあったが、今日はヒグマの糞を見ていないので精神的に楽だった。 夕方になるとようやく天気が回復し、それまで全く見えなかった周囲の山々が見えるようになったので、明日の硫黄山への縦走に期待が持てた。


二ツ池


二ツ池キャンプ地


キャンプ地のフードロッカー


キャンプ地から見たオッカバケ岳


キャンプ地から見た南岳


《 30日 》

   二ツ池キャンプ地 〜 知円別岳 〜 第2前衛峰 〜 硫黄山 〜 新噴火口 〜 硫黄山登山口

   翌日は日付が変わった頃から雨が降り始め、再び天気予報が大きく変わった可能性があるため、予定どおり硫黄山への縦走を続けるか逡巡したが、Hさんと協議して一緒に前に進むことにした。 朝露ではなくハイマツに付いた雨滴ですぐに全身がびしょ濡れになったが、最初のピークの南岳(1459m)の手前でネットが繋がると、最新の天気予報ではこれから晴れてくることが分かったので安堵した。 予報どおり南岳を過ぎると少しずつ陽射しを感じるようになったが、次の知円別岳(1544m)までは依然として霧で周囲の展望が得られず、知円別平の広いお花畑で穂になったチングルマの大群落などが見られたことが唯一の救いだった。


昭文社の登山地図


二ツ池キャンプ地から知円別岳へ


二ツ池キャンプ地から知円別岳へ


二ツ池キャンプ地から知円別岳へ


二ツ池キャンプ地から知円別岳へ


二ツ池キャンプ地から知円別岳へ


二ツ池キャンプ地から知円別岳へ(知円別平)


知円別岳の巻き道


チングルマ


エゾノツガザクラ


アオノツガザクラ


   霧に煙る知円別岳も山頂を踏まず、黙々と火山灰の痩せ尾根やユニークな溶岩の岩塔群を通過する。 硫黄山の第2前衛峰で休憩していると、急速に周囲の霧が晴れ、突然目の前にオホーツク海を背にした硫黄山が見えた。 間もなく今日辿ってきた南岳から知円別岳の稜線も見えるようになり、ようやく天気の回復に期待が持てた。 足取りが急に軽くなり、空身で縦走路から外れた硫黄山への登りに入ると、それまでとは全く違う快晴の天気となり、待望の硫黄山の山頂からは羅臼岳のみならず反対方向の知床岳も望まれ、その劇的なサミットにHさん共々喜びを分かち合った。


知円別岳から第2前衛峰へ


知円別岳から第2前衛峰へ


知円別岳から第2前衛峰へ


知円別岳から第2前衛峰へ


知円別岳から第2前衛峰へ


知円別岳から第2前衛峰へ


知円別岳から第2前衛峰へ


知円別岳から第2前衛峰へ


ウコンウツギ


チングルマ


第2前衛峰から見た硫黄山


第2前衛峰から見た第1前衛峰


第2前衛峰から硫黄山へ


第2前衛峰と硫黄山の間から見た硫黄山


第2前衛峰と硫黄山の間から見た第2前衛峰


第2前衛峰から硫黄山へ


第2前衛峰から硫黄山へ


第2前衛峰から硫黄山へ


第2前衛峰から硫黄山へ


チシマギキョウ


イワブクロ


シレトコスミレ


硫黄山の山頂


山頂の三角点


山頂から見た羅臼岳(中央奥)


山頂から見たオホーツク海


山頂から見た知床岳(中央遠景)


山頂から見た第2前衛峰(右手前)と東岳(中央奥)


山頂から見た知床連山(右端*羅臼岳・中央*南岳・左端*知円別岳)


   硫黄山からの下りは外輪山の背をしばらく辿ってから、大小の岩が堆積した硫黄沢を延々と下り、伏流の終わりから高巻くように尾根に登り返したが、標高が下がるにつれて真夏の陽射しが厳しく、朝方とは反対に陽射しが弱くなることを願っていた。 取り決めどおり、オホーツク海やウトロの町を望む新噴火口から予約していたタクシー会社に電話を入れる。


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山と新噴火口の間から見た外輪山


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山から新噴火口へ


硫黄山と新噴火口の間から見た知床岳(中央奥)


チングルマ


エゾコザクラ


シラタマノキ


新噴火口から見たオホーツク海


   一昨日ヒグマの目撃情報があった場所には真新しいヒグマの糞が見られたが、土曜日ということで硫黄山への日帰りの登山者がいたためか、ヒグマと遭遇することなく無事硫黄山登山口に降り立った。 未舗装の車道をカムイワッカ湯の滝の林道ゲートまで歩き、迎えに来てくれた観光タクシーに乗る。 カムイワッカ湯の滝から岩尾別温泉までのタクシー料金は定額で7,000円だった。 カムイワッカ湯の滝からはすれ違う観光客の車も多かったが、突然道路脇の笹藪からヒグマが飛び出し、運転手の急ブレーキで間一髪衝突を免れた。 ヒグマはこちらを睨んでから平然と反対側の笹藪に消えていき、あらためて知床がヒグマの住処であることを思い知らされた。


新噴火口から硫黄山登山口へ


新噴火口から硫黄山登山口へ


新噴火口と硫黄山登山口の間から見た硫黄山


真新しいヒグマの糞


新噴火口から硫黄山登山口へ


硫黄山登山口


登山口の案内板


登山口のヒグマ目撃情報


登山口から林道ゲートへ


林道ゲート


ウトロ観光タクシー


車道から見た知床連山


車道から見た羅臼岳


車道から見た硫黄山


【前泊地】 道の駅うとろ・シリエトク      

【立寄湯】 夕陽台の湯                           

【宿泊地】 道の駅メルヘンの丘めまんべつ


2 0 2 2 年    ・    山 行 記    ・    T O P