《 8月5日 》

オシュ(1200m) ⇒ B.C(3600m)

   8月5日、まだうす暗い5時に起床。 予想よりも豪華だったバイキングの朝食を済ませ、6時過ぎに迎えにきたアキサイ社のマイクロバスに乗り、アチク・タシのB.C(3600m)に向かう。 あいにく風邪は治らず、喉は張り付くように痛くて微熱もありそうだった。 早朝の空いた市街地を抜けると、道端の露店でスタッフがスイカや白いウリ(メロン)を沢山買い込んでいた。 マイクロバスは南東の方向に広い幹線道路をフルスピードで疾走する。 走っている車は日本車が半分くらいだろうか。 間もなく馬やユルト(遊牧民の移動式の住居)の点在する標高2300m位の峠を緩やかに越える。 交通量は少ないが、峠を越えるトラックはどれも皆大きかった。 長閑な田園地帯を過ぎて山岳地帯に入ると、急勾配のカーブが連続するようになり、人と荷物と果物を満載したマイクロバスのスピードは全く上がらなくなった。 意外にもサイクリングをしている人が多く見られたが、私達と同じように地元の人ではないようだった。 峠の最高点は3500m近くあったが、ここはまだタジキスタンとの国境からは遠く、峠を越えてからはそれまでとは一変して緩やかな直線の下りとなり、2700mまで徐々に高度は下がった。 周囲は一面の草原となり、その向こうに待望のレーニン・ピークのある白い山塊が見えた。

   ホテルを出発してから正味4時間ほどでマイクロバスは幹線道路から左に外れ、凸凹の多い未舗装の山道に入った。 青い橋で濁った川を渡ると、そこには『レーニン・ピーク入口』と記されたアーチがあった。 マイクロバスはまるで馬のような感覚で道を横切る川を渡ったり、いつスタックしてもおかしくないような凸凹の悪路をスムースに乗り越えていく。 間もなく峠を越えた時にはなかった軽い頭痛が始まり、予想よりも早く正午前に待望のB.Cに着いた。

 

ホテルの朝食のバイキングは予想よりも豪華だった


道端の露店でスタッフがスイカや白いウリ(メロン)を沢山買い込んでいた


オシュからB.Cへの移動中の車窓から見た風景


オシュからB.Cへの移動中の車窓から見た風景


山岳地帯に入ると急勾配のカーブが連続するようになり、サイクリングをしている人が多く見られた


オシュからB.Cへの移動中の車窓から見たレーニン・ピーク(中央)


幹線道路から左に外れて未舗装の山道に入る


マイクロバスはまるで馬のような感覚で道を横切る川を渡る


   B.Cのある広い扇状地には幾つかのエージェントのテント村が点在していたが、アキサイ社のテント村が一番手前だった。 B.Cからはレーニン・ピークの頂がはっきり望まれ、周囲を囲む山々と共にロケーションは予想以上に良かった。 テント村には大きく立派なダイニングテントと50張ほどの黄色いカマボコ型の個人用テントがあった。 個人用テントは、暑さや寒さに強く結露を防ぐための内張りがあり、二人分の厚いマットレスが敷かれていた。 テントは麓のホテルと同じように工藤さんと一緒になったが、結局上部キャンプでも全て工藤さんとご一緒することになった。 

   個人用テントに荷物を搬入してダイニングテントに行くと、B.Cマネージャーのミハエルから今回のガイドを紹介されたが、意外にもガイドはビシュヌというネパール人で、日本語が片言であるが話せた。 平岡さんはアキサイ社から事前に打診されたガイドと違ったため困惑していたが、私は個人的にはネパール人で良かったと思った。 ビシュヌは6日前の7月31日にガイドとして登頂したが、その後は遭難者のレスキュー(イラン人が滑落して亡くなったらしい)をしていたとのことだった。 ビシュヌは48歳で、エベレストとマナスルにはそれぞれ3回登頂しているが、マナスルでは田部井さんを案内したとのことで、日本では1シーズンだけ徳本峠の山小屋で働いたことがあるとのことだった。 ミハエルから、B.CとC.1での食事は、朝は8時・昼は1時・夜は7時になるという説明があった。 トイレは男女別に6つあったが、電気を麓の町から引いているため室内に電灯があった。


B.Cのテントサイト


黄色いカマボコ型の個人用テント


B.Cからのロケーションは予想以上に良かった


B.Cのある広い扇状地に放牧された牛や羊


大きく立派なダイニングテント


室内に電灯があるトイレ


意外にもガイドはビシュヌというネパール人だった


   昼食は具の沢山入ったスープに鶏肉と麦飯、そしてナスとトマトのピリ辛煮だったが、いずれも美味しく、食後は桃とブドウのデザートが出た。 天井が高いダイニングテントはとても快適で、お菓子やパン・コーヒー・紅茶はいつでも自由に飲み食いすることが出来た。 1.5リッターのミネラルウォーターは、コーラなどの炭酸飲料と同じで2ドルだった。 昼食後は快適なダイニングテントで寛ぐ。 僅かに頭痛はあるが苦痛ではなく、むしろ風邪によるだるさと睡眠不足で眠かった。   

   夕食にはスープが出ず、ハン・テングリのB.Cと同じように昼食が一番ボリュームがあることが分かった。 夕食のハンバーグもとても美味しく、明日からの食事に期待が持てた。 夕食後も軽い頭痛が続いていたが、夕食後のSPO2と脈拍は85と79で、数値はまずまずだった。 夜は6時半でテントに陽が当たらなくなるが、9時頃まで明るかった。


昼食の鶏肉と麦飯


天井が高いダイニングテントはとても快適だった


夕食のハンバーグ


B.Cから見た残照のレーニン・ピーク(右)


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