2  0  2  0  年    8  月  

《 12日 》    カムイエクウチカウシ山

   幌尻ゲート 〜 七ノ沢出合 〜 八ノ沢出合手前  (往復)

   北海道百名山の未踏の山(61座)のうち、日高・十勝(新ひだか町・中札内村)のカムイエクウチカウシ山(1979m)を一泊二日で登りに行ったが、初日に八ノ沢出合の手前の札内川の渡渉が出来ず登頂を断念した。

   久しぶりに日高方面に二日連続の晴れの予報が出たので、直前まで幌尻岳かカムイエクウチカウシ山(カムエク)に行くかを悩んだが、直前の予報で前夜の小雨が未明まで残るという予報になったので、初日に下の幕営地の八ノ沢出合まで行ければ登頂可能なカムエクを選んだ。 上の幕営地の八ノ沢カールまで初日で行ければ理想的だが、前年の7月に八ノ沢カールで2件のヒグマによる人身事故があったことで、今シーズンのカムエクは登山自粛規制が出ていたため、今回は幕営地を下の八ノ沢出合とすることに迷いはなかった。

   事前の情報どおり、今シーズンの県道111号線は札内ヒュッテよりも1キロほど先の幌尻ゲートまで車で入れたが、手前の南札内の集落で道路を悠然と横切るヒグマを目の前で目撃し、入山前から恐れていた日高の山の洗礼を受けた。 10時にゲートに着くと、意外にもお盆の期間の前後だったことで、ゲートの前の駐車スペースには釣り人と登山者の車が7台停まっていた。 車の主は上の幕営地の八ノ沢カールを目指していることが推測され、私も状況次第では八ノ沢カールまで行くことに頭を切り替え、6キロほど先の七ノ沢出合へ歩き始めた。 2016年夏台風で損壊した県道111号線は、意外にも途中の崩壊箇所の工事が行われていて、今年中には工事が終了するようだったので、将来的には以前のように登山者が七ノ沢出合まで車で入れるようになるのかもしれない。 工事箇所以外の県道はとても歩き易く、ゲートから1時間半足らずで七ノ沢出合に着いた。


札内ヒュッテ


札内ヒュッテの内部


札内ヒュッテに置かれていた警告文


幌尻ゲート


ゲートの先の駐車地


幌尻ゲートから七ノ沢出合へ


幌尻ゲートと七ノ沢出合の間の工事箇所


幌尻ゲートから七ノ沢出合へ


七ノ沢出合の渡渉点


   七ノ沢出合の河原で新調した沢靴に履き替え、GPSとピンクテープを見ながら七ノ沢を迂回するように札内川を渡渉する。 流れは弱いが水深が股まであり、のっけからザックの底を濡らしてしまった。 すぐに膝ほどの短い渡渉を二回してから左岸の歩きやすい所を選んで進む。 ピンクテープは予想よりも少なく専らGPSが頼りだ。 七ノ沢出合からは淡々と河原を歩くイメージでいたが、台風でルートが荒れてしまったのか、川との際の岩場を歩いたり踏み跡のない所を歩いたりするため、予想よりも歩きにくかった。 七ノ沢出合と八ノ沢出合の中間よりも少し手前で右岸に大きなピンクテープが見られ、GPSからもそこが二番目の渡渉点であると思われたが、川幅は最初の徒渉点よりも広く、水深は同じくらいだったので、そこを渡ることがはばかられた。 仕方なくそのまま右岸を歩いて行くと、こちらにもピンクテープが僅かに見られたので、引き返すことなく先に進むことにした。 間もなく広い枯れた河原となり歩き易くなったが、それも長続きせずどうしても左岸に渡らなければならない状況になってしまった。 意を決して先ほどの渡渉点よりは少し川幅の狭い所を渡る。 幸い水深が股まで行かなかったので助かったが、流れが少し急で全く余裕はなかった。 左岸に這い上がって少し藪を漕ぐと、ようやく入渓してから一番まともな踏み跡に合流して安堵する。 踏み跡は笹藪の背が高い所もあったが、それまでになく安心して歩けた。 七ノ沢出合から1時間半以上を要してようやく三番目で最後の右岸への渡渉点に着いた。


七ノ沢出合から八ノ沢出合へ


七ノ沢出合から八ノ沢出合へ


七ノ沢出合から八ノ沢出合へ


七ノ沢出合から八ノ沢出合へ


七ノ沢出合から八ノ沢出合へ


七ノ沢出合から八ノ沢出合へ


七ノ沢出合から八ノ沢出合へ


三番目で最後の右岸への渡渉点


三番目で最後の右岸への渡渉点(GPS)


   渡渉点の対岸にはピンクテープがあり、GPSや前後の状況を見ても間違いなかったが、今までで一番渡渉が困難なように思えた。 案の定、渡渉ルートをつぶさに観察してから慎重に渡り始めたが、流れはさらに速くなり太股の中間くらいでも足を前に出すのがやっとで、股までくると前に進めなくなってしまったばかりか、立っているのもやっとの状況だった。 一旦引き返し、場所を変えて何度かチャレンジしてみたが、今回はザックの防水対策をしてこなかったため、転倒した時のリスクを考えるとギリギリの所まで進むことが出来なかった。 最後のチャレンジではショルダーベルトに付けているカメラが水に濡れて作動しなくなってしまったので、仕方なくこの場所での渡渉を諦め、左岸の際を上流に向かって進んでみると、所々で獣道のような微かな踏み跡は見られたが次第にそれもなくなり、また良い渡渉点も見つけられなかった。 入山前に天気予報ばかりに気を取られ、札内川ダムの全流入量をチェックしなかったことが悔やまれた。 渡渉点から少し下流にも様子をうかがいに行ってみたが状況は変わらず、登山自粛規制が出ている状況下で無理は出来ないと、断腸の思いで引き返すことにした。

   帰路は往路で渡らなかった二番目の渡渉点の左岸のピンクテープの所まで正しい踏み跡を辿り、同じようにそこは渡らず、さらに左岸の歩きやすい河原を下って右岸のピンクテープが見えたやや川幅の狭くなった所を強引に渡ったが、やはり先ほどの徒渉よりも流れが弱くて楽だった。


今回渡らなかった二番目の渡渉点(左岸側)


帰路に左岸から右岸へ渡った渡渉点


   帰宅後にそれまで軽視していた国土交通省の札内川ダムのHPで1時間毎の全流入量を調べてみると、ダムと八ノ沢出合とではタイムラグは数時間あるが、八ノ沢出合の手前の渡渉点に着いた当日の13時過ぎの全流入量の数値は20.20だった。 前日の同時刻は14.14だったが、その後に雨が降ったため前日の18時には59.00と最大になり、それが次第に減水していく状況が手に取るように分かった。 その後も雨が降らなかったので、翌13日の13時は10.82、翌々日の14日の13時には7.57まで下がった。 渡渉の可否の有無は装備や経験などにより異なるが、全流入量が13.00以上では徒渉が困難となり、4.00以下であれば容易であると記されたあるサイトの意見はとても参考になり、今月も4.00以下の日が数日あったことが分かった。 降雨による増水は短時間だが、減水には時間が掛かることも分かり、次回カムエクを登る場合は少なくとも三日前から現地の天気と札内川ダムの全流入量をチェックするべきだと思った。


国土交通省の札内川ダムのHP


                                            【前泊地】 道の駅樹海ロード日高

                                            【宿泊地】 道の駅なかさつない


2 0 2 0 年    ・    山 行 記    ・    T O P