《 17日 〜 19日 》 大雪山(旭岳) ・ 忠別岳 ・ トムラウシ山
北海道百名山の未踏の山(71座)のうち、大雪山の旭岳(2290m)・忠別岳(1962m)・トムラウシ山(2141m)の3座を旭岳温泉から天人峡温泉へ2泊3日で縦走して登った。
《 17日 》
旭岳温泉ロープウェイ山麓駅 ⇒ 姿見駅 〜 大雪山(旭岳) 〜 間宮岳 〜 北海岳 〜 白雲分岐 〜 白雲岳 〜 白雲分岐 〜 白雲岳避難小屋(テント泊)
10日ほど前から北海道に来ていた山仲間の西さん&セッちゃんと道の駅『ひがしかわ』で落ち合い、下山口とした天人峡温泉の無料駐車場に車1台をデポしてから旭岳温泉のロープウェイ乗り場へ。 一週間ぶりの晴天の予報で、平日にもかかわらず旭岳温泉の駐車場にはすでに多くの車や登山者が見られた。 6時半始発のロープウェイに30分ほど前から並ぶと、新型コロナウイルスの影響で乗車人数を半分程度に減らして運行していたが、運良く始発のロープウェイに乗ることが出来た。 白雲岳避難小屋が建替工事で使えないためか、来週末が4連休のためか、乗客は日帰りの登山者が大半だった。 姿見駅から姿見ノ池まではチングルマやエゾノツガザクラなどの高山植物が一面に咲き乱れ、久々の20キロ近い荷物でも足取りは軽い。 北海道で一番人気のある山なので登山道はとても登り易く、噴煙を上げる地獄谷や赤茶けた爆裂火口の荒々しい岩壁を左手に見ながら、雲が湧き上がる前に山頂に着くことが出来た。
大勢の登山者で賑わう山頂から裏旭キャンプ指定地に向けて残雪の斜面を下る。 残雪の消えたキャンプ指定地周辺からは再びエゾコザクラなど色々な高山植物が見られるようになった。 御鉢平を取り囲むたおやかな北海岳の山頂から、お鉢周りをする日帰りの登山者と別れ白雲岳方面へ向かう。 ここからは私達だけで貸し切りの稜線漫歩となった。 白雲分岐に近づくにつれ、今まで見たことがないようなお花畑が一面に広がり、足が全く前に進まなくなってしまった。
みずみずしい高山植物に何度も足止めされながらも、予定より早く白雲岳避難小屋に着きそうだったので、計画にはなかったが西さん&セッちゃんのリクエストで白雲分岐から空身で二週間前に登った白雲岳を往復する。 白雲岳の山頂から見たトムラウシ山はまだ遙かに遠く、旭岳の山肌の残雪は二週間前に比べて明らかに少なくなっていた。
3時前に白雲岳避難小屋に着くと、すでに避難小屋は解体され、広く快適そうなテントサイトは工事関係者の飯場となっていた。 意外にも小屋の管理人さんから、夕方の6時まで工事の資材をヘリで運ぶため、テントを張るのはそれ以降にして欲しいとの申し出があったので、ゆっくり寛ぐことが出来なかったばかりか、発電機の音が耳について一晩中殆ど眠れなかった。
《 18日 》
白雲岳避難小屋 〜 忠別岳 〜 五色岳 〜 化雲岳 〜 ロックガーデン 〜 南沼キャンプ指定地 〜 トムラウシ山 〜 南沼キャンプ指定地(テント泊)
翌日は予定よりも少し遅れて5時前に出発。 予報以上の素晴らしい快晴の天気となったが、好事魔多しでカメラの予備バッテリーが見当たらず、撮影は殆どがスマホになってしまった。 避難小屋から私達と同じ行程を辿るのは単独の男性一人だけで、図らずも垂涎の縦走ルートはほぼ貸し切りとなった。 今が盛りのエゾノツガザクラとチングルマのお花畑は昨日よりもさらに規模が大きく、のっけから足が全く前に進まない。 起伏の緩やかな登山道の両脇にはコマクサの群落が延々と途切れることなく続き、一日で一生分のコマクサを見たような気がした。 最初のピークの忠別岳まではコースタイムを大幅にオーバーしてしまったが、これだけのお花畑は今まで見たことがないので仕方がない。 スマホでの花々の撮影枚数は極力減らしたが、カメラの予備バッテリーがあったら、目的地まで着かなかったかもしれない。 忠別岳は遠くから見ると、穏やかで特徴がない山に見えるが、近くで見るととても荒々しく印象的な山だった。
忠別岳から五色岳まではハイマツ帯などでお花畑が少なくなり、ようやく普通のペースで歩けるようになった。 沼ノ原方面からの登山道が合わさる五色岳の山頂は、天気の良い週末らしく登山者で賑わっていた。 山頂からはようやくトムラウシ山が間近に望まれるようになった。
五色岳から化雲岳の間では木道が見られ、ヒサゴ沼などの各キャンプから空身で登る登山者と頻繁にすれ違うようになった。 南沼キャンプ指定地へは化雲岳の山頂を踏まずに行けるが、私のみ山頂を踏んで行った。 正午を過ぎて気温の上昇で夏の雲が湧いてきたが、ありがたいことにトムラウシ山は終始見えていた。 奇岩が積み重なったロックガーデンと呼ばれる一帯は歩きにくかったが、意外にも高山植物が多く見られた。 予定どおり北沼の分岐からトムラウシ山へは登らずに、南沼キャンプ指定地へ。 お花畑でだいぶ道草を食ったが、コースタイムを少しオーバーしただけで3時半過ぎに南沼キャンプ指定地に着いた。 キャンプ指定地は週末ということもあり、10数張のテントが見られた。 夕食前に黄昏時の風景を期待して背後のトムラウシ山に登ったが、残念ながら夜霧が湧き始めてしまい、山頂からの展望は得られなかった。
《 19日 》
南沼キャンプ指定地 〜 トムラウシ山 〜 南沼キャンプ指定地 〜 ロックガーデン 〜 化雲岳 〜 第一公園 〜 天人峡温泉 ⇒ 旭岳温泉
朝食後にご来光登山の人達と入れ違いにトムラウシ山の山頂に向かう。 爽やかな朝の山頂からは大雪山よりも十勝連峰の方が近くに見えた。 6時過ぎに南沼キャンプ指定地を出発。 予報どおりの良い天気となり、昨日通った化雲岳までのルートは景観の素晴らしさのみならず花も楽しめて足取りは軽い。 ロックガーデンではナキウサギの鳴き声が聞こえたが、妻以外はその姿を見ることは出来なかった。
化雲岳から登り下りしながら小化雲岳の山頂を巻き、お花畑を愛でながら第一公園と呼ばれる木道の敷かれた湿原に下る。 第一公園から先は鬱蒼とした樹林帯となり、藪蚊の洗礼を受けてしまった。 化雲岳から天人峡温泉へのルートは、行き交う人も希でコースタイム以上に長く感じた。 4時過ぎに下山口の天人峡温泉に着き、デポした車で旭岳温泉に戻った。 大雪山からトムラウシ山への縦走は、夏山としてはこれ以上望めないほど素晴らしかったが、2年ぶりのテント山行で腰痛の妻がトラブルなく歩き通せたことはそれ以上に嬉しかった。