2  0  1  8  年    5  月  

《 6日 》    堂津岳 ・ 東山

   観光センター 〜 奥裾花自然園 〜 稜線分岐 〜 奥西山 〜 堂津岳 〜 稜線分岐 〜 中西山 〜 天狗鼻 〜 東山 〜 稜線分岐 〜 奥裾花自然園 〜 観光センター  (往復)

   3時半に観光センターの駐車場を出発し、昨日下見に行った奥裾花自然園の入口までの車道を歩く。 自然園の入口のベンチで朝食を食べ、遊歩道の外れから中西山への登山道に入る。 残雪と登山道が半々くらいだが、GW最終日なのでトレースは明瞭だ。 登山口から堂津岳と東山を繋ぐ稜線の分岐までは標高差400弱の登りだ。 登山道が完全に雪で覆われるようになると間もなく乙妻山の背後からのご来光となった。 傾斜は徐々に急になっていくが、トレースがあるのでアイゼンは着けなかった。 予定どおり5時半に雪庇が丸くなった稜線の分岐に着いたが、これから向かう堂津岳の頂はまだ遥か遠くに見えた。


3時半に観光センターの駐車場を出発


遊歩道の外れから中西山への登山道に入る


GW最終日なのでトレースは明瞭だった


雪庇が丸くなった稜線の分岐


    稜線の分岐で一息入れ、トレースに従って残雪を踏んでいくと、残雪が無くなった所にはしっかりと刈り払いされた登山道があった。 最初のピークの奥西山までの尾根は広く緩やかで、登山道がある所でも残雪の上を歩くことが出来た。 樹間は北アルプスのある左側の方が詰まっていたが、右側には高妻と乙妻、そしてやや後方に戸隠連峰が良く見えた。 足元には咲いたばかりのカタクリやキクザキイチゲが見られた。 奥西山(1613m)は三角点があるだけの地味なピークで、山名板は見当たらなかった。 奥西山から先には背丈を越える笹が茂っている所もあったが、登山道は予想以上に綺麗に刈り払われ、全く藪っぽくなかった。 稜線の分岐からは終始緩やかなアップダウンを繰り返してきたが、残雪の上を歩くことが多くなってくると、堂津岳の山頂に向けて尾根の勾配が次第増してきた。 稜線の分岐から2時間半ほどで山頂直下の痩せた岩稜への登りに入ると展望が良くなり、振り返ると最終目標の東山が遥か遠くに見えた。 岩稜を過ぎると再び残雪の交じった尾根となり、9時前に広く平らな堂津岳(1926m)の山頂に着いた。 天気は予報よりも悪かったが、火打山・妙高山・高妻山・雨飾山といった4つの百名山、そして北アルプスに囲まれた山頂からの展望は予想以上にユニークで素晴らしかった。

 

稜線の分岐からトレースに従って残雪を踏んでいく


残雪が無くなった所にはしっかりと刈り払いされた登山道があった


奥西山までの尾根は広く緩やかで、登山道がある所でも残雪の上を歩くことが出来た


三角点があるだけの地味な奥西山の山頂


奥西山の山頂から見た堂津岳


奥西山から先では行者ニンニクの群落がいたるところに見られた


登山道は予想以上に綺麗に刈り払われ、全く藪っぽくなかった


奥西山と堂津岳の間から見た高妻山(中央右)と乙妻山(中央左)


奥西山と堂津岳の間から見た堂津岳


山頂直下の痩せた岩稜


咲いたばかりのシラネアオイ


堂津岳の山頂直下から見た東山


堂津岳の山頂


堂津岳の山頂


堂津岳の山頂から見た雨飾山


堂津岳の山頂から見た天狗原山(左)・焼山(中央)・火打山(右)


堂津岳の山頂から見た妙高山


堂津岳の山頂から見た高妻山(中央右)と乙妻山(中央左)


   誰もいない静かな山頂で30分近く休憩してから往路を戻る。 途中で目を付けておいた行者ニンニクを少し摘んでいく。 GW前半の天気が良かったので、最終日の今日は堂津岳に登る人はいないと思ったが、稜線の分岐までの間で5人の同志とすれ違った。 ほぼ予定どおり11時半に稜線の分岐に戻ると、反対方向の東山方面に今日の新しいトレースが複数見られた。

   稜線の分岐で一息入れ、正午前にもう一つの目標の東山に向けて登り始める。 分岐から30分足らずで最初のピークの中西山(1740m)の山頂に着いた。 標柱のある中西山の山頂からの展望は良く、堂津岳や辿ってきた長い稜線が見渡せたが、意外にも東山は眼前に聳える天狗鼻という鋭峰に遮られ見えなかった。

   中西山から先の尾根は痩せていたが、登山道は予想以上に綺麗に刈り払いされていたので、堂津岳までと同じようにスムースに歩くことが出来た。 嬉しいことに核心と思われた天狗鼻の山頂直下の急斜面の岩場には雪がなく、古いながらもロープが張られていたので、全く問題なくその尖った頂の上に立つことが出来た。 高度感のある天狗鼻の山頂からはようやく風格のある東山の全容が望まれた。 東山の山頂には先行パーティーと思われる数人の人影が見えたが、すでに1時を過ぎていたので少し違和感を覚えた。

   喜んだのも束の間、山頂を下り始めるとそれまでとは正反対に背丈を越える猛烈な笹薮が登山道を覆い、前進するのが非常に困難な状況になってしまった。“敗退”の二文字が一瞬頭をよぎったが、引き返す時のために笹にテープをベタ貼りしながらしばらく下ると、何とか笹薮からは脱出できたが、そこから先の登山道は明らかに刈り払いがされておらず、それが原因で先行パーティーの登頂が遅かったのではないかと思われた。 登りとなる帰路は笹薮の通過に相当時間が掛かると思われたので、再度地形図を確認し、あと1時間後の2時半までに東山の山頂に着かなければ潔く引き返すことを心に決めた。

   登山道の藪はそれほど酷くなかったが、スムースに歩くことが出来ないので嫌になる。 30分ほど経過した所でようやく先行パーティーとすれ違ったが、意外にもパーティーは男女6〜7名の団体だった。 この先の藪の状況について伺うと、猛烈な藪はないものの、東山までずっと藪が続いているとのことでガッカリした。 休む間もなく東山手前のニセピークに向けての登りに入る。 予報どおり天気は徐々に下り坂となり、モチベーションの維持が難しいが、珍しく妻が諦めずに登っていることが励みになる。 時々現れる残雪に一喜一憂しながら藪をかき分けかき分け、リミットとしていた2時半にようやくニセピークに着いた。 ニセピークの藪は酷く展望は全くなかったが、山頂の少し手前から東山の山頂が目と鼻の先に望まれた。 付近の藪の状況から東山への往復は30分以上掛かると思われたため、妻を残して単身山頂に向かうことに迷いはなかったが、密藪のニセピークからしばらく下ると突然藪が薄くなったので、妻と共に山頂に向かうことにした。 当初の予定よりもだいぶ遅く、稜線の分岐から3時間を要してようやく待望の東山の山頂に着いた。 すでに陽射しはなく、山頂からの360度の展望は冴えなかったが、堂津岳の登頂も霞んでしまうほど達成感は大きかった。 その堂津岳は遥か遠くに望まれ、後方に連なる頸城三山もだいぶ遠ざかった。


堂津岳から往路を戻る


奥西山付近から見た西岳


大きなカタクリ


稜線の分岐から中西山へ


稜線の分岐と中西山の間から見た堂津岳


中西山の山頂付近から見た天狗鼻


中西山から天狗鼻へ


天狗鼻の山頂直下の痩せ尾根


天狗鼻から見た東山


天狗鼻の山頂の先には猛烈な笹薮が登山道を覆っていた


藪の尾根に時々現れる残雪に一喜一憂しながら進む


ニセピークの少し手前から東山の山頂が目と鼻の先に望まれた


ニセピークと東山の間の藪は薄かった


東山の山頂


東山の山頂


東山の山頂から見た天狗鼻と堂津岳(右中景)


東山の山頂から見た高妻山(中央右)と乙妻山(中央左)


東山の山頂から見た北アルプス


   3時前にもう二度と訪れることはない東山の山頂を発つ。 危惧していた天狗鼻の山頂直下の猛烈な笹薮は、藪漕ぎに慣れたこともあり予想よりも楽に通過できたので助かった。 帰路は殆ど休むことなく歩き続けたので、東山から2時間ほどで稜線の分岐に戻った。 トレースはあるが雪が硬いのでアイゼンを着けて急斜面を下り、5時半過ぎにもう誰もいなくなった奥裾花自然園の入口に着いた。 そこから30分ほど歩いた観光センターの駐車場にもすでに人影は無く、GWも終わったという感じだった。


天狗鼻の山頂直下の猛烈な笹薮は、藪漕ぎに慣れたこともあり予想よりも楽に通過できた


天狗鼻の山頂から見た堂津岳(中央中景)と頸城三山(中央遠景)


東山からの帰路は殆ど休むことなく歩き続けた


中西山の山頂


観光センターの駐車場の車止めのゲート


2 0 1 8 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P