《 11日 》 阿能川岳 ・ 小出俣山
仏岩ポケットパーク 〜 赤谷越 〜 三岩山 〜 阿能川岳 〜 小出俣山 〜 千曲平 〜 川古温泉 (縦走)
先週の日曜日に引き続き、山仲間の西さん&セッちゃんと道の駅『たくみの里』で待ち合わせ、下山口とした川古温泉の駐車場に車を1台デポして登山口の仏岩ポケットパークに向かう。 今回は車が2台あるので、ポケットパークから赤岩越(峠)を経て阿能川岳に登り、小出俣山へ縦走して川古温泉に下る計画とした。
まだ暗い4時半過ぎにポケットパークを出発。 意外にもポケットパークには10名以上の山岳会のような団体がテント泊していた。 予想どおり昨日は天気が良かったので、赤岩越(峠)へは登山道に沿って明瞭なトレースがあったが、空には星が全く見えず今日の天気が心配になる。 積雪は少なく、赤岩越付近では地面の一部が見えていた。 幾つかの小さなピークを越えながら痩せた尾根を阿能川岳に向けて辿っていくと、積雪が少ないことでピークを巻く踏み跡がいくつかあることが分かった。 雪が良く締まっていることに加え、昨日の新しいトレースがあるので予想以上にスムースに歩ける。 間もなく周囲が明るくなってきたが御来光はなく、それどころか目標の小出俣山は厚い雲に覆われていて全く見えない。 直前の天気予報のチェックがなおざりになってしまったことが悔やまれる。 登るにつれてどんどん悪くなっていく天気に展望も希望もなく、ただ黙々と歩き続けるしか術がなかった。
三岩山の手前の凍った岩場の下りからアイゼンを着け、予定よりも1時間以上早い9時に霧に煙る阿能川岳の山頂に着いた。 谷川連峰の山々は言うに及ばず、指呼の間の小出俣山も全く見えない。 唯一、三度目の登頂で初めて阿能川岳の山名が記された小さなプレートが山頂の片隅にあることが分かった。 山頂付近で天気の回復を祈りながら寛いでいると小雪が舞い始めたので、小出俣山方面への縦走は潔く諦めようと思ったが、念のため小出俣山に登ったことがない西さん&セッちゃんに意見を聞くと、意外にも小出俣山に登りたいということで、予定どおり小出俣山に向かうことになった。
山頂から少し三岩山方面に戻り、顕著な雪庇の尾根を西へ僅かに下り、すぐに北西方面の樹林帯の中を下る。 見通しは悪いがルートの記憶が新しいのが救いだ。 意外にも小出俣山方面への新しい単独者のトレースが見られた。 間もなく小出俣山方面からの単独者とすれ違ったので雑談を交すと、小出俣山から俎ーを目指したが、天気が悪いのでルートを変更し、阿能川岳を経て下山されるとのこと。 小出俣山の積雪は少なく、山頂直下では笹が見えている所もあるらしい。 天気は一向に回復する気配はないが、雪が相変わらず良く締まっていたので、前回のようにシュルントに落ちることを心配せずに雪庇の基部を歩けた。 その後は私達とは逆に、川古温泉から縦走している男女のパーティーとすれ違った。 小出俣山の山頂手前の急斜面はトレースのお蔭でピッケルが要らないほど楽に登れ、予定よりも2時間ほど早い11時過ぎに小出俣山の山頂に着いた。 霧に煙る山頂には幾つかのパーティーが思い思いに寛いでいた。
これまでの状況から見てもう天気が回復する見込みは全くないが、風も無く暖かいので山頂でゆっくり寛ぐ。 私達よりも早く川古温泉から登ってきた他のパーティーも諦めが悪いのか、誰一人として山頂を発とうとしていなかった。 30分ほど休んでいると上空に青空が僅かに覗いた。 クリアーでなくても良いから、西さん&セッちゃんのために何か一つでも山が見えないものかと祈っていると、嘘のように周囲を覆っていた雲が流れ始め、眼前の谷川連峰のピークが一つ一つ順番に見えるようになり、山頂に居合わせた人達が一斉に歓声を上げ、山々に向かってカメラを向けた。 もうこの程度の展望でも充分かと思ったが、しばらくすると雲は全く無くなり、期待していた以上の大展望となった。 これほどまで劇的に天気が変わったことは今まで経験したことがなく、皆で写真を撮り合ったりしながら大はしゃぎだ。
結局山頂に1時間半ほど居座り、阿能川岳を見ながら意気揚々と川古温泉からの林道の終点の千曲平に下る。 阿能川岳への登りとは違い、登り返しの全くないオゼノ尾根の下りは速い。 千曲平でアイゼンを外し、山頂で写真を撮り合った年配の男性と雑談を交していると、意外にも昨年小出俣山から阿能川岳への縦走中にすれ違ったパーティーの一人であることが分かって驚いた。 伊勢崎市にお住まいの方で山の志向が似ているので、またどこかで再会しそうな予感がした。 雪解けの進む林道を1時間ほど歩き、下山口とした川古温泉の駐車場に3時過ぎに着いた。