《 13日 》 中倉山 ・ 沢入山 ・ オロ山
銅親水公園 〜 中倉山 〜 沢入山 〜 オロ山 (往復)
中倉山(1540m)は足尾の庚申山(1892m)から東に派生する長い尾根のピークの一つで、以前から地元の愛好家達を中心に登られていたようだが、近年ネットの情報により知名度が高くなり、登る人が増えている山だ。 私もその一人で、数年前から登る機会をうかがっていた。
登山口は“通い慣れた”銅親水公園の駐車場で、阿世潟峠方面への車道の通行止めのゲートから300mほど先の分岐で左折し、久蔵川を渡って松木渓谷方面に進み、次の分岐を道標に従って仁田元方面へ左折し、簡易舗装された車道を仁田元沢に沿って進む。 所々で車道を覆っている雪の上に先週くらいの古い靴跡が見られた。 駐車場からは標高差で約150m、時間にして1時間弱でケルンが積まれた登山道の取り付きがあった。
登山道の踏み跡は予想以上に明瞭で、所々に古いながらもトラロープが張られていた。 1300m付近の支尾根に乗るまでは自然林の特徴のないやや急な斜面をジグザグに登る。 陽の当たる南斜面の登山道には殆ど雪が無かった。 途中から落葉などで踏み跡は薄くなったが、先人の付けた色褪せた古いテープを頼りに登る。 私も必要最小限のテープを付けた。 支尾根に乗った所は休憩するにはちょうど良い所で、帰路に支尾根をそのまま下っていかないように目印が沢山付けられていた。 今まで見えなかった庚申山から派生する尾根が見え、中倉山や沢入山と思われるピークが見えたが、一番目立つ正面のピークがオロ山であることが帰路に分かった。 支尾根にはようやく雪が所々に見られるようになり、取り付きから標高差で約600m、時間にして約2時間で庚申山から東に派生する主尾根上の三角点(1499m)に着いた。 三角点からは大平山・社山・半月山などの山々やその向こうに男体山が望まれ、木々の疎らな明るい主尾根を僅かに辿るとケルンが積まれた中倉山(1540m)の山頂に着いた。 360度の展望が利く山頂からの展望は予想以上にユニークで、正に“百聞は一見にしかず”という感じだった。
誰もいない静かな山頂で展望を愛でながらゆっくり寛ぎ、指呼の間の沢入山に向かう。 笹原に印された踏み跡は明瞭で尾根は痩せているのでルートを見失うことはない。 沢入山だと思っていた山は本峰よりも立派な偽ピークで、狭い山頂にはケルンは積まれていたものの山名板はなく、そこよりも僅かに高いピークが目と鼻の先にあった。 偽ピークから僅かに下って登り返し、中倉山から1時間少々で沢入山(1704m)の山頂に着いた。 山頂には灌木が茂り、中倉山ほどの大展望ではなかったが、それまで見えなかった武尊山が見えるようになり、皇海山や袈裟丸山なども一層間近に見えるようになった。
昼過ぎから低気圧の通過で曇りがちとなるという予報だったため、予定ではここから往路を戻ることになっていたが、天気は依然として快晴で予報よりも良くなったように思えたので、一つ先のオロ山まで足を延ばすことにした。 意外にも踏み跡は依然として明瞭で、高低差のそれほど激しくない小さなピークを幾つか越えていく。 オロ山の山頂直下からは樹林帯となり、先人の付けたピンクリボンが時折見られた。 積雪は膝の高さになったが、雪が締まっていたのでワカンは履かずに登り続ける。 予想どおりトレースはなかった。 さすがに最後はラッセルとなり、踏み跡があると思われる所を外れ、シャクナゲに降り積もった雪の上を強引に登ると、猫の額ほどの狭いオロ山(1821m)の山頂に飛び出した。 ネットの情報では山頂からの展望は冴えないということだったが、雪でかさ上げされた山頂からは眼前に皇海山と鋸山、そして主尾根の先には庚申山が望まれ、中倉山や沢入山とは趣を異にした新鮮な展望に心が弾んだ。
重い腰を上げて1時にオロ山の山頂を発つ。 帰路は予報どおり低気圧の通過で曇が広がったが、一日中誰とも出会うことなく、久々に未踏の寂峰に登れて良かった。