《 27日 〜 28日 》 七倉岳 ・ 北葛岳 ・ 蓮華岳
七倉温泉 〜 七倉岳 〜 船窪冬期小屋(泊) 〜 北葛岳 〜 蓮華岳 〜 針ノ木峠 〜 扇沢 (縦走)
《 27日 》
七倉温泉 〜 七倉岳 〜 船窪冬期小屋(泊)
先週も飯豊にご一緒した山仲間の西さん&セッちゃんと今週は祝瓶山から大朝日岳への縦走を計画していたが、好天だった東北地方の予報が直前に変わってしまったので、急遽計画を変更し、北アルプスの七倉岳から蓮華岳への縦走をすることにした。 宿泊する船窪冬期小屋は4畳半ほどのスペースしかないため、各々ツェルトを持参したが、意外にも登山口の七倉温泉から針ノ木峠の手前まで誰とも出会うことなく、過去3回連続貸し切りだった冬期小屋の宿泊の記録を4回に更新することになった。
土曜日に車1台を下山口とした扇沢の駐車場にデポし、7時半に登山口の七倉温泉を出発する。 七倉温泉の駐車場には車が数台しか停まっていなかった。 前夜遅くまで降り続いていた雨の影響で山裾は霧に煙っていたが、唐沢ノゾキを過ぎてからは上空に青空が覗くようになり、樹間から北アルプスの山々も見えるようになった。 期待していたシャクナゲは少し開花が遅れていたが、コシアブラは充分収穫出来た。 今年はやはり北アルプスでも残雪が多く、船窪新道は1800m付近から登山道に残雪が見られるようになったが、急斜面の7合目の手前の梯子は雪に埋まっていなかったので助かった。 8合目の先の天狗ノ庭から見た北アルプスの主脈の山々はまだ白く、例年のGWの終盤くらいの残雪があった。
天狗ノ庭の少し先から再び登山道が残雪に覆われるようになったが、ほぼ予定どおり七倉温泉から6時間ほどで一年ぶりの船窪小屋に着いた。 立山から槍ケ岳まで北アルプスの山々が一望出来るロケーションは何度訪れても見飽きることはない。 眼前の不動岳もまだ白く輝いていた。 風は少し吹いているが、陽射しは強烈で暖かい。 こぢんまりとした清楚な冬期小屋の居心地は悪くないが、開放感に溢れた船窪小屋の“オープン・ダイニング”でゆったりと寛ぐ。 日本一危険な水場はまだ雪の下と判断し、付近の残雪で水を作ったが、気温が高いので僅か1時間ほどで水は出来た。 摘んできたコシアブラをピーナッツ粉で和えたおひたしをセッちゃんに作ってもらい、豊富なおつまみと大展望を肴にワインを飲んだ。
夕方になってようやく重い腰を上げ、明日のルートの下見を兼ねて目と鼻の先の七倉岳(2509m)の山頂に向かう。 山頂で眼前に鎮座する針ノ木岳と蓮華岳をしばらく眺め、つがいの雷鳥と戯れながら船窪小屋に戻る。 依然として暖かいので夕食も小屋の前のダイニングで作って食べた。 日没前には日本海側からの雲の出入りが激しくなり、ユニークな夕焼けショーが見られた。 眼下の大町の灯りが見え始めた7時過ぎになってようやく店仕舞いして冬期小屋の中に入った。
《 28日 》
船窪冬期小屋 〜 北葛岳 〜 蓮華岳 〜 針ノ木峠 〜 扇沢
翌朝は山小屋の前で朝焼けの雲海を眺め、周囲が明るくなった4時過ぎに出発。 七倉岳の山頂でこれから向かう北葛岳からのご来光を拝む。 周囲の山々の頂がモルゲンロートに染まり始め、このまま時間が止まって欲しいと願うばかりだ。 昨日見たつがいの雷鳥とまた出会った。 ありがたいことに最初の核心となる七倉岳と北葛岳のコルへの下りは殆ど登山道が露出していた。 コルから先の北葛岳への登りも同様にアイゼンやピッケルを使うほどの雪は無く、コースタイムどおりに歩けた。 天気は予報以上の快晴となり、空気は澄んでいて清々しい。 冷たい風が少し吹いているのが唯一玉にキズだ。 予定よりも早く6時半過ぎに北葛岳(2551m)の山頂に着いた。
静かな山頂からは、これから向かう蓮華岳が眼前に大きく迫り、七倉岳と同じ2500m台の低い標高は北アルプスの展望台としては最適だ。 風は相変わらず少し吹いているが、気温の上昇で春の風に変わってきた。 ここからは2275mの北葛乗越まで300m近く下り、蓮華岳の山頂まで500m以上登り返す今日一番の核心だ。
北葛乗越への下りでは残雪が登山道を覆っている所もあったが、逆にその方がスピーディーに歩け、一番の急斜面とな北葛乗越の前後には予想に反して全く雪がなく、拍子抜けするほどだった。 北葛乗越から先の岩場の登りも同様で、残雪の状況では正午を過ぎると思われた蓮華岳には労せずして9時半前に着いた。 蓮華岳からの展望は言うに及ばず、爺ケ岳を筆頭に後立山の山々が一望出来た。
山頂付近で一息入れ針ノ木峠に下っていくと、扇沢からの日帰りの登山者や大沢を滑る山スキーヤーとすれ違うようになった。 針ノ木峠でランチタイムとし、11時過ぎに重い腰を上げて明瞭なトレースがある針ノ木雪渓をアイゼンを着けて下る。 雪渓を大沢小屋付近の堰堤まで下ると沢が割れていたので、右岸の細いスキーのトレースは辿らず、登り下りが連続する登山道を歩くことにしたが、まだ陽の高い2時過ぎに車をデポした扇沢に着いた。