2  0  1  7  年    4  月  

《 30日 》    上ノ倉山

    浅貝(苗場スキー場) 〜 三国スキー場跡 〜 西沢ノ頭 〜 1852m峰 〜 セバトノ頭 〜 ムジナ平 〜 大黒ノ頭 〜 上ノ倉山 〜 上ノ倉山最高地点  (往復)

   上越県境の寂峰上ノ倉山(2107m)は、白砂山に登った時にその山頂から見える佐武流山と共に残雪期に登りたいと思っていたが、登山適期と思える4月上旬は白砂山の登山口となる野反湖への車道が冬期通行止なので、残雪の多い年の4月下旬に白砂山を経由して登るか、新潟県側の苗場スキー場方面から登るしかないが、新潟県側からのルートは標高差が大きく、不確定要素も多いのであまり気乗りがしなかった。 残雪が例年よりやや多い今年の4月下旬にそのチャンスが訪れたが、天気があまり良くなくて叶わず、図らずもGWに入ってから形態としては一番望んでいなかった新潟県側からのルートを日帰りで登ることになった。

   除雪終了点となる苗場スキー場のすぐ先の国道353線が湯之沢を渡る橋の手前の空き地に車を停めて3時半に出発する。 気温は予想以上に低く1℃だったので、車道の雪面は硬く締まっていて歩き易かった。 湯之沢沿いの緩やかな勾配の車道を1時間ほど歩くと周囲が明るくなり、三国スキー場の跡地に着いた。 跡地にはリフトや施設の残骸は一切無かった。 アイゼンを着けてスキー場の跡地の斜面を登り始める。 平標山と仙ノ倉山、そして稲包山が良く見えるようになるとご来光となった。 天気は予報どおりの快晴となり清々しい。 ワンドにする小枝を拾いながら足取りも軽く登っていくと傾斜は次第に緩やかになり、登り始めてから1時間足らずで平らなゲレンデトップに着いた。 登山口で940mにセットした高度計の標高は1475mになっていた。


車道の雪面は硬く締まっていて歩き易かった


三国スキー場の跡地


三国スキー場の跡地の斜面を登る


平標山(中央左)と仙ノ倉山(中央右)


ご来光


三国スキー場の跡地の上部は傾斜が緩かった


平らなゲレンデトップ


   ゲレンデトップで一息入れて6時に出発。 ゲレンデトップ背後の藪の多い急斜面は登らず、左から大きく巻いていく無木立の緩斜面を登り、西沢ノ頭に至る稜線に支尾根を経由して乗る。 意外にも支尾根には古いピンクリボンと1週間前くらい前の縦走者のトレースが見られ、労せずして支尾根から西沢ノ頭に至る顕著な尾根に乗ることが出来た。 ここからは藪が無ければ快適な尾根歩きだ。 予報どおり風が無くてありがたい。 足取りも軽く最初のピークの西沢ノ頭に向かって顕著な尾根を登っていく。 間もなく西沢ノ頭の山頂が見えると、その頂は予想以上の藪となっていた。 残雪を最後まで拾って灌木の藪に突入するが、藪の密度が濃すぎて突破することが出来なかった。 仕方がないので少し下の方から藪の隙間を探して登ると、色あせた古いテープが見られ、何とか西沢ノ頭(1774m)の山頂に着いた。 山頂には雪が無く、三角点の標石が見られた。 狭い山頂は360度の展望が利き、目標の上ノ倉山が見えたが、その頂はまだ遥かに遠かった。 意外にも山頂の反対側の藪はさらに規模が大きく、無理やり下れても帰路の登り返しは不可能に思えたので、泣く泣く苦労して登った藪を下り、右から大きく迂回して山頂を巻くことにした。 雪の状態が良かったため、予想よりも楽に山頂を巻くことが出来たが、この時の体力と時間の浪費が後で響いてくることになってしまった。

   西沢ノ頭を過ぎると高い木々は見られなくなったが、次のピークの1852m峰との間にも所々に笹に背の低い灌木が混じった藪があり、新潟県側から登るには時期が少し遅いことを示唆していた。 1852m峰は山名が無いものの山頂からは360度の展望が利き、指呼の間に苗場スキー場がある筍山が見え、これから向かうルートの状況も良く分った。


ゲレンデトップ背後の藪の多い急斜面は登らず、左から大きく巻いていく無木立の緩斜面を登る


西沢ノ頭に至る稜線に支尾根を経由して登る


支尾根から西沢ノ頭に至る顕著な尾根に乗る


西沢ノ頭への登りから見た稲包山


西沢ノ頭の山頂は予想以上の藪となっていた


灌木の藪を登る


西沢ノ頭の山頂から見た上ノ倉山(中央奥)


雪の状態が良かったため、西沢ノ頭の山頂は予想よりも楽に巻くことが出来た


西沢ノ頭と1852m峰の間から見た1852m峰


1852m峰の山頂から見た筍山


1852m峰の山頂から見た苗場山


1852m峰の山頂から見た谷川連峰


1852m峰の山頂から見た上ノ倉山(中央)


   1852m峰から先は次の小ピークまで藪が断続的に出ていたので心が折れそうになったが、藪は見た目ほど歩きにくくなかったので助かった。 小ピークから先はようやく藪がなくなって歩き易くなり、少し下ってから稲包山方面からの上越県境の尾根と合わさった。 上越県境の尾根は緩やかで、目標の上ノ倉山を正面に望みながら快適な登高となった。 間もなく背の高い樹林帯となり、ピンクリボンの付けられたセバトノ頭(1890m)の山頂に着いた。 どこが山頂か分からないような広い山頂は樹間が詰まっているため展望が無かった。 

   セバトノ頭からムジナ平という平坦地まで緩やかに樹林帯を下る。 樹林が疎らになってくると眼前に大黒ノ頭や上ノ倉山が大きく仰ぎ見られるようになったので一息入れる。 時間はすでに10時となり、この先のルートの状況次第では上ノ倉山まで行けるかどうか微妙になってきた。 藪漕ぎで疲れた妻が目標を一つ手前の大黒ノ頭までとしたいと言うので、残念だがムジナ平からは先行して登ることになった。


1852m峰から次の小ピークまでは断続的に藪が出ていた


小ピークから上越県境の尾根に向かって少し下る


上越県境の尾根は緩やかで、目標の上ノ倉山を正面に望みながら快適な登りとなった


どこが山頂か分からないような広いセバトノ頭の山頂


ムジナ平付近から見た大黒ノ頭(右) ・ 上ノ倉山(中央) ・ 上ノ倉山最高地点(中央左)


ムジナ平から見た大黒ノ頭


   ムジナ平から大黒ノ頭に向けて左に延びる広い尾根を足早に登っていくと尾根は次第に顕著になり、勾配が見た目よりも急になってきたので、ピッケルを刺しながら登る。 クラックはあるが藪のない快適な登高で予想よりも短時間で大黒ノ頭(2080m)の山頂に着いた。 指呼の間となった上ノ倉山へのルートは所々で藪が出ていたのでガッカリしたが、尾根の少し右側は辛うじて雪が繋がっていたので助かった。 右手にはそれまで見えなかった佐武流山や鳥甲山が見えるようになり足取りは軽くなった。 予定より少し早い11時過ぎに展望のない地味な上ノ倉山(2107m)の山頂に着いた。 目の前にはここよりも13メートル高い最高地点のピークがあるので迷わず先に進む。 最高地点との間は今日一番の稜線漫歩となり岩菅山も見えるようになった。 この辺りが上越県境の中でも2000mを超える貴重な区間だということが頷ける。 11時半前に待望の上ノ倉山の最高地点(2120m)に着いた。 雑木が点在する明るく広い山頂からは白砂山が神々しく望まれ、当初計画していた白砂山からの稜線上の上ノ間山や忠次郎山も見えた。 相棒の妻が傍らにいないことだけが唯一玉にキズだ。


ムジナ平と大黒ノ頭の間から見た上ノ倉山


大黒ノ頭の山頂から見た谷川連峰


大黒ノ頭の山頂から見た上ノ倉山


大黒ノ頭と上ノ倉山の間から見た大黒ノ頭


大黒ノ頭と上ノ倉山の間から見た鳥甲山(中央奥)


上ノ倉山の直下から見た上ノ倉山最高地点


上ノ倉山と最高地点の間から見た佐武流山(右)と岩菅山(左奥)


上ノ倉山と最高点の間から見た苗場山


上ノ倉山最高地点


上ノ倉山最高地点から見た白砂山


上ノ倉山最高地点から見た忠次郎山と上ノ間山(中央右)


   山頂からのユニークな展望を目に焼き付け、次回は白砂山から縦走してくることを心に誓ってトンボ返りで妻が待つ大黒ノ頭に向かう。 通過に苦労した西沢ノ頭は遥か眼下に見え、帰路もそれなりに時間が掛かりそうだ。 大黒ノ頭で妻と合流し、ゆっくり寛いでから下山する。 午後に入ってからも良い天気は続き、空には雲一つない。 雪は次第に重たくなっていくが、下りでは藪の抵抗が少なかったので楽だった。 急ぐ必要はないので、所々で休みながら下る。 予想どおり誰とも出会うことなく4時半に三国スキー場の跡地に着き、手つかずのフキノトウを摘みながら車道を歩いた。 当初あまり気乗りがしなかった新潟県側からのルートは、三国スキー場跡地までの車道を除けば終始展望に恵まれた変化に富んだ面白いルートだった。


上ノ倉山最高地点の直下から見た上ノ倉山


大黒ノ頭の山頂


1852m峰の山頂


1852m峰の山頂から見た西沢ノ頭


除雪終了点となる苗場スキー場のすぐ先の国道353線が湯之沢を渡る橋


2 0 1 7 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P