2  0  1  7  年    3  月  

《 12日 》    小出俣山 ・ 阿能川岳

川古温泉 〜 小出俣山 〜 阿能川岳 〜  三岩山〜 赤谷越 〜 川古温泉  (周回)

   先週に続き日曜日に水上地域に晴れマークが出た。 しかも風が弱いという朗報だ。 いよいよ待望の春が来たと言うことだろう。 中越地方の予報もまずまずだったので、土樽からタカマタギを経て日白山に登るという計画もあったが、先週登った阿能川岳から見た小出俣山(おいずまたやま)がとても眩しく見えたので、阿能川岳への縦走(周回)を前提に、この機会を逃さずに登ることにした。

   9年前に山仲間の山人さん&モコモコさんと小出俣山に登った時の記憶と写真から、@登山口となる川古温泉から千曲平までの長い林道の積雪の量、A千曲平からオゼノ尾根の取り付きまでの急な樹林帯の登り、Bオゼノ尾根の途中の1400m付近にある雑木の茂った小さな岩峰の通過という三つの不確定要素があるが、逆にそれ以外は阿能川岳とは違って登り一辺倒で、かつルーファンの必要がないほどオゼノ尾根が顕著なので、阿能川岳よりも登り易いのではないかと思えた。

   川古温泉手前の駐車場に前泊し、千曲平に明るくなってから着くように4時過ぎに出発する。 林道のゲートを越えるとその先の積雪は30センチほどだったが、やや新しいトレースがあったのみならず、放射冷却で気温がマイナス5度と低かったことで雪が硬く締まっていたのでとても歩き易かった。 条件が悪ければ最初からスノーシューで歩くつもりでいたが、トレースは山頂まで期待出来そうなほど明瞭だったので、千曲平にはまだ暗い5時半に着いた。 手前の千曲平橋は雪に埋もれ、先週に続き若いカモシカと遭遇した。

   オゼノ尾根の取り付きまでの樹林帯の入口には暗かったせいか目印が見当たらなかったが、明瞭なトレースのお蔭で、図らずも暗いうちからルーファンせずに登り始めることが出来た。 藪の無いトレースのある樹林帯の登りは当初の予想に反して全く快適で、労せずして自然林のオゼノ尾根の取り付くことが出来た。 尾根上も雪が良く締まっていたので、ツボ足のままで登っても全くストレスを感じない。 7時前に阿能川岳へ延びる尾根からのご来光となり、暖かな陽射しにも恵まれるようになった。 小出俣山だけを登るのであればそれほど時間は掛からないので、中高年の遅いペースで登っていても後続者の姿はまだ見られなかった。 ブナの木々が見られる快適な尾根を登っていると、9年前の記憶が徐々に蘇ってきた。 昨日は1000m以上のところで降雪が少しあったようで、トレースは所々で消えていたが、新雪はとても軽く全く支障はなかった。 1400m付近で突然尾根に現れる太い幹の木々を過ぎると、オゼノ尾根の核心部の雑木の茂った小さな岩峰の前に着いた。 前回はトレースがなかったので岩峰の基部をピッケルを刺しながら右から巻いたが、予想に反してトレースは左から大きくトラバース気味に巻いていた。 スノーシューを履いていれば、前回と同じように右から巻いて行けそうだったが、ツボ足なのでトレースに従うことにした。 尾根に復帰する直前の急斜面では新雪でトレースが消えていたが、雪の状態が良かったのでアイゼンは着けずにキックステップで登りきった。


川古温泉からの長い林道のゲート


雪に埋もれた千曲平橋


千曲平で若いカモシカと遭遇した


オゼノ尾根の取り付きまでの樹林帯は明瞭なトレースのお蔭でルーファンせずに登ることが出来た


自然林のオゼノ尾根の取り付く


オゼノ尾根は雪が良く締まっていたので、ツボ足のままで登っても全くストレスを感じなかった


ブナの木々が見られる快適なオゼノ尾根


1400m付近で突然尾根に現れる太い幹の木々


オゼノ尾根の核心部の雑木の茂った小さな岩峰


トレースは小さな岩峰を左から大きくトラバース気味に巻いていた


尾根に復帰する直前の急斜面では新雪でトレースが消えていたがキックステップで登りきった


   小さな岩峰を過ぎると新雪でトレースが消えたので、ここからスノーシューを履くことにした。 左手には青空の下に目標の小出俣山の山頂が、右手には阿能川岳が見えるようになった。 小さな岩峰から先は尾根の幅が広くなり傾斜がやや急になったが、そこを登りきると傾斜が一気に緩み、谷川岳とそれ以上に存在感のある俎ーと川棚ノ頭が目に飛び込んできた。 眼前には小出俣山の山頂が大きく迫り、右手の阿能川岳はもう目線の高さだ。 先週登った袈裟丸山、赤城山、子持山、榛名山、吾妻耶山、白砂山など群馬の山々も良く見える。 新雪が数センチ積もった山頂直下の無木立の大斜面を快適に登る。 阿能川岳を背後に見下ろすようになると、9年前の記憶が鮮明に蘇ってきた。 これから辿る阿能川岳への尾根を観察しながら足取りも軽く大斜面にトレースを付けていく。 山頂だと思った所は狭く、左の方が広くて高かったのでそちらに向かう。 良いトレースに恵まれたので、予定より1時間ほど早い9時半に待望の小出俣山(1749m)の山頂に着いた。 

   眼前には万太郎山が大きく迫り、エビス大黒ノ頭と仙ノ倉山が重なって見える360度の大展望に興奮が覚めやらない。 “好事魔多し” の諺どおり、西側の三尾根岳方面の縦走路の様子を写真に撮ろうとほんの数メートル先に進むと、いきなり足元の雪が崩壊し、背丈よりも深いシュルントに落ちた。 幸いスノーシューが藪に引っ掛かったので2メートルほどで止まったので自力で這い上がれたが、ツボ足だったら今日の登山はここで終わっていたことだろう。 後で気が付いたが、山頂と思った場所自体が船のような巨大な雪庇だったようだ。 気を取り直して大展望を肴に30分ほどゆっくり寛ぎ、10時に阿能川岳への縦走を開始する。 未だに後続者の姿は見えないので、阿能川岳へ縦走するのは私達だけのようだった。


小さな岩峰を過ぎると新雪でトレースが消えたのでスノーシューを履く


小さな岩峰を過ぎると左手には目標の小出俣山の山頂が見えた


小さな岩峰を過ぎると右手には阿能川岳が見えるようになった


小さな岩峰から先は尾根の幅が広くなり傾斜がやや急になった


傾斜が一気に緩むと、眼前には小出俣山の山頂が大きく望まれた


傾斜が一気に緩むと、谷川岳とそれ以上に存在感のある俎ーと川棚ノ頭が目に飛び込んできた


新雪が数センチ積もった山頂直下の無木立の大斜面を快適に登る


阿能川岳を背後に見下ろすようになると、9年前の記憶が鮮明に蘇ってきた


小出俣山から阿能川岳への尾根


小出俣山の山頂


小出俣山の山頂から見た三尾根岳方面


小出俣山の山頂で背丈よりも深いシュルントに落ちた


小出俣山の山頂から見た万太郎山


小出俣山の山頂から見た谷川岳(中央右)・川棚ノ頭(中央)・俎ー(中央左)


小出俣山の山頂から見た阿能川岳


小出俣山の山頂で大展望を肴に寛ぐ


   前回幕営した肩の所まで広い雪庇の尾根を下っていくと、この雪庇も張り出しが大きく、その中心よりも藪側に先ほど落ちたシュルントが続いていることが分かった。 仕方がないのであまり快適ではない藪との際を下った。 谷川連峰の主脈に通じる万太郎山方面への尾根を左に分け、阿能川岳への顕著な尾根に入る。 すぐに縦走路中一番の急斜面の所となり、その先端まで藪との際を下っていくと、藪がなくなったとたん雪を踏み抜いて背中からシュルントに落ちてしまった。 幸い先ほどよりも浅くて助かったが、見た目には全く問題なさそうに見える藪との際も安心して歩けないことが分かり、仕方なく今度は藪の中を下ることになった。 尾根付近の藪は密集していたので、尾根の左側の急斜面をスノーシューを外してアイゼンとピッケルで下ることになってしまった。 まだ斜面の雪の状態が良かったので、ロープは使わずに尾根に復帰することが出来たが、その先は小さなアップダウンが続いて先が見えなかったので、スノーシューには履き替えずにそのまま歩き続けた。 トレースが期待出来ない小出俣山から阿能川岳への縦走路を歩くために持ってきたスノーシューが使えずにもどかしい。 しばらく疑心暗鬼で進んでいくと、ようやく尾根がなだらかになり、雪の状態が良くなってきたのでスノーシューを履いた。 たおやかな雪稜はシュルントの心配も無くなり、ようやくイメージしていたとおりの稜線漫歩となった。 縦走路の中間点の1552m峰からは阿能川岳が近くに見えるようになったが、目の良い妻には阿能川岳の山頂の人影も見えるらしい。


小出俣山の山頂から前回幕営した肩の所まで広い雪庇の尾根を下る


雪庇の尾根には先ほど落ちたシュルントが続いていた


小出俣山の肩から阿能川岳へ続く尾根の左側の急斜面をスノーシューを外してアイゼンとピッケルで下る


小出俣山の肩から阿能川岳へ続く尾根に復帰する


尾根に復帰してからもしばらくはスノーシューには履き替えずに歩き続けた


川棚ノ頭(中央右)と俎ー(中央左)


尾根がなだらかになり、雪の状態が良くなってきたのでスノーシューを履く


たおやかな雪稜はシュルントの心配も無くなり、ようやくイメージしていたとおりの稜線漫歩となった


縦走路の中間点の1552m峰から見た万太郎山(中央奥)


縦走路の中間点の1552m峰から見た阿能川岳


   1552m峰から鞍部への下りは、念のため再び樹林との際や樹林の中を歩くようにしたが、樹林が疎らになったのでストレスは感じなくなった。 阿能川岳へ辿り着ける目処が立ったので安堵していると、先ほど山頂にいた人達がこちらに向かって下ってくるのが見え、小出俣山と阿能川岳の間の最低鞍部で女性1人を含む4人のパーティーとすれ違った。 私達とは逆回りで周回しているとのことだったが、阿能川岳からの下りでシュルントに落ちたので、林の中を下ってきたとのことで共感が持てた。 予期せぬ同好の士との出会いに驚いたが、意外にもその直後に今度は3人の男性パーティーとすれ違った。 このパーティーは車を川古温泉にデポしてあるとのことで羨ましかった。 7人が辿ったばかりのトレースは登山道のように歩き易かったが、しばらくすると3人の男性パーティーのものと思われるピッケルが落ちていた。 今年に入ってから2本目のピッケルの落し物だ。 大声で何度も叫んだが反応がなかったので、小走りでピッケルを持ち主に届けた。


1552m峰から最低鞍部への下りは、念のため再び樹林との際や樹林の中を歩くようにした


最低鞍部で女性1人を含む4人のパーティーとすれ違う


その直後に3人の男性パーティーとすれ違った


7人が辿ったばかりのトレースは登山道のように歩き易かった


阿能川岳の山頂直下から見た小出俣山


   予想外の雪の踏み抜きで阿能川岳(1611m)の山頂に着いたのは12時半を過ぎてしまったが、これはほぼ予定した時間だった。 もう誰も登って来ないだろうと思っていたら、女性1人を含む3人のパーティーが山頂に着いたので、今日は総勢12名がこの寂峰に登ったことになった。 阿能川岳の山頂からは10人が辿った立派なトレースを下ったが、先週の私達のトレースは消えており、三岩山周辺の難所を通過するルートの取り方も違っていた。 

   仏岩ポケットパークに下る冬道が分岐する1050mの鞍部に3時半過ぎに着くと、先週付けた鞍部から先のトレースは消えていたので、そこからは再び軽いラッセルで20分ほど登り下りしながら赤谷越(仏岩峠)に着いた。 赤谷越から川古温泉に下る登山道には先週と同じようにトレースは無かった。 雪が腐った沢状の地形をルーファンしながら下るのは嫌だったが、反対側の仏岩ポケットパークに下るとそれだけ車道歩きが長くなってしまうので、予定どおり川古温泉方面に下ることにしたが、途中から沢が割れたりしていたので、予想よりも大変な下りとなった。 

   無事道標のある仏岩林道に降り立ち、赤谷越から1時間近くを要して県道270号線沿いの登山口に着いた。 殆ど車が通らない車道を30分ほど歩き、川古温泉の直前で先ほど出会った3人パーティーが乗った車とすれ違った。 3人パーティーとしばらく雑談を交わし、5時半前に川古温泉の駐車場に着いた。


阿能川岳の山頂


阿能川岳の山頂


阿能川岳の山頂から見た川棚ノ頭(中央右)と俎ー(中央左)


阿能川岳の山頂直下から見た至仏山(左)と武尊山(右)


三岩山の山頂直下から見た小出俣山


三岩山周辺の難所を通過する


天子山の山頂


送電線の鉄塔の下から見た吾妻耶山


1050mの鞍部から先のトレースは消えていたので、再び軽いラッセルで赤谷越に向かう


赤谷越(仏岩峠)


赤谷越から川古温泉方面へは予想よりも大変な下りとなった


県道270号線沿いの登山口


県道270号線を歩いて川古温泉へ向かう


2 0 1 7 年    ・    山 行 の 報 告    ・    T O P